公開日 2021/06/10 06:30

「Apple Music」VS「Amazon Music HD」、音がいいのはどっち? ハイレゾストリーミング比較試聴してみた

音楽ストリーミングサービスを選ぶポイントをチェック
音楽ストリーミングにまたひとつ、新たな波が訪れた。Apple Musicのロスレス/ハイレゾ対応だ。

Apple Musicがハイレゾ/ロスレスに対応!

Apple Musicのロスレス/ハイレゾ化が発表されたのは5月17日のこと。Appleとしては同時発表の空間オーディオ対応の方が目玉トピックのようで、また一般ユーザーにもアピールしやすいのだろうが、オーディオファイルとしてはやはりロスレス/ハイレゾ化は見逃せない。

カタログ全体の1億曲がロスレスとなることや、ハイレゾは最大192kHz/24bitのクオリティということもさることながら、特に目を引くのが「追加料金なし」というところだろう。これに追随するようにAmazonも日本でのAmazon Music HDの追加料金なしでの提供を発表したりと、ハイレゾ/ロスレスストリーミングが一気に手の届きやすいものとなった。実際、これからどのストリーミングサービスを使い続けるか、検討している方も多いだろう。

とはいえ、最も大事なのは音質である。果たしてそれぞれのサービスで音質がどれだけ異なるのだろうか、当社・音元出版の試聴室にて、ファイルウェブ編集部員数名で試聴を行った。




Apple Musicはロスレス/ハイレゾ化で“目覚ましい進化”を遂げた

まずは新しくなったApple Musicの実力を調べてみよう。

Apple Musicの設定から「オーディオの音質」を選び、「ロスレスオーディオ」にチェックを入れると、ストリーミング/ダウンロードのそれぞれで「高音質(AAC 256kbps)」、「ロスレス(最大48kHz/24bit ALAC)」、「ハイレゾロスレス(最大192kHz/24bit ALAC)」という3種類の音質を選択できる。また、iOSアプリの場合はストリーミングでもモバイル通信時/Wi-Fi時のそれぞれで設定可能だ。

なのでモバイル通信での通勤通学時はロッシー(高音質)、Wi-Fi環境下ではハイレゾロスレスなどというように使い分けたり、普段のストリーミングにはロッシーを使い、お気に入りのアルバムはハイレゾロスレスでダウンロードしたりと各々の環境に合わせて使用していきたい。

アルバムページのアーティスト名の下部や、プレーヤー画面にロスレス・ハイレゾロスレスマークが現れる

ちなみに、iOS版アプリではモバイル通信ストリーミング時、上記3種類の他にデータ使用量を抑える「高効率(HE-AAC)」も選択できるが、ハイレゾ/ロスレス対応以前から存在するもので、また今回は音質チェックなので除外する。

最初はロッシーとロスレスでの聴き比べを実施。Macbook Airを再生機にDACにはアキュフェーズのSACDプレーヤー「DP-750」、プリアンプは同社「C-3900」、ステレオパワーアンプ「P-7300」、スピーカーはB&Wの「803 D3」を使用した。

今回使用した試聴機材。当社刊行誌「オーディオアクセサリー」などでも使用するリファレンスだ

一聴した時点で、音場の広さが全く違うことが分かる。ロスレスだと中高域の量感が一気に増すと同時に、それぞれの音の粒立ち、奥行き感がより明瞭になる。こうして聴き比べてみると、ロッシー音源は高域成分が少ないため、天井の低い部屋に閉じ込められたかのように窮屈なうえ、全体的にのっぺりしていて精彩に欠ける印象だ。

続いてハイレゾロスレスで再生してみると、音場の広さや粒立ち、解像感がより一層増した。正直なところロスレスとハイレゾで比較すると、そこまで大きな違いはないようにも思えるが、ロッシーからロスレスにグレードアップした時の変貌ぶりは目覚ましい。対応環境があれば是非とも試していただきたい。

