メディア向け技術説明会を開催

シャープ旗艦スマホ「AQUOS R2」、ドルビービジョン対応で「これほどマスターに近い画面は初めて」

編集部:川田菜月
2018年06月15日
シャープは、スマートフォンとして世界初のドルビービジョン/アトモス両対応を実現した、新フラグシップモデル「AQUOS R2」のメディア向け技術説明会をドルビー本社にて開催。“ドルビービジョンを余すことなく表現する”というAQUOS R2のディスプレイ技術をメインに、本機の魅力を紹介した。

新フラッグシップモデル「AQUOS R2」のメディア向け技術説明会を開催

シャープ(株)通信事業本部・パーソナル通信事業部・システム開発部 課長の前田健次氏(写真左)、ドルビージャパン映像技術部・ディレクターの真野克己氏(写真右)

「AQUOS R」シリーズは、昨年Android搭載スマートフォンとして国内販売台数1位を記録し、市場でも人気の高いシャープ製スマートフォン。新フラグシップとして登場した「AQUOS R2」は、静止画/動画用にそれぞれ特化した2つのカメラ「AQUOS twin camera」、ドルビービジョン対応を可能にしたディスプレイ技術、それらと連携するAI技術の搭載を特徴とし、「従来機から全方位進化したシャープ渾身のモデル」としている(関連ニュース)。

世界初ドルビービジョン/アトモス両対応スマートフォン「AQUOS R2」

ディスプレイ、カメラ、AI技術を特徴としているという

本機はAQUOS史上最大・最高解像度を誇るという6.0インチのIGZOディスプレイを搭載。従来モデルと比較して、同じ本体幅のまま画面サイズは5.3インチから6.0インチと約13%拡大、解像度は「WQHD+」(3,040×1,440)で約18%アップさせたとのこと。また好評を得ているという「なめらかハイスピードIGZO駆動」では、応答速度を約25%向上させ、なめらかな画面表示と快適な操作性を実現するという。

ディスプレイの技術説明には、シャープ(株)開発担当の前田健次氏が登壇。今回は「ドルビービジョンを余すことなく表現するためのディスプレイ」を目標に、様々な技術やこだわりを投入しているという。

「ドルビービジョンの情報をできるだけカバーするためには、広い色域と正確性が重要だ。ただ輝度の表現力を上げると色域が落ちてしまうなど、ディスプレイは輝度・色域・電力・応答速度の全体バランスが重要」とし、色域については「DCI-P3」をカバーすることを実現した。また独自の光学調整システムを用いて、全階調に対して正確性を重視した最適な色度・ガンマ調整をRGB独立10bitの精度で行い、sRGBコンテンツをDCI-P3の理論値に近づけているという。

映像製作における表示規格「DCI-P3」対応を実現

全階調に対してRGB独立10bitの精度で色度・ガンマ調整を行っている

DCI-P3への対応は、社内のディスプレイデバイス開発部門と連携した液晶の光学設計によって実現したとのこと。LEDの選定や波長特性、バックライトの均一性、画素設計、カラーフィルターの材料やガラスの透過率など、構成要素の全てに徹底的にこだわってディスプレイの性能を高めたとしており、「社内にある液晶パネル技術を使って、独自のディスプレイ開発が出来ることがシャープの利点」と語った。

社内のディスプレイデバイス開発部門と連携し、液晶光学設計には徹底してこだわったという

ただ、生産工程においては個体差が少なからず発生してしまう。そこで同社は品質を統一すべく、光学測定器で一台一台をチェックしてデータを取得し、色度やガンマを調整して色のバラつきを出来るだけ抑えているとのこと。こうした調整はフィーチャーフォン時代から行っているが、継続的に技術向上に取り組んでおり、常に高い精度で品質の均一化に努めているという。使用する光学測定器も社内で同一の測定基準とし、これにより正確な色や階調特性を再現できるパネル開発、および品質調整を実現しているとした。

ドルビービジョンの技術説明には、ドルビージャパン(株)映像技術部ディレクターの真野克己氏が登壇した。実際の映像が持つカラーボリューム(色域と輝度レンジ)を、デバイス上の表現に落とし込むには、「映像の動的メタデータを用いて、いかにマッピングダウンするかが重要」という。

輝度のピーク、最低ライン、平均値は場面ごとに変わるため、動的なデータに合わせて調整する必要がある

実際の映像は、場面ごとに明暗の差が大きな画やミッドトーンのみの画など様々あり、スタティックにトーンカーブ制御を圧縮してしまうと、白飛びしたりディテールが失われたり、本来の映像と異なる表現になる場合がある。ドルビービジョンでは、メタデータを活用することで映像トーンに合わせて適切にマッピングダウン、映像製作者が意図した通りに再現していくという。

例として雪山の画では、明るい箇所が多いため、静的なトーンカーブ制御だと白飛びしてしまう(写真左の様子)

