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IMAX、ドルビーシネマ、2D/3Dどれが良い?

「アベンジャーズ/エンドゲーム」観るならここがベスト! 7バージョン観たマニアが指南(前編)

公開日 2019/05/05 07:00 永井光晴
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さて「エンドゲーム」はルッソ監督の言うとおり、シネスコ上映より上下に広く、面積にして26%増となる(109シネマズの解説動画はこちら)。

具体的に挙げてみよう。「タイム泥棒作戦」のため、ハルクとロケットがトラックの荷台に乗って、ソーを迎えに行くシーン。IMAX画面では道ばたに「ニューアスガルドへようこそ」と書かれた看板がすぐ出てくるが、シネスコではしばらくフレーム外にあり、やがて見えてくる。

IMAX版の画面は、空間にゆったりとした開放感がある。人物のズームアップなど、IMAXのあとに2Dシネスコ版を観ると窮屈で、不自然なバランスと感じてしまう。

「アベンジャーズ/エンドゲーム」のシネスコでは人物のズームアップになると、窮屈な印象は否めない(109シネマズのニュースリリースより)

もちろん作品はプロの仕事である。ちゃんとガイドラインなどでフレーミングをしながら撮影しているのは当然で、あとから機械的にトリミングしたわけではない。

シネスコ上映でしか観なければ、そういうものと受け取れるだろう。しかしIMAXでしか見えない部分があると知ってしまうと、精神衛生上よくない。

さらには、Blu-rayパッケージになるときの収録アスペクトも気がかりだ。 左右に黒オビを付けてIMAX収録するというのは考えにくく、ビスタにしてもシネスコにしても上下をカットして収録することになる。つまり「エンドゲーム」の完全オリジナル映像を楽しむには、今のうちに劇場で観るしかないのだ。

実は、初日に観た「エンドゲーム」は2D版字幕であった。作品の冒頭は、ホーク・アイことクリント・バートン(ジェレミー・レナー)が家族と過ごすシーンだ。ここで娘のライラの姿が消えてしまうのだが、クリントが振り返ってライラの名前を叫ぶとき、樹木(弓矢の練習をしていた)の左側に細かい灰が舞っているのが見える。サノスが生命の50%を消したときに出るアレである。

それを2D版では、恥ずかしながら見逃してしまった。ところがIMAXで初めて気づいた。もちろん初見だったということもあるが、これが超大画面、IMAXの威力である。

では「IMAXでの鑑賞が一番」と、諸手を挙げて賛成できるかというと、否である。

IMAXの3Dは、首を少しでも傾けると字幕文字がズレる。これは直線偏光を使っているから。IMAXでは専用3Dグラスを手渡される。多くの映画館で採用されている「リアルD 3D」方式は3Dグラスも違い、円偏光(左右で左回転・右回転)方式を採用しているので、極端な話、寝ころがっても大丈夫である。個人的にIMAX3D作品を観るときは、いつもイライラしながら、首をまっすぐにして集中することになる。

IMAX用の3Dグラス(左)と、REAL D 3Dのグラス(右)

またIMAXデジタルでは2台のプロジェクターを採用しており、明るさのメリットがある一方、3Dにおけるコンバージェンス(左右合わせ)はさらにシビアになる。これがIMAX3Dの最大の弱点だ。

「エンドゲーム」も例外ではない。せっかく大画面で明るく綺麗な画なのに、左右がズレる質の悪い画を見ないよう、ガチガチに緊張して鑑賞する。

ここで私見を述べると、そもそも字幕なんてものは、監督の作った画面を汚すもので、必要悪である。吹替で観る方が楽だし、どうしても英語のセリフを聞きたいのなら、字幕なしで観るべきだ。

リピーターの皆さんは、2〜3度見ればセリフやストーリーは頭に入っているだろう。GWの海外旅行先でIMAX鑑賞というのがオススメだ(もう遅いか…)。

次ページもし1バージョンしか見られないとしたら…

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