ちなみに、今回試してみた限りではロスレスには44.1kHz/16bitのものや、48kHz/24bitのものが混在していた。一般的にはCDクオリティの44.1kHz/16bitをロスレス、それ以上をハイレゾと呼ぶことが多いが、Apple MusicとしてはiPhone単体でのネイティブ再生が可能な48kHz/24bitまでをロスレスとして扱うようだ。

同じ「ロスレス」でも、44.1kHz/16bitのものと48kHz/24bitのものが混在している

ただ、使い勝手の面ではまだまだ不便なところが多い。例えばMac版ソフトを使う場合、音源のサンプリングレートとビット深度に出力を合わせるためには、Audio MIDI設定で都度フォーマットを調整してやらないといけない。1曲再生するごとにPC設定を行うのはシンプルに面倒なので、「排他モード」などの実装に期待したい。

また、同じ楽曲でもロスレス・ハイレゾロスレスマークが点灯しない場合があったりと、動作が不安定なところや、例えばキリンジの20周年企画盤「Melancholy Mellow I -甘い憂鬱-19982002」はハイレゾ表記なのに、同時リリースの「Melancholy Mellow II -甘い憂鬱-20032013」はロスレス表記すらなかったりと、カタログのばらつきが多いことも気になった。

とはいえ、ウェブサービスの開始当初に多少の不具合があるのは、ある意味当たり前のことだ。しばらく経てば安定してくるだろうから、気長に待ちたいところだ。

次ページハイレゾストリーミング3種を聴き比べ。どれだけ違う?

1 2 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
クローズアップCLOSEUP
アクセスランキング RANKING
1 レコードの音楽を読み取って光るターンテーブル。オーディオテクニカ「Hotaru」一般販売スタート
2 ダイソンとPORTERがコラボした特別デザインのヘッドホンとショルダーバッグ。全世界380セット限定販売
3 LUMINの進化は終わらない。初のディスクリートDAC搭載「X2」の思想を開発担当者に訊く!
4 Spotif、2025年に最も聴かれた邦楽は「ライラック」。国内外で最も聴かれた楽曲・アーティストの年間ランキング発表
5 DUNU、7ドライバー/トライブリッド構成を採用したイヤホン「DN 142」
6 カセットテープとともに過ごすカフェ「CASSE」。12/17渋谷でグランドオープン
7 Vento、3次元特殊メッシュを採用したハイブリッド拡散パネル「DAP180 / DAP120」
8 AVIOT、最大120時間再生と小型軽量を両立したオンイヤー型Bluetoothヘッドホン「WA-G1」
9 サンワサプライ、省スペース設置できる木製キャビネットのサウンドバー「400-SP120」
10 アイレックス、ALBEDO/AUDIAブランド製品の価格改定を発表。2026年1月1日より
12/5 10:47 更新
音元出版の雑誌
オーディオアクセサリー199号
季刊・オーディオアクセサリー
最新号
Vol.199
世界のオーディオアクセサリーブランド大全2025
特別増刊
世界のオーディオアクセサリーブランド大全2025
最新号
プレミアムヘッドホンガイドマガジン vol.23 2025冬
別冊・プレミアムヘッドホンガイドマガジン
最新号
Vol.23
プレミアムヘッドホンガイド Vol.33 2025 SUMMER
プレミアムヘッドホンガイド
(フリーマガジン)
最新号
Vol.33(電子版)
VGP受賞製品お買い物ガイド 2025年冬版
VGP受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年夏版(電子版)
DGPイメージングアワード2024受賞製品お買い物ガイド(2024年冬版)
DGPイメージングアワード受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年冬版(電子版)
WEB
  • PHILE WEB
  • PHILE WEB AUDIO
  • PHILE WEB BUSINESS
  • プレミアムヘッドホンガイド
  • ホームシアターCHANNEL
  • デジカメCHANNEL
AWARD
  • VGP
  • DGPイメージングアワード
  • DGPモバイルアワード
  • AEX
  • AA AWARD
  • ANALOG GPX