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家電公取協、メーカー/販売店/行政が三位一体となり、家電品を安心して購入できる環境提供へ注力
公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会(家電公取協)は、「令和7年度 定時社員総会」を開催。続いて行われた懇親会において、定時社員総会にて新たに選任された会長の大隈英貴氏(日立グローバルライフソリューションズ株式会社 取締役社長)、副会長の峯田季志氏(全国電機商業組合連合会 会長)、堤篤樹氏(パナソニック株式会社 常務執行役員)、大坂尚登氏(株式会社ケーズホールディングス 取締役常務執行役員)、専務理事の東出浩一氏が紹介され、大隅会長と来賓各氏より挨拶があった。
大隈会長は、「昨今の世界経済は、トランプ関税や規制をはじめとする様々なリスクがあり、大変不確実性が高まっています。また、新型コロナウイルスというような予測できない未知のリスクへ備えることも引き続き必要です。不安定な環境のなか、日本経済に対する影響も懸念されます」と取り巻く環境について言及した。
「私たちのシンボルマーク『ただしちゃん』は、メーカー、販売店、行政のそれぞれの思いを表すハートが三位一体となって、製造業表示規約、小売業表示規約、製品業景品規約の3つの規約を遵守するなかで、安心して家電品を選んでいただき、消費者に笑顔をお届けする、そんな家電公取協の存在を表しているものです。 皆様のご支援ご協力を賜りながら、少子高齢化やDX化など時代の流れに即した公正競争規約の運用を進め、多くの方々に笑顔をお届けできるよう、活動を推進して参ります」と気を引き締めた。
続いて登壇した消費者庁 審議官の田中久美子氏は、「家電製品は言うまでもなく一般消費者にとって非常に身近で必要不可欠な商品です。貴協議会におかれましては消費者懇談会を開催され、消費者団体の声に真摯に耳を傾けられるなど、一般消費者が自主的かつ合理的に家電製品を選択できる環境の整備に努めていただいていることに改めて感謝を申し上げます」と同協議会の活動に大きな期待を寄せた。
「昨今はインターネットの急速な拡大やスマートフォンの普及に伴い、あらゆる業界で広告媒体が従来のものからSNSや動画を含むインターネットの広告に大きくシフトをしています。そのようななかで、どのような家電製品を選択するのかということは、消費者にとって引き続き非常に重要な関心事です」と指摘した。
消費者庁でも一般消費者が適切に商品を選択できる環境を確保していくことが非常に重要な課題であるとの認識のもと、一昨年10月から運用をスタートした景品表示法に基づくステルスマーケティングの規制では、これまで5件の行政処分を行っているという。
「行政の法執行のみならず、貴協議会をはじめとした各公正取引協議会における積極的な取り組みが、不当表示を効果的に防止するためには必要不可欠です。まさに行政と協議会とが車の両輪のような形で進んでいきたい」と訴えた。
昨今の経済状況が不透明で難しい状況にあるなか、一般消費者から支持をされることは非常に重要なことであると語り、「一長一短に達成できるものではなく、時間をかけて身になっていくもの。貴協議会における取り組みは、まさにそのような取り組みであり、我々もしっかり取り組んで参りますので、貴協議会のご協力を引き続き宜しくお願い申し上げます」と挨拶を締めくくった。
公正取引委員会 事務総長の岩成博夫氏は、「家電製品は環境保全への意識の高まりやエネルギー価格の高騰を背景に、エコ家電の運用増加、あるいは機能のAI化など、多様な製品の登場が引き続き見られます。新製品に対する期待が高まるなか、消費者が適正に商品を選択するためには、正確で適切な商品表示の役割がますます重要になっています」と、同協議会が取り組む公正で自由な競争の促進に大きな期待を示した。
続いて、公正取引委員会が進める「下請法」と「スマホソフトウェア競争促進法」について取り上げ、説明。いわゆる下請法は先の通常国会にて改正され、名称も「中小受託取引適正化法」へ改称された。「例えば、協議を適切に行わない代金額の決定など、新たな規制あるいは規制対象の追加が含まれています。現在、運用指針、運用基準の改定などに向けた準備を進めており、施行は来年1月1日、公取としても丁寧な周知を行っています」。
昨年成立した「スマホソフトウェア競争促進法」については、「スマホのアプリストアなどについての競争を促進するという中身で、5月にガイドラインの原案を作成して公表しました。パブコメを経て、寄せられた意見の精査を行っています。施行が今年12月に迫っており、周知を含めてしっかり準備を行っていきたい」。
また、公正かつ自由な競争の促進へ向けて、「取引の適正化は言うまでもないことですが、公正取引委員会だけで成し遂げられるものではありません。貴協議会会員の皆様からの一層のご理解、ご協力をいただきながら、様々な施策を行っていく必要があります」と訴えた。
経済産業省 商務情報政策局 情報産業課 課長補佐の籠寛之氏は、目の前の経済状況について「積極的に国内への投資を拡大することが重要。人不足を克服するための省力化への投資、そしてDXに絡む積極的な支援も大変重要になります」と指摘。
「利用されている企業の皆さんも多いと思います」と挙げたAIに対しては、「短期間に本当にいろいろなものが出てきました。構造的な人手不足という我が国の課題を克服するためにも重要なもの」と語り、大規模かつ戦略的、重点的に投資支援を行う必要があるとの考えを示した。
「デジタル技術の推進に加え、循環経済(サーキュラーエコノミー)も重要なテーマになります。CO2や廃棄物の削減を進めていくことは、経済産業省として、また国として重要であり、蛍光灯からLED照明に変えていくといったこともひとつの流れ。環境に優しい流れをつくっていくことを推進していきたい」と訴えた。
乾杯の発声を行った同協議会副会長 堤篤樹氏は、家電業界の近況について、「コロナ禍の巣籠り需要以降、総需要が下がり、少し寂しい状況が続いていましたが、ようやく昨年くらいから何とか底をついたのではないかなと思います」と反転攻勢へ転じたと指摘。「今年度4月から6月も猛暑の影響と東京ゼロエミを中心とした補助金、そうした力を借りながら、少しずつまた業界の成長感が味わえているのではないでしょうか。是非、家電の再生/復活を進めて参りたい」と力を込めた。































