公開日 2018/02/27 08:00

単体機も顔負け、 OPPO「UDP-205」USB-DAC機能。禁断の “同ブランド対決” の軍配は?

【特別企画】超多機能プレーヤーのDAC性能をチェック
11.2MHz DSDの再生では、圧倒的なまでのリアリティが味わえる

今回の試聴でぜひとも試してみたいことがあった。それはUDP-205で、現在世の中に流通しているハイレゾファイルの中でもレゾリューションが高いDSD 11.2MHzや、DXDとも呼ばれるPCM 352kHzの楽曲を聴くことだ。

11.2MHz DSDでいえば、いずれもCDの8倍、SACDと比べても4倍という圧倒的な情報量を持っており、ハイレゾ再生の醍醐味のひとつと言える。従来モデルのBDP-105DJPでいち早く11.2MHz DSDに対応した同社だが、最新のUDP-205はどこまでの音が出せるのだろうか。

DSD11.2MHzは、高音質音源を手がけるレーベルとして知られている2xHDからリリースされた、ジャコ・パストリアス『Truth, Liberty & Soul』(11.2MHz/1bit DSF)を再生。ライブ録音なのだが、冒頭の観客の拍手からして生々しい。しかも、ジャコ・パストリアスのベースのリアリティは他の録音と比べても突出していて、トランペット、ドラムなどの1つ1つの音にみなぎるような力感がある。豊富な情報量とこの力感が同居してこその、最高のグルーヴが得られる。


ジャコ・パストリアス『Truth, Liberty & Soul』(11.2MHz/1bit DSF)
続いてDXD音源だが、ノルウェーの高音質レーベル 2Lの新譜、Det Norske Jentekor & Anne Karin Sundal-Ask『Folketoner』(352kHz/24bit FLAC)を再生する。なんと大きく、そして細部まで描き込まれたサウンドステージだろう。幾重にも重なる声楽隊のコーラスが、2本のスピーカーの上下左右を超えて大きく広がり、その中にソリストのボーカルがピンポイントで浮かぶ。これぞ、ハイスペック・フォーマットの真骨頂と言える再生だ。


『Folketoner』(352kHz/24bit FLAC)
この表現を大げさと思うなら、ぜひ一度UDP-205でこうした音源を再生してみてほしい。ビジュアルの要素も含んだ“ユニバーサルプレーヤー”という肩書きが不釣り合いに感じるほどのクオリティに、感動さえ覚える。

Sonica DACと比較試聴。音質のちがいのカギになったのは・・・

USB-DACの実力を一通り確認したしたところで、ついに同じOPPO Digitalの「Sonica DAC」との対決だ。10万円を切る価格ながらUDP-205と同じDACチップ「ESS9038」を搭載。圧倒的なコストパフォーマンスとその音の良さで、Sonica DACは大ヒットモデルとなった。


Sonica DAC ¥OPEN(予想実売価格98,000円前後)
UDP-205とSonica DACの仕様面の差異は冒頭で述べたとおりだが、実際に並べて音を聴き比べると、どのようなちがいが見えてくるだろうか。

まずは、最近リファレンスとして使っている男性ジャズボーカル、グレゴリー・ポーター『Nat King Cole & Me』(96kHz/24bit FLAC)で聴き比べてみた。その音のちがいは予想以上だった。

こちらの記事で筆者自身がレビューしたが、Sonica DACはES9038PROの搭載に加えて、電源部にもこだわりを見せている。その高い解像度には価格を忘れさせられるし、迫力あるベースとキレの良いスネアドラムが印象的だ。


対してUDP-205は、同じレベルの情報量や聴感上の解像度を出しながらも、さらに中域に密度感があり、一音一音に実体感が伴う。音像の安定度も高く、よりアキュレートな音色の表現で聞かせてくれる。

続いては冒頭でも聴いた『ブルックナー:交響曲 第3番』」を聴いたが、いずれも弦楽器の色艶がよく、一聴して懐の深さを感じる。両機での大きな違いとなるのは、やはり中域の密度感を基とした音楽性と低域の安定度だ。

オーケストラ構成の楽曲は、曲の盛り上がるフォルテシモにおいて、コントラバスやチューバなどの低音楽器はもちろん、ヴィオラやホルンなど音域の間を埋めるいわゆる“つなぎ”の楽器も重要となる。そして、これらの楽器は中域の成分を多く含んでいる。すなわち優れた抑揚表現を可能にするためには、中域の表現力が重要なのだ。

先述した通り本機のDACは音楽性を大きく左右する中域に密度があり、オーケストラらしい重厚な表現に強い。ここはSonica DACに対して最も優位なポイントだろう。Sonica DACも破格のコストパフォーマンスを備えているとは言え、価格が倍のUDP-205は、やはり筐体の堅牢性や電源の規模で勝っている。その差が音になって現れたと言える。

次ページUDP-205のUSB-DAC再生と、ディスク/ネットワーク再生の音を比較してみた

前へ 1 2 3 4 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

関連リンク

クローズアップCLOSEUP
アクセスランキング RANKING
1 BRAVIAが空飛ぶ時代? 動画コンテンツの楽しみ方に押し寄せた大きな変化を指摘するソニーショップ店長。超大画面はさらに身近に
2 ネットワークオーディオに、新たな扉を開く。オーディオ銘機賞の栄えある“金賞”、エソテリック「Grandioso N1」の実力に迫る
3 Nothing、最大40%オフのウィンターセール開催
4 LG、世界初のDolby Atmos FlexConnect対応サウンドバー「H7」。オーディオシステム「LG Sound Suite」をCESで発表へ
5 「ゴジラAR ゴジラ VS 東京ドーム」を体験。目の前に実物大で現れる“圧倒的ゴジラ”の臨場感
6 衝撃のハイコスパ、サンシャインの純マグネシウム製3重構造インシュレーター「T-SPENCER」を試す
7 AVIOT、“業界最小クラス”のANC完全ワイヤレス「TE-Q3R」。LDAC、立体音響にも対応
8 ソニー「WH-1000XM5」に“2.5.1”アップデート。Quick AccessがApple Music/YouTube Musicに対応
9 「HDR10+ ADVANCED」が正式発表。全体的な輝度向上、ローカルトーンマッピングなど新機能も
10 クリプトン、左右独立バイアンプ機構のハイレゾ対応アクティブスピーカー「KS-55HG」新色 “RED”
12/19 11:02 更新
音元出版の雑誌
オーディオアクセサリー199号
季刊・オーディオアクセサリー
最新号
Vol.199
世界のオーディオアクセサリーブランド大全2025
特別増刊
世界のオーディオアクセサリーブランド大全2025
最新号
プレミアムヘッドホンガイドマガジン vol.23 2025冬
別冊・プレミアムヘッドホンガイドマガジン
最新号
Vol.23
プレミアムヘッドホンガイド Vol.33 2025 SUMMER
プレミアムヘッドホンガイド
(フリーマガジン)
最新号
Vol.33(電子版)
VGP受賞製品お買い物ガイド 2025年冬版
VGP受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年夏版(電子版)
DGPイメージングアワード2024受賞製品お買い物ガイド(2024年冬版)
DGPイメージングアワード受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年冬版(電子版)
WEB
  • PHILE WEB
  • PHILE WEB AUDIO
  • PHILE WEB BUSINESS
  • プレミアムヘッドホンガイド
  • ホームシアターCHANNEL
  • デジカメCHANNEL
AWARD
  • VGP
  • DGPイメージングアワード
  • DGPモバイルアワード
  • AEX
  • AA AWARD
  • ANALOG GPX