新潟のオーディオ文化を盛り上げる!評論家と専門店による選りすぐりのシステムが集結、「新潟ショウ」を徹底レポート
新潟で7年ぶりの大型オーディオショウが開催!
9月22日(火)に、新潟の専門店「フォーミュージック」が主催する「新潟オーディオ&シアターショウ」が朱鷺メッセにて開催された。コロナ禍以降、7年ぶりに大型オーディオシステムが新潟に集結、その模様をたっぷりお届けしよう。
今回は朱鷺メッセの3Fの大型カンファレンスルームを5つ活用し、5人のオーディオ評論家がそれぞれの部屋で講演を行うという、非常に力の入ったイベントとなっている。ひとつはシアタールームとして小原由夫氏が講演を担当、ほかの4部屋はハイエンドオーディオルームとなっており、三浦孝仁氏、山之内 正氏、黛 健司氏、土方久明氏の4人のオーディオ評論家が担当。
コロナ禍以降、小規模な試聴イベントは実施していたフォーミュージックだが、以前から「もっと大きなイベントをやってほしい!」という声がお客さんからも寄せられていたそうだ。だが、コロナ禍が落ち着き、さまざまなイベントが復活するなかで、なかなか希望の会場と日程を押さえることが難しかったという。今回はシルバーウィークの後半に奇跡的に日程を確保、開催にこぎつけた。
オーディオ評論家とショップが選りすぐった組み合わせを提案
エスカレーターで朱鷺メッセの3Fまで上がると、金屏風とBowers & Wilkinsの60周年大型ポスターが出迎えてくれる。2024年に世界遺産に登録された佐渡の金山は、江戸時代には金の一大産地だった。金への身近さとリスペクトの双方を感じ、新潟の土地の豊かさに思いを馳せた。
久しぶりの大型イベントに来場者の期待も高く、10時の開場時には受付に人があふれるほど。新潟県を中心に近隣の県や関西圏からの来場者も多く、オーディオ評論家による講演を中心に、1日中活況を呈していた。
大型台風25号が過ぎ去ったばかりの22日は好天に恵まれた。3Fのカンファレンスフロアは太陽の光が明るく差し込み、眼下には雄大な信濃川を見通せる。また5つの部屋は完全にセパレートされおり、各部屋の防音もしっかりしていて、オーディオショウの会場としてはまたとない環境。廊下も広くてゆったりとしており、オーディオ仲間同士の気楽な会話にも花が咲く。
新潟ショウの最大の目玉は、なんといってもB&Wの「800 Series Diamond D5」(以下、D5シリーズ)が、日本国内向け大型イベントとして初披露されたこと。801から805までの5機種が勢揃いし、旧モデルとの比較やグレード比較まで、さまざまに鳴らし分けをおこなっていた。
ほかにも、JBLの「Summit K2」をアキュフェーズのパワーアンプ6台で鳴らす“トライアンプ駆動”デモや、B&Wとラックスマン、avantgardeの大型ホーンスピーカーとアキュフェーズなど、ココでしか聴けない貴重な組み合わせが多数登場した。
多くのオーディオショウでは、メーカーや代理店ごとに部屋を組むことが多く、組み合わせがある程度固定されてしまうこともあるが、今回はショップと評論家が選りすぐった組み合わせを実演。レコード、CD、Qobuzと様々なソースを活用することで、新しい音の発見に出会うことができた。さらに、時間によっては来場者からのリクエストでシステムを設営することもあり、柔軟な紹介がなされていたのも新潟ショウならではの楽しみであった。
