公開日 2019/05/05 07:00

「アベンジャーズ/エンドゲーム」観るならここがベスト! 7バージョン観たマニアが指南(前編)

IMAX、ドルビーシネマ、2D/3Dどれが良い?
永井光晴
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4Kレーザーは色が鮮やかになり、立体感が増す

(2) IMAX3D 字幕版4Kレーザー

4Kレーザー上映は、109シネマズの川崎と名古屋、菖蒲(埼玉県)に導入されている。今回は109シネマズ川崎で鑑賞した。これはその名の通り、IMAX作品を、レーザー光源の4K解像度プロジェクターを用いて投写するというものだ。

109シネマズ川崎

もともとIMAXでは、2台のプロジェクターを使うことは前述したが、川崎の4Kレーザーは、1台の筐体に2つのレンズとレーザー光源を持つプロジェクターで、明るさを2倍にしている。2D/3D上映のどちらも両レンズから映像を投写することで高い輝度が得られる。

1台で2台分の性能を持つのは凄いことだが、明るさが2倍〜2.5倍あることのメリットは同じである。前述のTOHOシネマズ新宿のIMAXデジタルは、レーザーではなくキセノンランプ光源のプロジェクターを2台使っている。

ただし、レーザー光源である明確なメリットがある。従来の水準を大きく上回る優れたコントラストと、シャープでクリアな解像度を実現することができるのだ。

加えて色域が広い。通常のプロジェクターでは、光学プリズムで白色光を分光し、回転するカラーホイールで投射するが、レーザープロジェクターではRGB3原色それぞれの光を得られるので、色純度が高くなる。カラーホイールによる色割れも原理的に起こらない。

それらがリアリティと立体感を引き出す。とにかく美しい(109シネマズの解説動画
こちら)。

実際の明るさは3Dのために左右分割され、半分近くまで落ち、通常2D版と大差なかったりもするのだが、圧倒的な画面サイズから放たれる光量が、それを補って余りある。IMAX版のあとに4DX版やMX4D版の3Dを観ると、暗く感じてしまう。

後述するドルビーシネマもレーザープロジェクターなので印象は似てくるが、「エンドゲーム」の冒頭、宇宙に取り残されたトニー・スタークの乗る宇宙船の窓ごしに広がる宇宙空間の奥行き感は、このうえないものだ。

宇宙に取り残されたトニー・スターク(「アイアンマン」)

また小さな星の数々がはっきり見えるのは、コントラストの高さのたまもの。3D効果と相まって、壮大さがより伝わってくる。

ただし少し問題もある。109シネマズ川崎のスクリーンはなるべく大きく、圧倒的な迫力を演出するため、天井から床までギリギリまでスクリーンが縦方向に広げられている。劇場デザインが意図するところは分かるが、画面底辺は前方客席や観客の頭が被る。座高の高い観客がいると、字幕の一部も見えなくなる。あくまでも好みの問題だが、画面の一部が見えないのはどうなのだろうと感じてしまう。

ちなみに同じ109シネマズには、大阪エキスポシティに2台のプロジェクターを使った「IMAXレーザー/GTテクノロジー」がある。こちらでの「エンドゲーム」は未見だが、スペックが格上なのは明白なので、画質は言わずもがなだろう。※記事初出時、「ただし3D字幕はどうせズレる」という表現がありましたが、これは誤りでした。該当部分を削除させて頂きました。お詫びして訂正致します。(2019年5月9日)

もし1回だけしか「エンドゲーム」を見られないとしたら、オリジナルの画角であることを含めて、IMAX3D+レーザープロジェクターを選ぶだろう。

しかし、ドルビーシネマや4D系には、IMAXにはない特別な長所がある。物好きにも「エンドゲーム」を7バージョン観て感じたことは、「決してIMAXが絶対ではない」ということだ。後編では、本項では触れなかったIMAXの音声についても、ドルビーアトモスとの比較を通して述べていきたいと思う。

後編「最強映画館、ドルビーシネマで観る『エンドゲーム』」につづく

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