ハイエンドオーディオの甘美な調べ。ワイヤレススピーカーの常識を超える、DEVIALET「Phantom Ultimate」レビュー
技術を重視するフランスのオーディオ・カンパニーDEVIALET(デビアレ)。同社から登場した、 エレガントなデザインと類い稀なき音質を実現したワイヤレススピーカー「Phantom Ultimate」。サイズの常識を超える圧倒的な音質、そのクオリティと技術的真髄を解説する。
ハイグレードな音質を実現するワイヤレススピーカー
Qobuzが日本で始まり、1年が過ぎました。今やCD/SACD、LP、ハイレゾ・ダウンロード曲とともに、4本柱のメディアをいつでも楽しめる時代となりました。
ネットワーク再生できる素晴らしい製品が続々と登場していますが、とりわけ私が評価するのは、デビアレのネットワークスピーカーシステム「Phantom Ultimate」です。アンプとネットワーク機能を内蔵しており、これ1台でさまざまなストリーミング再生に対応できます。
ラウンド・カーブを纏った美しいデザインが、オシャレなフランス・イメージを鮮明にしています。まさにスタイリッシュなリビングやプライベートルームで映えるデザインです。
1台モノラル使用もできますが、なんと言っても、2台ステレオ・ペアの広大な3D的空間描写は魅力的です。ハイエンドオーディオを楽しむ熟練愛好家もセカンドスピーカーとして置きたくなるほど、ハイグレードな音質です。またオーディオを一旦、やめていて、再びシンプルなシステムでやってみたいという方にもオススメできます。
デビアレの「Phantom Ultimate」には、同じく私が高く評価するネットワーク機能内蔵の薄型インテグレーテッドアンプ「ASTRA」の技術もふんだんに盛り込まれています。特にお伝えしたいのは、A級アンプとD級アンプをハイブリッドした独自の出力段「ADH」。「オーディオアクセサリー銘機賞2026」において、ハイエンド大賞を受賞したことも納得のクオリティです。
技術と音質の高度な両立を実現
Phantom Ultimateには、98dBと108dBの2モデルが用意されています。モデル名の98dB、108dBは、皆さんが想像するように、音圧です。かなり高いですね。
Phantomの初代モデルは2015年に登場しました。外観としては以前のモデルとあまり変わらないように見えるかもしれませんが、技術的には圧倒的な進化をとげています。
まず機能を説明しましょう。AirPlay、Google Cast、Spotify Connect、TIDAL Connect、Roon Ready、UPnP、Bluetooth 5.3に対応します。操作は専用の「Devialet」アプリが使えます。基本のセットアップはもちろん、楽曲選択も行えます。
搭載技術も紹介しましょう。まずエンクロージャーです。高硬度な樹脂成形により、この楕円球体のような形状を実現しています。回折効果がなく、キャビネット振動も最小にしています。さらに完全密閉型で、エネルギーを余すところなく伝えます。
搭載ユニットは、美しいグリルで覆われているところがアルミトゥイーターで、そのエッジは、ギザギザのタンジェンシャル・エッジのようです。高速振幅に対応しているようです。その外周はデザインのように見えますが、実は、ドーナツ状のアルミ・ミッドレンジです。外観から分からないように、高域と中域ドライバーを一体化した2ウェイ同軸型ユニットを搭載しているのです。オシャレですね。
左右には、ウーファーを搭載していますが、これは、柔軟性のあるアルミ製で、ミッドレンジと同様にセラミック・コーティングされており、軽量で剛性の高い振動板を搭載しています。また、大振幅でも振動板駆動の中心精度が維持できるように、エッジを特殊形状にしています。
再生方式としては、システム制御するメインCPUが全体の制御を行います。内部の信号の流れとしては、オーディオFPGA(チャンネルデバイダーなどの処理)→DAC→ADH出力段(3ウェイ・マルチ)の順で、トゥイーター、ミッドレンジ、左右のダブルウーファーを直接、ADHがドライブ。そのことで、98dB/108dBという高い音圧を実現しています。
身体を包み込むかのような立体空間が表出
今回は「Phantom Ultimate 108dB」を体験しましたが、その音はまさに技術の反映です。このエレガントな形状により、音が左右一点から放射され、身体を包み込むかのような立体空間を創り出します。ステージの幅も広いですが、奥行きが深いことも特徴です。ですから、録音の良いボーカル曲を再生すると、歌い手がステージの前面にリアルに定位してくれます。
また、巧みな声使いや声質も鮮明にし、録音場所の空気感やちょっとした微細な物音までも、解像度高く再生します。ADH出力段の効果により、音色的には、直熱三極管300Bを思わせる透明度の高い中高域の響きが魅力的です。音が滑らかで、ASTRA譲りのアナログ的な濃厚テイストを感じます。
そして、低域は驚くほどに量感があり、密閉型なので閉塞感がなく、リアルに伸びてきます。まさにスタジオモニターを聴いているかのような感覚です。
2台導入したならば、リスニングポジションに向けて、角度を少しずつ調整すると良いでしょう。丹念にセットアップを行えば、ステレオ再生ならではの驚くべき立体空間も実現できます。所有の喜びも感じますね。これがハイエンドオーディオの佇まいでもあります。
そして何よりも、再生操作が楽しく音楽に没頭できます。ぜひ、読者の皆さんにも、このデザイン、操作感、音質を専門店で体験して欲しいと思うところです。
(提供:完実電気)


