スピーカーだけでストリーミングサービスを満喫!KEF、JBL、テクニクスのアクティブスピーカー3機種徹底チェック
昨今パワーアンプを内蔵するスピーカー(以下アクティブスピーカー)の進化は著しいものがある。音質面もしかりだが、Chromecast、AirPlay2といったスマホ連携は言うに及ばず、Qobuz ConnectやSpotify Connectといったストリーミングサービスに対応するモデルも登場。
「スピーカーにLANケーブルを繋げるだけで、1億曲を超える音楽がイイ音で愉める」ことも珍しくなくなった。
そこで本稿では、ストリーミング時代を迎え、これからオーディオを始める方はもちろんのこと、サブシステムとしても好適なQobuz ConnectやSpotify Connectに対応する20万円〜30万円代のアクティブスピーカー3機種をご紹介する。

今回ご紹介するネットワーク対応アクティブスピーカー
KEF「LSX II」 198,000円(ペア・税込)
JBL「4305P」264,000円(ペア・税込)
TECHNICS「SC-CX700」 325,000円(ペア・税込)
音楽ソースの多様化にも対応
機器を組み合わせて自分好みの音を目指すコンポーネントオーディオが主流の我が国において、その選択肢が限られるアクティブスピ―カーは長らく冷遇されていたように思う。だが、クラスDアンプの高音質化と、PCとの接続に便利なUSB入力搭載の小型モデルがデスクトップにちょうどよいと知られるや、俄然注目度が上がるようになった。

各社から趣向を凝らした魅力機が続々と登場しているが、その中には、今回紹介する3機種のように、受動素子によるクロスオーバーネットワークをもたず、エレクトリック・クロスオーバー(電気回路)で帯域分割を行い、スピーカーユニットごとにパワーアンプを奢ったモデルの姿も。
これによりネットワーク回路では難しかった遮断特性が実現できるほか、駆動力や解像度、過渡特性の向上と歪みの低減など、音質面での効果が期待できる。一般的なスピーカーにはない良さが、アクティブスピーカーにはあるのだ。
使い勝手の面でも、アナログ/デジタル、USBは言うに及ばず、テレビとの接続に便利なARC対応のHDMI、ワイヤレス機器との接続に便利なBluetooth、そしてスマートフォンと相性のよいChromecast、AirPlay2と、プログラムソースも年々多様化していった。
さらには、「Qobuz Connect」「Spotify Connect」に対応する機種が続々と登場。従来からネットワーク接続に対応するアクティブスピーカーは存在していた。だが「Qobuz Connect」「Spotify Connect」の登場は、エンドユーザーにとって、導入と操作の敷居をグンと下げた。

