公開日 2022/11/16 15:34

クアルコム、新世代モバイル向け「Snapdragon 8 Gen 2」発表。AIと画像処理強化で「他社SoCを圧倒するパフォーマンス」

ボーズイヤホンなどが今後Snapdragon Soundに対応へ
米クアルコムが、フラグシップスマートフォン向けの次世代チップセット「Snapdragon 8 Gen 2 Mobile Platform」を発表した。新しいチップセットを搭載するデバイスは、早いものは2022年末から商品化を予定する。

クアルコムが最新のフラグシップスマートフォン向けに、5Gモデムを統合するSoC「Snapdragon 8 Gen 2 Mobile Platform」を発表した

今年は約3年ぶりに世界各国からジャーナリストを集めて、ハワイ・マウイ島で「Snapdragon Summit 2022」のイベントがリアル開催された。初日の発表会で最新チップセットの全貌がベールを脱いだ。

通信機器の範囲を超えて、様々なコミュニケーションデバイスの技術革新を支えるチップセットをクアルコムが提供。パートナーを巻き込んだ巨大なエコシステムを形成していることを、壇上に立ったクアルコムのクリスティアーノ・アモンCEOがアピールした

■AI系タスクの処理スピードが向上



Snapdragon 8 Gen 2 Mobile Platform(以下、Snapdragon 8 Gen 2)も、Gen 1同様に最先端の4nmプロセスルールにより製造される。新しいフラグシップSoCは、現行製品のGen 1よりも、AIエンジンや画像処理、無線通信などの性能を強化した点が特徴だ。

Snapdragon 8 Gen 2のプレゼンテーションを行ったクアルコムのクリス・パトリック氏

高性能DSP「Hexagon」を中核とする第8世代のAIエンジンは、Tensorアクセラレーターのパフォーマンスを2倍に強化。例えば音声入力による多言語同時翻訳などのアプリケーションが、Snapdragon 8 Gen 2を搭載するスマホに拡大することなどが期待できる。

AIエンジンの実行処理速度は現行チップ比で約4.35倍も高速化している。Snapdragonのモバイル向けSoCとして、初めて4bit整数精度の演算に対応した。これにより、現行のGen 1チップよりも消費電力のパフォーマンスが約60%改善されるという。

第8世代のAIエンジンはTensorアクセラレーターのパフォーマンスを向上。様々なタイプのAI関連の処理を担う

Snapdragon 865から設けられたAI処理ブロックの「Qualcomm Sensing Hub」は、初めてデュアルAIプロセッサー構成を採用。その高いパフォーマンスを活かしてモバイルアプリの音声操作などがスムーズに行えるようになる。

■イメージセンサーはAI連携を強化。8K/60p/HDR対応も



画像信号処理プロセッサーSpectraは、新たにAIによる機械学習のアーキテクチャを組み込んでいる。例えば人物を撮影する際には、カメラのAIが顔、髪型、服装、背景など被写体の属性を解析しながら、「肌はスムーズに、空はより青く」などオブジェクトごとに最適な画像処理を加える。

イメージセンサーは被写体をオブジェクト単位で解析。それぞれに最適な画像補正処理を行う

ソニーはイメージセンサーブランド「Lytia」から、Snapdragon 8 Gen 2に最適化したモバイル向け1インチセンサー「IMX989」と1/1.5インチセンサー「IMX800」を開発。空間と時間の両軸をずらしながら一度のショットで4枚の静止画を撮影、高画質処理を加えるQuad Digital Overlap HDRを搭載する。またクアルコムのチップセットに統合されているISPは、サムスン電子の2億画素を搭載する「ISOCELL HP3」など最先端イメージセンサーとの連携も実現している。

カメラによる動画のキャプチャは、最大8K/60fpsのHDR撮影がスムーズにこなせるパフォーマンスを持たせた。HDR規格はHDR10/HDR10+のほか、Dolby Vision、HDR Vividをサポートする。      

8K/60pのHDR動画撮影のパフォーマンスを備える

なお映像コーデックは高い圧縮効率を備えるAV1も新たにサポートする。AV1フォーマットによる動画配信サービスが拡大するなか、ミドルレンジからエントリークラスのモバイル端末でもスムーズな動画視聴が楽しめるパイプラインが整う。

次ページ「他社のSoCを圧倒するグラフィックスパフォーマンス」を強調

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