公開日 2017/10/19 12:38

iFI-Audio「nano iDSD BL」速攻レビュー。最新トレンドを凝縮したモンスターマシン

「ブラックラベル」へと進化した注目のサウンドは?

■MQAに対応した最も手頃な価格帯のDAC

完成度が高くなったと感じるのは、前後両側のプレートの面積を小さくしてボディからの出っ張りをなくし、スムースな形状にしている点で、これはiFIの新しいデザインコンセプトでもある。脚は柔らかい樹脂の4点のものを最初から装備。また、ボリュームのノブは奥行きを短くしつつ直径を大きくすることによって操作性も向上。総じて使い勝手が改善されつつ、デザイン性も大幅に向上したと感じる。

iPhone用に用意されたLightning-USB AdapterやAndroidのUSB OTGケーブル、ウォークマン用のWMC-NWH10をダイレクトに接続できるUSBオス端子を装備。旧モデルに採用されたRCA端子類は省き、かわりにφ3.5mmライン出力端子としてモバイル性を高めた

フロントパネルのデザインも新たなものに変更。ヘッドフォン出力はφ3.5mmで、片方がハイインピーダンス用、もう片方がカスタムイヤフォンを想定したiEMatchを経由しての出力となる

特筆しておきたいのは、入力に対してMQAに対応してきたことだ。より高次なサンプリング周波数やbit深度のデジタルデータを44.1kHz/16bitといったCD相当のフォーマットに織り畳んで伝送する技術で、TIDAL Mastersでの採用をはじめ世界的に大きな注目を集めているフォーマットだ。

ハイレゾデータ自体を軽くしたり、あるいはストリーミングの伝送レートを低くできる画期的な技術だが、nano iDSD BLは現存するMQA対応のハイファイオーディオ機器としてはもっとも手頃な価格で対応している。このあたり、iFIの技術力の高さや先進性に舌を巻く部分だ。ライバル機となるとコードの「Mojo」あたりで、カラーもサイズも似通った部分が多いが、MQAへの対応はnano iDSD BLの大きな魅力となるだろう。

■初代機と比較しても倍以上の価値がある音

まずは筆者のレファレンスであるシュア「SE535 Special Edition」でテストしたが、S/N感が良く、透明な音場空間の中にしっとりと音像が定位。その実在感が実に高い。初代のnano iDSDと比較しても、値段が倍でも足りないくらいの成熟した音だ。音像は良い意味で大きめで音楽に近く、音色の陰影感や自然な音像の輪郭など、値段からは想像がつかない再現に驚かされる。

デジタルフィルターは2種類の切り換えで、“MEASURE"の方がアキュレート。“LISTEN"が高域の存在感をやや低くした音楽的な音になっている。主観的に言うとほっとできる音で、どれだけ背景が静かなのだろう。アコースティックギターの甘い音色感はなかなか聴けるもんじゃない。ライン出力をアンプにつないでスピーカーも鳴らしたが、音像の形が端正で、S/N感も悪くない。

nano iDSD BLはコンパクトなボディに最新のトレンドを凝縮したモンスターマシンだ。ボディのデザインも、Q-Balanced回路も、これからのiFIを垣間見せてくれるリーダー的な存在である。

(鈴木 裕)

前へ 1 2

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

関連リンク

製品スペックを見る
  • ジャンルヘッドホン(単体)
  • ブランドiFi audio
  • 型番nano iDSD BL
  • 発売日2017-11-03
  • 価格27000
【ラインアンプ部】●ダイナミックレンジ(ライン):>109dB●THD+N(0dBFS、ライン):<0.004%●出力電圧(ライン):>2.15V●出力インピーダンス(Zout):<240Ω●チャンネルセパレーション:>99dB(@1kHz)【ヘッドフォンアンプ部】●ダイナミックレンジ(ヘッドフォンアンプ、DAC):>109dB(A)@3V(Normal out)、>107dB(A)@0.5V(High Sensitivity Out)with iEMatch●THD+N(@125mW/30R):<0.005%●最大出力(<10% THD):>3.5V@600Ω(Normal Out) 20mW、>2.05V@300Ω(Normal Out) 285mW、>1.7V@15Ω(Nomal Out) 200mW●出力インピーダンス(Zout):<=1Ω(Normal Sensitivity Output)、<=4Ω(High Sensitivity iEMatch Out)●チャンネルセパレーション:>79dB@600Ω Load(Normal Out、1kHz)、>79dB@15Ω Load(Normal Out、1kHz)【総合】●最大対応サンプルレート:DSD12.3MHz、PCM384kHz●MQA:対応●サイズ:96L×64W×25.5Hmm●質量:139g●取り扱い:ENZO j-Fi LLC.、泣gップウイング
クローズアップCLOSEUP
アクセスランキング RANKING
1 DALIのコンパクトスピーカー「KUPID」はテレビ横にも置きたくなる!エンタメサウンドも相性抜群
2 ビックカメラ、旧池袋マルイ跡地「IT tower TOKYO」に出店。2026年3月オープン予定
3 Valerion、4Kレーザープロジェクター&スクリーンのセットを最大43%オフで販売する「クリスマスセール」
4 スクリーンを下ろせば和室がホームシアターに変身! ユニークな機器レイアウトに注目
5 ORB、“最良の音楽表現” を目指したフラグシップヘッドホンアンプ「JADE casa Ultimate」
6 「ベーシック」の常識を覆すハイレベルなインターコネクトケーブル Zonotone「Granster AC-2000」
7 KEF、対象スピーカー購入者全員へChord Company製ケーブルをプレゼントするキャンペーン
8 LG、RGBマイクロLEDテレビ「Micro RGB evo」。CES2026で正式発表へ
9 NICEHCK、新フラグシップIEM「Rockies」。1DD+2BA+2ESTのハイブリッドドライバー搭載
10 <ポタフェス>B&W、フラグシップヘッドホン新旧比較/デノン、リアルウッドヘッドホンをアナログで味わう
12/18 10:50 更新
音元出版の雑誌
オーディオアクセサリー199号
季刊・オーディオアクセサリー
最新号
Vol.199
世界のオーディオアクセサリーブランド大全2025
特別増刊
世界のオーディオアクセサリーブランド大全2025
最新号
プレミアムヘッドホンガイドマガジン vol.23 2025冬
別冊・プレミアムヘッドホンガイドマガジン
最新号
Vol.23
プレミアムヘッドホンガイド Vol.33 2025 SUMMER
プレミアムヘッドホンガイド
(フリーマガジン)
最新号
Vol.33(電子版)
VGP受賞製品お買い物ガイド 2025年冬版
VGP受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年夏版(電子版)
DGPイメージングアワード2024受賞製品お買い物ガイド(2024年冬版)
DGPイメージングアワード受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年冬版(電子版)
WEB
  • PHILE WEB
  • PHILE WEB AUDIO
  • PHILE WEB BUSINESS
  • プレミアムヘッドホンガイド
  • ホームシアターCHANNEL
  • デジカメCHANNEL
AWARD
  • VGP
  • DGPイメージングアワード
  • DGPモバイルアワード
  • AEX
  • AA AWARD
  • ANALOG GPX