公開日 2016/12/15 11:00

技術の粋を集めた結晶。あのClarionが作ったフルデジタルサウンドヘッドホン「ZH700FF」を聴く

【特別企画】オンリーワン製品の価値を検証

音場もごく自然で、完全な前方定位とまではいかないが、左右にも奥行き方向にもしっかりとした広がり感を感じる、良質なサウンドフィールドを実現している。

たとえば、よしうらけんじ「Birds and Seven Woods」(アルバム「TONES」収録曲)は、デジタルエフェクトを一切使わず、ホールのエコー成分のみで構成されている自然な音場感が特徴の楽曲だが、キレの良いパーカッションが生み出す響きによって、各楽器の配置はもちろん、反響音によってホールの大きさや壁の素材まで実感できる。こういったリアルさは、素性の良い音色あってこそ実現できるもの。そういった点で、なかなかの資質の高さを感じさせる。
 
いっぽうで、Ysayeのヴァイオリンの音色は、普段よりもボーイングのタッチが柔らかく、優しげに聴こえる。倍音の乗り方が良く、心地よい響きになっているのだろうか。とはいえ、フォーカスの高い基音によって、豊かな表現の演奏を聴かせてくれるのも確かだ。

選択している入力ソースを表示するインジケーターも用意

光デジタル入力はステレオミニ入力と兼用の端子だ
 
女性ヴォーカルもナチュラル至上主義の歌声といったイメージ。たっぷりとした低域を含むため、ほんの少し鼻にかかったハスキーな歌声で、情緒感たっぷりに歌い上げてくれる。また、ヴォーカルレコーディングやマスタリングの特徴が顕著に表れるのも興味深い。

たとえばTECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND「打ち寄せられた忘却の残響に」の24bit版(小池光夫氏マスタリング)/32bit版(原田光晴氏マスタリング)を聴き比べると、24bit版がとても素直でのびやかな声なのに対し、32bitのほうは発声のしっかりした艶のある声に感じられる。こういったほんのちょっとの違い、ハイレゾならではの表現の違いをしっかりと拾い上げてくれるあたりは、素晴らしくもありがたい。
 
続いて、プレーヤーをPCからDAP(Astell & Kern AK380)に変更し、光ケーブル接続で聴いてみる。なお、今回の試聴では光ケーブルはSUPRAを使用した。

DAPとの接続では抜けの良いダイレクトなサウンドが聴ける

なんと、こちらはPCに比べてヌケの良い、ダイレクト感の高いサウンドへと変化する。ヴァイオリンは演奏の立ち位置が近くなり、細部までしっかりと見渡せるサウンドとなった。

サウンドキャラクターとしては、やや高域の表現が鋭くなったイメージで、輝きの強い音色に変化している。自然さ、という点ではPCとのUSB接続に分があるものの、音のインパクトの強さ、活き活きとした表現ではこちらだろう。またJポップ系との相性も、こちらの方が良いかも。TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUNDを聴くと、よりクリアな演奏を楽しむことができる。

最後にひとつだけ、リクエストしたい部分がある。それは低域の表現についてだ。

基本的には質感の高い、響きの美しい低域なのだが、たっぷりとした量感を確保しているためか、多少なり中域の楽器に影響を及ぼす傾向がある。そのため楽曲のジャンルや種類によっては、もう少し低域のピークを下に持っていくか、ややボリュームを絞りたくなる。ほんのちょっと、もう一声のバランス調整が欲しい気になるのは確かだ。
 
などと言っていたら、朗報が入ってきた。実はこの「ZH700FF」、デジタルコントロールで音質調整を行っているため、ある程度のチューニング変更が可能となっていて、将来的に別のプリセットを提供できないか、ただいま検討している最中という。

こちらはユーザー自身が調整できるわけではなく、保存できる設定も1つだけだが、好みやよく聴く音楽ジャンルに合わせてある程度の音色調整を行えるのは嬉しい限り。ぜひとも実現を期待したい。


 
このように「ZH700FF」は、既存の高級ヘッドホンとは生い立ちだけでなく理想の音質へのアプローチも異なる、オンリーワンな製品であることが確認できた。

もちろんオーディオ機器なので音の良さが最優先なのは当然だが、コンセプトや存在感の強さもあわせて魅力をカタチづくっている個性際立つ製品で、一度気になったら手放せそうにない製品であると断言しよう。

(特別企画 協力:Clarion)

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