ソースへの忠実度こそ、HiFiの本義。HiFiの名にふさわしい、KEFの万能アクティブスピーカー「Coda W」
“これから” オーディオを始めたい人にも、省スペースで高音質を追求したい人にも推薦できる、アクティブスピーカーの注目プロダクトをご紹介する連載<アクティブスピーカー最前線>。
2機種目は、イギリス名門・KEFが手がける「Coda W」。ユニットもキャビネットも自社開発できる技術力の高さに、現代オーディオに求められる機能を抜かりなく搭載。落ち着いた色合いで、リビングにもデスクトップにも活用できる万能スピーカーである。

<連載第1回>デスクトップからリビングまで、省スペース&高音質を狙おう
今回は連載前のプレ企画として、昨今市場を賑わす「アクティブスピーカー」について、大まかな位置付けを整理したい
2026/01/21
レコードからテレビまで連携できる多機能スピーカー
KEF「Coda W」は、同社製アクティブスピーカーの最新モデルにして、最もリーズナブルな価格設定がなされたモデルである。同社ラインナップにはほぼ同価格の「LSX II LT」も用意されているのだが、両機の立ち位置はそれぞれ異なる。
LSX II LTはデザインコンシャスかつデスクトップ用途に焦点を当てているのに対し、Coda Wはよりオーソドックスなスタイルで、多様な機器との組み合わせ・用途を志向しているイメージだ。
Coda Wの仕上げは5色展開であり、今回の試聴機は「ヴィンテージ・バーガンディ」をお借りした。いずれの仕上げも派手すぎず落ち着いた色合いとなっている。
フロントパネルに操作ボタンの類はなく、天板の前側に電源や音量調整・入力切り替えを行うためのタッチパネルが用意されている。全体として要素を削ぎ落したデザインであり、非常にすっきりとした印象を受ける。なお、操作のためのリモコンも付属する。
ユニットには25mmアルミニウムドーム製トゥイーターと130mmマグネシウム/アルミニウム合金製ウーファーで構成された、KEFのアイコンたる12世代「Uni-Q」ドライバーを搭載。冒頭で紹介したLSX II LTと比べるとユニットの世代で新しく、ウーファー径も大型であるため、音質的な充実具合では本機が上回ると言っていいだろう。
本機はアナログ/デジタルの多様な入力を持つ。中でも注目すべきはフォノ入力で、本機はMM型フォノイコライザーを搭載するため、レコードプレーヤーとの直接接続が可能になる。
レコードプレーヤーを含む、本格的なオーディオ機器とも繋いで活用してほしいとの意図が感じられる。さらにHDMI ARC端子やBluetooth対応など、現代のデジタル機器との接続にも抜かりはない。
底面はラバーフットを標準装備。四隅のスペースに余裕があるため、インシュレーター類を使った際の「収まり」が非常に良いのは嬉しいポイントだ。
ソースに忠実な再現を志向
Coda Wの再生音に触れて真っ先に思い浮かんだのが「Hi-Fi」、つまりHi-Fidelity(高忠実度)という単語。「このクラスなら派手な音作りにした方がユーザーは喜ぶだろう」という判断を退け、再生するソースの忠実な再現を志向するKEFの誇りが再生音から滲み出るようだ。
全体的に厚い中域を基調とする穏やかな再生音で、レンジは帯域的にもダイナミックレンジ的にも欲張った感じはないが、「耳当たりの良さ」という美点がある。
一方で、同軸ユニットならではのぴたりと決まる定位、精緻な空間表現、優れた分解能といった、スピーカーとしての実力の高さは随所に感じられ、「はじめてオーディオに触れる人」に衝撃を与える力は間違いなくある。
なお、Coda WはUSB入力でPCと直接接続も可能だが、この連載では評価基準を統一する目的で、Eversoloの多機能機(この場合はUSB-DACとして使用)からアナログ接続を行っている。
本機のサイズは285Hx168Wx268Dmmであり、ブックシェルフとしては一般的な大きさだが、デスクトップ環境ではそれなりにかさばるため、スペースの確保には気を付けたい。
リビングユースでは、本機の優れた定位感が特にステレオでの映像音響再生で大きな威力を発揮。サラウンドではないステレオ2chでも格別の立体感を味わうことができたとともに、広い空間での再生においても情報量が不足することはなかった。
映像用途との相性の良さは抜群と言ってよく、本機の多面的な魅力に間違いなく一役買っている。
試用を通じて、Coda Wに強く感じたのは「完成度の高さ」である。純粋なスピーカーとしての質の高さはもちろん、デザインの洗練度、使い勝手の良さも含めた「製品トータル」での完成度が印象的だった。
KEFは銘機「LS50」のアクティブ・バージョン「LS50 Wireless」を皮切りに、積極的にアクティブスピーカーのラインナップを拡充・推進してきたというイメージを筆者は持っている。
そして、結果として同社のアクティブスピーカーは「Hi-Fiスピーカーブランド」の中では洗練度で頭一つ抜けていると感じており、Coda Wもその系譜に恥じないクオリティを確かめることができた。