会場では、AQUOS R2とドルビー製カラーグレーディング用モニターの比較視聴デモが行われた。モニターは0.005 - 2,000nitsの輝度レンジを持っており、映像も非圧縮のスタジオマスターを使用。AQUOS R2の映像はドルビーでデバイスに合わせて調整したものを用いている。コンテンツはインディアンアート、マウイ島ハレアカラ、独自製作したCGアニメの3つを再生した。

AQUOS R2とドルビー製カラーグレーディング用モニターの比較視聴デモ

AQUOS R2では、リファレンス映像に限りなく近い映像表現が可能になった

真野氏は「AQUOS R2では色ズレが少なく、正確に再生することができる」とコメント。通常のディスプレイではエンハンスが自由な分、レファレンスに対して色が異なる表現になっているケースも多々あるとした。また真野氏はドルビーの目指す「映像制作者の意図に忠実な映像」を実現するにあたって、「AQUOS R2は映像エンジンで補正するのではなく、正確な表現ができるディスプレイの力によって、レファレンスと色も輝度もほぼ変わらずに表現できている」と語った。

ドルビービジョンの艶やかで美しい映像を、色付けすることなく正確に表現

CGは人工的に自然にはない色や強い光、ノイズのない映像も可能。それらにも対応する正確性があるとした

前田氏も「シャープとしても正確で癖のない映像表現のできる、素直なディスプレイだと自負している」と語る。実際に記者も視聴してみて、色やコントラストが強調されることもなく、ドルビービジョンの艶やかで美しい映像が再現されていると感じた。マスター映像と比べてみても、その忠実な再現性が実感できた。

また、DCI-P3対応によってベースのカラーボリュームが大きくなった点と、輝度レンジに癖が無い点が映像チューニングのポイントとのこと。ドルビーのカラーリストやチューニングエンジニアも「世界中の様々な端末を扱ってきたが、これほどマスターに近いデバイスは初めて。こうした力のあるデバイスはプロモニターに限りなく近づけることができるので、調整のしがいがある」と、AQUOS R2のディスプレイ技術に驚いていたという。

「プロモニターに限りなく近づけることができる」とドルビーの映像チューニングエンジニアも絶賛しているという

真野氏いわく「UHD BDはBDとセットになっていることが多い。これは、UHD BDの映像が、デバイスによってSDRにダウンコンバートした際、制作側の意図したイメージと異なる調整がされることが多く、それを避けるため」だという。

「AQUOS R2は、レファレンスを忠実に再現することが出来るディスプレイデバイス」とし、「クリエイターの映像に込めた思いを忠実に再現できるフォーマットを目指すドルビーとしては、こうした製品をきっかけに、デバイス開発においても“映像製作者が本来美しいと考える映像表現を正確に再現する”という考え方が広がっていくことを期待している」と語った。

また、今後のスマートフォンのドルビービジョン対応については、「ピクセル密度が高いスマートフォンは、小さな画面でもドルビービジョンの艶やかな映像をより美しく表現できる。その正確性からか、長時間視聴でも疲れを感じることは少なかった。ドルビーとしてもスマホ対応には魅力を感じている」と、新しい視聴スタイルの可能性に期待を寄せていた。

さて、AQUOS R2ではサラウンドフォーマット「ドルビーアトモス」にも対応しており、ヘッドホン/イヤホン接続時には音に包まれるようなリスニング体験が可能だ。

ドルビーアトモスにも対応。再生すると上から降ってくる雨音や、風に吹かれる葉音が後ろから回り込むように聞こえるなど、立体的なサウンドを体験できた

さらに、これらドルビー対応以外にも、様々な面で大きく進化している。プロセッサーには「Qualcomm SDM845」を搭載しており、従来比較でCPU/GPU性能は30%、AI処理は約3倍の高速化を実現。本体の放熱設計も新たに見直しを図り、約2倍の放熱性と約7倍の持続時間を可能にし、負荷の高い映像コンテンツの再生時などでも動きが止まることなく長時間使用できるとしている。

カメラ機能は動画撮影に注力し、2,260万画素の高精細静止画用カメラに加えて、新たに1,630万画素/最大画角135°の超広角「ドラマティックワイドカメラ」を搭載し、臨場感あふれる映像撮影を実現するという。

1,630万画素/最大画角135°の超広角「ドラマティックワイドカメラ」を搭載

手ぶれ補正やフォーカスも動画用の技術を搭載しており、被写体を追う際のブレを抑制する電子式手ぶれ補正機能、手前から奥まで映像全体をくっきりと映す「ディープフォーカス」を採用した。また静止画/動画用と独立したカメラ構成を生かして、動画を撮りながら静止画の撮影も可能となる。なお同時撮影時には画角は変わり、静止画は90度。これはディストーションが気にならないラインを狙ったとしている。

動画撮影に必要なスペックを備えたレンズ選定を行い、写真とは異なる動画専用の性能をもたせているとのこと

最近ではスマートフォンで動画撮影をするユーザーが全体の49%、そのうち約6割がSNSに投稿しているという

さらにAI技術との連携により、笑顔の瞬間などを感知して撮影する自動シャッター機能や、動画と静止画の組み合わせ再生、静止画の撮影シーンに応じた最適モードの自動選択なども装備する。

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