ハイエンドスピーカーやDiretta聴き比べに注目
部屋ごとに注目プログラムを紹介しよう。roomAは三浦孝仁氏が講師を担当、avantgarde、VIVID Audio、Wilson Audioと海外ハイエンドスピーカーが勢揃い。CH Precisionのエレクトロニクス類や、今年上陸したネットワークオーディオの黒船Innuosのフラグシップ「Nazare」も登場し、来場者の耳を楽しませていた。
三浦氏の講演時には100人近いオーディオファンが詰めかけ、部屋は満員状態。印象的だったのは高能率のホーンスピーカーavantgarde「TRIO G3」。アキュフェーズの「A-300」2台で駆動し、ボイシング・イコライザー「DG-78」でルームチューンも実施。竹内まりやの「告白」では、切ない女性の恋心を情感豊かに描き出す。
三浦氏は「部屋の定在波の影響をうけにくく、音が飛んでくる気持ち良さはホーンスピーカーならではの魅力です」と力を込める。
また、三浦氏が今注目するネットワークプロトコル「Diretta」を詳しく紹介。三浦氏の私物だというSOtMの「sMS-200」を2台持ち込み、1台をhost(送り出し側)、もう1台をtarget(受け側)として、UPnPとDirettaの聴き比べという貴重なデモを実施。Direttaについては、DDS(Diretta Direct Stream)という、より制御データを少なくして音楽データの伝送により特化した規格についても解説していた。
三浦氏はDDSの利点について、「音をよくするというより、音を悪くする要素を排除する」と説明。そして「微小音量の細かい成分が埋もれない」ことから、サウンドステージの広がりなどにも効果があると聴きどころを解説する。実際に聴き比べるとその歴然たる差に驚く。音の“タイミング”が一層そろった印象で、音楽のディテールがつぶさに見えてくる。最上流のデータ処理のあり方でデジタル再生はこうも変わるのかと衝撃を受けた。
D5シリーズ勢揃い&レコードの持ち込みリクエストにも対応
roomBでは先述の通りB&WのD5シリーズが勢揃いし、山之内正氏のナビゲートにより、さまざまな聴き比べが行われた。とくにブックシェルフ型「805 D4」「805 D5」の聴き比べには来場者も興味津々。
山之内氏はD5における進化点としてキャビネットの剛性の強化について指摘、「音が消える瞬間の静寂や余韻の広がりの静けさに違いがあります」と評価。B&Wのたゆまぬ技術革新の成果に賛辞を送った。
ほかにもLINNのフルデジタル伝送技術「EXAKT」を活用した最新スピーカー「360 EXAKT/1」の技術も紹介。最新ウーファーユニットPISTONKの貢献により、低域の歪みをより低減しているそうで、その実力を体験して欲しいとバルトーク「管弦楽のための協奏曲」をQobuzで再生。ダイナミズムの豊かさを味わわせてくれた。
サエクのロングトーンアーム「WE-712」も登場。さらに、B&Wの新フラグシップ「801 D5」の再生時間には、来場者からバッハの「トッカータとフーガ」、重厚なパイプオルガンのレコードの持ち込みリクエストの再生もなされた。アンプにはラックスマンの「B-100 Centennial」をモノラル使用、深い持続低音の強靭さには思わず時間を忘れて聴き入ってしまう。
K2&アキュフェーズのトライアンプは圧巻!