音質面でAirPlayより有利!「Qobuz Connect」では何ができる?
2026/05/12
最後に、これは不肖の個人的な意見で恐縮だが、予算30万円でオーディオコンポーネントを買い揃えるより、同価格でストリーミング対応アクティブスピーカーを買い求めた方が、音質とスペースファクター、使い勝手の面において満足度が高いと感じている。
これからオーディオを買い求めたいと思われる方は、ぜひ本稿で紹介する機種を検討して頂きたい。それでは試聴を始めよう。
正三角形の位置に配置して試聴開始
試聴はスピーカーの間隔を2メートル程度の正三角形ポジションで行った。振り角はスピーカーにより若干異なるものの、総じて外振りにした方が好ましい結果が得られた。試聴ソースは全てQobuzからのストリーミングで、ジャズ、クラシック、ポップスとジャンルの違う3曲をセレクト。左右スピーカー間はいずれも同梱されるLANケーブルにて接続した。
ジャズは、96kHz/24bitで配信しているオリヴァー・ネルソンの名盤『ブルースの真実』から「ストールン・モーメンツ」を聴いた。ポール・チェンバース(b)、ロイ・ヘインズ(ds)によるリズム隊に乗せて、フレディ・ハバード(tp)、エリック・ドルフィー(fl)、オリヴァー・ネルソン(ts)のソロが楽しい1曲だ。それぞれの楽器の質感、リズムのノリなどがチェックポイントとなる。
クラシックは、14歳の天才ヴァイオリニストHIMARI(吉村妃鞠)が、今年5月1日にリリースしたばかりの「Corigliano: The Red Violin Caprices」。レゾリューションは96kHz/24bitだ。
映画『レッド・バイオリン』の音楽を手がけたジョン・コリリアーノによる無伴奏ヴァイオリンのための作品集で、1732年製グァルネリ・デル・ジェス「フェルニ」の力強い音色とHIMARIの高度な技巧により、ヴァイオリンのもつ様々な表情が聴きどころ。
ポップスは今年6月公開予定の映画が話題のマイケル・ジャクソンが1991年にリリースしたアルバム『デンジャラス』から、ニュー・ジャック・スイングの開祖であるテディ・ライリー自らが手掛け完成形と言わしめた「Remember the time」をチョイス。こちらもレゾリューションは96kHz/24bitである。
愛を切なくささやく歌詞を美しいヴォーカルワークでこなす最高のダンスナンバーで、ヴォーカルはもちろんのこと、拡がりのあるシンセ・ストリングスと柔らかな質感のリズム、そしてハモンドオルガン系サウンドをはじめとする音色の豊かさに耳を傾けた。
KEF「LSX II」 -シャープだが暖色で湿度を感じさせる
KEFのLSX IIは、240×155×180mmのコンパクトなボディに、115mmマグネシウム/アルミ合金ウーファーと19mmアルミドームトゥイーターからなる第11世代Uni-Qドライバーを搭載した同軸型2ウェイ機。この自慢のドライバーを、低域用に70W、高域用に30WのクラスDアンプで駆動する。
ストリーミングサービスはQobuz、Spotifyのほか、Amazon Musicにも対応する。
近年プロダクトからお国柄を感じにくくなったが、どこか湿度を感じさせる鳴り方に英国の空気を纏っているように感じた。
「ジャズ」は楽器の質感が印象的。特にエリック・ドルフィーのフルートは抒情的で、楽曲の雰囲気にピッタリマッチ。その後、右側から始まるオリヴァー・ネルソンのサックスも、エコーが綺麗に左チャンネルに回り、分解能の高さをうかがわせる。
「クラシック」は、力強い鳴りが印象的。メタリックな色合いを帯びた音色に少し戸惑いを覚えたが、これは鳴らし込みで解消していくことだろう。繊細で速いビブラートをキチンと再現する実力に、KEFの実力を垣間見た。
暖色傾向の音色は「ポップス」で魅力を放つ。点音源ゆえのシャープな音像と相まって、ヴォーカルが実に心地がよい。ストリングスの拡がりが弱いのは、同軸型ゆえ仕方のないところだが、サラリとしたオリーブオイルのような肌合いの良さが印象に残った。
JBL「4305P」 -鳴りっぷりのよい乾いた音色
JBLスタジオモニター・シリーズの末弟である「4305P」は、発売は2022年と少し古いものの、今春ファームウェアが更新されQobuz Connect等に対応した。
ブルーバッフルに納まるのは13cm口径ウーファーと1インチ径のコンプレッションドライバー。内蔵するクラスDアンプは総合出力300W(低域:125W×2、高域:25W×2)。デジタルクロスオーバーによる各ドライバー個々に最適化されたパワー供給とDSP制御を備えたバイアンプ・ドライブシステムを採用することで、高い精度と広大なダイナミクスを持つサウンドを提供するとしている。
今回聴いた3機種の中において独特の音世界を提示したモデルだ。それは他2機種が同軸ユニットであるのに対し、コンベンショナルな2ウェイ構成もさることながら、コンプレッションドライバー+ホーンが何よりも効いている。鳴りっぷりのよい乾いた音色は、JBLらしさを凝縮したスピーカーと言いたくなるほどだ。
「ジャズ」が鳴らなければJBLにあらず。冒頭のテーマが鳴った途端に、場の空気をジャズに染めあげた。ポール・チェンバースのウォーキングベースは塊感をもって再現し、管楽器は、その音色が耳と心に刺さるかのよう。ビル・エヴァンスのピアノもリリシズムを湛えて心地がよい。この価格でこの音なら大満足だ。
「クラシック」は、奏者の熱いパッセージをダイレクトに伝えてくる。その音の強さに思わず面食らったが、これこそがJBLがJBLたる所以とも思う。
米国生まれのブランドと、彼の地のキング・オブ・「ポップス」との相性が悪いハズがない。重たいビートの土台に軽いビートが乗り、マイケルが色香をもって歌い上げる。思わず体が動く気持ちよさで、理屈よりも体で感じることを主眼としているかのよう。音を楽しむと書いて音楽と読む、というのを体現したスピーカーと言えるだろう。
テクニクス「SC-CX700」 -ややクールな音触と静謐さ
スエード調の人工皮革でくるまれたエンクロージャーに、「Phase Precision Driver4」と呼ぶ15cmウーファーと1.9cmリング型トゥイーターからなる同軸ユニットをマウント。ウーファー側に60W、トゥイーター側に40WのクラスDアンプが奢られている。日本製らしい理詰めの製品で、それはしっかりと音にも表れている。
3機種の中で最も情報量が多い印象。さりとて、それを誇示しない奥ゆかしさと、さらりとした質感に、日本の美意識を感じさせる。高域にキラッとしたアクセントが乗り、それが音楽に活力を与える。
「ジャズ」は、JBLとは対極に位置する静の佇まい。ややクールな音触と静謐さが楽曲に美しさを与えた。黙々と仕事をこなすポール・チェンバースとロイ・ヘインズ。そこにエリック・ドルフィーのフルートが秋空を舞いながら鳴く雲雀のような高らかな音色が駆けぬける。その美しい世界に、ただただ息をのんだ。
「クラシック」は、鮮烈さよりも適度な柔らかさと繊細さで聴かせる印象。少しブライトな高域が、フレッシュな彩りを添えている。細かな機微まで見事に表出し、オーディオ的な快楽と音楽的な愉しさが両立した演奏が楽しめた。
「ポップス」は、柔らかく優しい歌声が印象に残った。ストリングス・シンセをはじめとする音が綺麗に重なり、そこに粘り気のあるハモンド系オルガンサウンドがグルーヴする。切れ味ではなく、音楽全体を大きなうねりで聴かせる魅力に満ちていた。



























