公開日 2015/09/01 12:00

これ一台でハイレゾの楽しみ方いろいろ。パナソニックのシステムコンポ「SC-PMX100」

【特別企画】ネットワーク再生/USB-DAC/USBメモリ再生など多彩な活用

手軽にハイレゾを楽しみたいならUSBメモリー経由で。

簡単にハイレゾ音源を楽しむ方法として、USBメモリーを試してみよう。フロントパネル左側のスロットにメモリーを差すだけの簡単操作で、FLAC形式であれば最大192kHz/24bitまでのハイレゾ音源を即座に再生できる。パソコンでダウンロードしたあと、USBメモリーにコピーするだけですぐ聴けるので、ハイレゾを手っ取り早く試し聴きする用途にもうってつけだ。

USBメモリを使えば、本体に差すだけですぐハイレゾを聴ける。面倒な設定なども不要で、非常に手軽な方法だ

PMX100の誇張のない音調は、USBメモリーの再生音にもそのまま当てはまる。オルガン独奏は超低域を除いて低音から高音までほぼフラットなバランスで鳴り、サイズから想像するよりもひと回り大きな空間を再現、スピーカーの後ろ側にまで余韻が伸びやかに広がった。

パイプオルガンはストップと呼ばれる機構によって多様な音色を鳴らし分けることができるが、PMX100はその音色の違いをきめ細かく描き分け、楽器とホール空間の特徴をリアルに再現した。そこまで精妙な響きをCDから引き出すのはかなりの上級システムでなければ難しいが、ハイレゾ音源なら、簡潔なUSBメモリ再生でも録音の特徴がリアルに浮かび上がってくる。

SC-PMX100は、カテゴリーとしてはミニコンポのくくりだが、非常に凝ったつくり。トゥイーターには、100kHzまでの再現性に威力を発揮するというスーパーソニックトゥイーターと、50kHzまでの高音域再生が可能な1.9cmシルクドームトゥイーターを搭載

筐体はアルミのフロントパネルを採用するなど強固なつくり。音質に悪影響を及ぼす不要な振動を低減する


ソプラノのアンナ・ネトレプコが歌うヴェルディのアリアは、独唱から伝わる表情の陰影が深く、マクベス夫人の歪んだ感情や異常な高揚感が際立つ。ネトレプコの強靭で密度の高い声をオーディオ機器で忠実に再現するのはかなり難易度が高いのだが、情報量に余裕のあるハイレゾ音源で聴くと、たとえミニコンポでも響きに余裕が生まれ、ダイナミックレンジの大きさを実感しやすい。

次に、1970年代に録音されたジャズの名アルバム『ジャズ・アット・ザ・ポーンショップ』を192kHz/24bitのFLAC音源で聴いた。アナログマスターに入っている生々しい臨場感、そしてサックスやヴィブラフォンの実在感豊かなサウンドがこの録音の聴きどころなのだが、本機はまさにそうした聴き手が期待する要素を鮮度の高い音で再現してみせる。大きめの音量で聴いた時のベースの鳴りっぷりの良さなど、ミニコンポの領域を超えていると思わせる瞬間もあった。


CDも高音質再生。馴染みの曲が新鮮に楽しめる

最後にCD再生のクオリティにも触れておこう。ジェニファー・ウォーンズのアルバムから『ザ・パンサー』を再生し、おなじみの曲がPMX100でどう鳴るのか、聴いてみた。冒頭のパーカッションは一音一音の粒立ちが鮮明で、聴き手の耳にまっすぐ飛んでくるようなイメージだ。ギターも音離れが良く、くっきりとした輪郭で前に出てくる。

そして、肝心のヴォーカルは柔らかいタッチが印象的で、リズム楽器との対比が際立つ。ハイレゾ音源に比べるとアクティブな面が目立つ音だが、それをCDらしさと言い換えても良いかもしれない。いずれにしても、このクラスのミニコンポでメディアの違いを聴き取れるのは興味深いことだ。