roomCでは、なんといってもJBL「Summit K2」「Summit Makalu」、そしてREVIVAL AUDIOの「ATALANTE 7 Evo」の3種類のスピーカーを鳴らし分け。黛 健司氏が講演を行った。
最大の注目は「Summit K2」のアキュフェーズ“トライアンプ”(モノラルアンプ6台)駆動。黛氏たっての希望で実現したものだそうで、高域と中域にアキュフェーズ「A-300」(4台)、低域に「P-7500」(2台)というなかなか聴けない贅沢な組み合わせを実演。380mmウーファーの馬力感には思わず来場者も身を乗り出して聴き入っていた。
黛氏は、先般グローバル発表されたテクダスの最新ターンテーブル「Air Force 20」についても詳しく解説する。特にフライホイール機構のドライブモーター方式の利点について触れ、「モーターからの振動がプーリーに伝わらない、いままでに新しい方式」だと絶賛、Air Forceシリーズの新章にエールを送る。
REVIVAL AUDIOの再生にはウエスギのシステムを組み合わせ。出力トランスレスのモノラルパワーアンプ「U・BROS-333OTL」、フォノイコは光カートリッジ専用「U・BROS-220DSR」&プリアンプ「U・BROS-280R」とフルウエスギを使用。アンネ・ゾフィー・ムターのヴァイオリンの音色をキリリと描き出す。また井筒香奈江のダイレクトカッティング盤より「カナリア〜500マイル」では、井筒の体温を感じるほどの生々しさを聴かせてくれた。
メーカーとの和気藹々の掛け合いにも注目
roomDは土方久明氏の部屋。オーディオメーカーや輸入商社のスタッフと和気藹々の雰囲気で、最新のハイエンドオーディオを紹介していた。この部屋の注目はファンダメンタルのプリメインアンプ「aina」だろう。代表であり、製品開発・製造も一手に引き受ける鈴木 哲氏も登場し、製品のこだわりを熱く語る。
鈴木氏はファンダメンタル製品で重視している点として、「グラウンドの強化」をあげる。グラウンドの重要性について、鈴木氏はダンサーが踊る際の地面の磐石さに例え、「しっかりした地面でジャンプしなくてはダンサーも高く飛ぶことができません。それが削り出しのシャーシに、しっかりグラウンドを落とすことの意味です」と力を込める。
土方氏もそれを受けて、「ローレベルのリニアリティは世界最高レベルだと感じています!」と大絶賛。ハイレゾ時代だからこそ、良質なアンプを活用することの重要性を強調する。
そのほかスイス・PIEGAのスリムデザインの最新スピーカー「Premium 801」や、イタリア・ALBEDOの「Achema」、MoFi Electronicsの「SourcePoint 8」など、なかなか試聴機会の少ないスピーカーを次々と再生。ハイエンドモデルの競演で来場者を楽しませていた。
ホームシアターシステムで映画も音楽ライブも楽しむ
少し離れた場所のroom Eはホームシアタールーム。B&Wのスピーカーで6.4chを組んだ本格システムと、TADならびにPARADIGMのスピーカーによるステレオによるシアターシステムと2つの組み合わせを用意。映画から音楽ライブ、長岡花火の中継まで、さまざまな映像作品を用いて製品紹介を行っていた。
小原氏の講演では、ビクターのフラグシッププロジェクター「DLA-900R」を活用して、『ベンハー』『F1/エフワン』といった有名映画から、坂本龍一のモノクロ作品『Opus』まで、ホームシアターの楽しみ、画質と音質クオリティの高さを解説。
印象に残ったのは、ビリー・ジョエルのコンサート映像から「ピアノマン」。TADの「TAD-E1AX」をステレオ再生で、プリメインアンプ「TAD-A1000」と組み合わせ。小原氏は、TAD独自のCSTドライバーのサービスエリアの広さについて触れながら、リビングユースでの使い勝手の良さも解説。ピアノの弾き語りの硬質感やブルースハープの温かな音色が胸に沁み渡った。
カナダ・PARADIGMはフロア型の「Persona 7」を持ち込み、TADのセパレートアンプにて駆動。輸入元スタッフも「PARADIGMはまさに技術者集団です!」と、着実な研究開発をベースに製品開発を行うブランドの信頼性の高さをアピールする。
また、ホームシアターシステムで、サエクの仮想アースのありなしテストも興味深い結果に。デノンのAVアンプ「AVR-A1H」に装着してテストしたが、音はもちろん映像システムにも効果的で、ノイズ感が下がり、輪郭がより精細にまたビビットに描き出してくれる印象。映像クオリティへのアクセサリーにはさらなる可能性を感じられた。
まる1日新潟オーディオ&シアターショウを体験し、ショップと評論家、そしてメーカーが一丸となって新潟の音楽文化を盛り上げよう、という熱い思いに心を打たれた。スケジュール表と睨めっこしながら「どう回ろう?」と悩む来場者の姿や、「1日では足りない!」もさらなる拡大を望む声も聞かれた。
フォーミュージック代表の関本氏も大きな手応えを得た様子。今後の新潟のオーディオ・ホームシアターの動向からますます目が離せなくなりそうだ。



