一台で幅広いメディアをカバーするPMX100は、期待通りに便利で扱いやすいシステムであった。だが、たんに便利なだけのシステムではなく、音へのこだわりにも強い印象を受けた。ハイレゾ音源の長所を引き出し、再生メディアごとの特徴を描き分ける。その基本性能は、前作から確実な進化を遂げている。



PANASONIC SC-PMX100 ¥OPEN
<アンプ部>
●実用最大出力(JEITA):120W(60W+60W)
<スピーカー部>
●形式:3ウェイ3スピーカーシステム(バスレフ型)
●使用スピーカー:ウーファー…14cmコーン型、トゥイーター…1.9cmドーム型、スーパートゥイーター…1.2cmピエゾ型
●インピーダンス:3Ω
●再生周波数帯域:41Hz〜100kHz(-16dB)、45Hz〜90kHz(-10dB)
●出力音圧レベル:82dB/W(1m) 
<その他>
●接続端子:アナログ音声入出力端子、LAN端子、USB端子、ヘッドホン端子
●対応フォーマット:MP3/FLAC/WAV
●Bluetoothバージョン:Ver.2.1
●対応プロファイル:A2DP/AVRCP
●消費電力:51W(待機時 約0.35W)
●外形寸法:本体…211×114×267mm、スピーカー…161×238×264mm
●質量:合計 約9kg





(山之内 正)

前へ 1 2 3

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
クローズアップCLOSEUP
アクセスランキング RANKING
1 ほしい機能をすべて備えたコスパ最強のイヤーカフ型TWS、SOUNDPEATS「Clip1」
2 4Kテレビ半額以下も。LG、直販サイトで「 Holiday SALE 2025」を12/26まで開催
3 究極のネットオーディオ再生を。“求道者”のためのLANケーブル、AIM「SILVER STREAM【NAX】」を聴く
4 JVCケンウッド、前後2カメラ構成ドラレコ「DRV-R40W」。最長24時間の駐車録画に標準対応
5 “懐古”ではなく“再誕”。Nakamichiから平面磁界ヘッドホン/スピーカーが2026年発売
6 【ミニレビュー】音楽に耽溺させるケーブル。ゾノトーン「Granster AC-5000」
7 映画『F1(R)/エフワン』4K UHD BD、2025年トップクラスのリファレンス盤! 超速レースが五感を刺激する
8 パナソニックオートモーティブシステムズ、「モビテラ」に社名変更。2027年4月から
9 Valerion 、4K対応プロジェクター「VisionMaster Max」を国内展開。Makuakeプロジェクトを開始
10 エレコム、耳にやさしくフィットするイヤーカフ型完全ワイヤレス「LBT-OWS03」
12/17 9:37 更新
音元出版の雑誌
オーディオアクセサリー199号
季刊・オーディオアクセサリー
最新号
Vol.199
世界のオーディオアクセサリーブランド大全2025
特別増刊
世界のオーディオアクセサリーブランド大全2025
最新号
プレミアムヘッドホンガイドマガジン vol.23 2025冬
別冊・プレミアムヘッドホンガイドマガジン
最新号
Vol.23
プレミアムヘッドホンガイド Vol.33 2025 SUMMER
プレミアムヘッドホンガイド
(フリーマガジン)
最新号
Vol.33(電子版)
VGP受賞製品お買い物ガイド 2025年冬版
VGP受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年夏版(電子版)
DGPイメージングアワード2024受賞製品お買い物ガイド(2024年冬版)
DGPイメージングアワード受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年冬版(電子版)
WEB
  • PHILE WEB
  • PHILE WEB AUDIO
  • PHILE WEB BUSINESS
  • プレミアムヘッドホンガイド
  • ホームシアターCHANNEL
  • デジカメCHANNEL
AWARD
  • VGP
  • DGPイメージングアワード
  • DGPモバイルアワード
  • AEX
  • AA AWARD
  • ANALOG GPX