公開日 2025/06/05 06:35

【HIGH END】Audirvana&JPLAYがハードウェアにも展開/SOtMはDiretta対応を発表

ソフトウェアから音質を向上するさまざまなアイデア
編集部:筑井真奈
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ミュンヘン・ハイエンドでは、オーディオ用ソフトウェアに関するいくつかの新しい発表もなされた。Audirvanaがプリインストールされたオーディオサーバー「DSAS」が発表されたほか、JPLAYのチームが立ち上げたハードウェアブランドXACTが登場した。

メトロノームとAudirvanaによるコラボモデル

Audirvanaはフランス発のオーディオ向けMac/PCソフトウェアとして知られており、PCオーディオの黎明期からハイレゾ再生をサポートしてきた。これまでも「Play with Audirvana」としてAudirvanaが動くことを保証した認証プログラムを実施してきたが、今回初めて、Métronome Technologie社(メトロノーム)と組んだオーディオサーバー「DSAS」を発表した。

左から3列目のプレートに「Audirvana」のロゴが付されたメトロノームの「DSAS」

「DSAS」(Digital Sharing Audio Server)は、Audirvana Studioをネイティブ搭載したLinuxベースのオーディオサーバー。3年間のAudirvana Studioのサブスクリプション利用と、永年のAudirvana Origin(ローカル再生限定バージョン)が付属する。
 
メトロノームは、1987年に設立されたフランスのオーディオブランドで、特にCD再生などデジタル技術に強みを持つ。国内向けにはエレクトリが輸入を行っているが、今回のDSASは現在日本に導入されていない「Digital Sharing Range」という小型シリーズのひとつとなっている。「Digital Sharing Range」は縦にラインの入った(サーバーラックっぽいイメージ?)のシリーズで、CDトランスポートやDAC、ストリーマーなどを展開している。DSASもそれらと共通のサイズとデザインで、スタックして使用できるようだ。

メトロノームの「Digital Sharing Range」シリーズ。上からオーディオサーバー「DSAS」、CDトランスポートの「DST」、DAコンバーターの「DSC mini」

左から三番目のプレートにAudirvanaのロゴが描かれているのが特徴で、USBによるデジタル出力のほか、UPnP再生にも対応。QobuzやTIDAL等のストリーミングサービスとも連携可能で、Audirvanaの持つアップサンプリング機能も活用できる。AudirvanaのCEOのダミアンさんも、「コンピューターを使わずにAudirvanaを使用できるというのは大きなメリットです」とコメントしている。価格は5990ユーロとなっている。

Audirvanaの再生画面。PCやスマートフォンアプリなどももちろんそのまま利用できる

メトロノームの試聴ブース
 

JPLAYの新ブランドXACTのアイデア

ソフトウェアベースのハードウェアプロダクトという意味でもうひとつ注目したいのが、JPLAYのマーシン・オスタポヴィッチ氏が立ち上げた「XACT」。2023年に立ち上がったばかりの新しいブランドで、国内ではタクトシュトックが取り扱っている。マーシンさんも会場に参加していたので、ブランド設立の背景について聞いてみた。

JPLAY/JCAT/XACTの主宰者であるマーシン・オスタポウィッチ氏

「以前からハードウェアブランドとしてJCATを展開していましたが、フルサイズの、より本格的なオーディオ製品にも関わりたい、と考えて立ち上げました」とマーシンさん。
 
「S1 EVO」はJPLAYがプリインストールされたミュージックサーバーとなるが、SDカードにOSを書き込んで使用するというのが大きな特徴で、SDカードを変えることで、ルーターやハブとしても使用できる、という斬新なアイデアの製品となる。このような柔軟性のあるプロダクト開発は、長年PCオーディオに携わってきたマーシンさんならではのものだろう。JPLAYのスマートフォンアプリも用意されており、TIDALやQobuzと連携してストリーミング再生も可能。

中段左がオーディオサーバーの「S1 EVO」、右がネットワークハブ「N1」

もうひとつ、「N1」というネットワークハブも展示されていた。こちはらRJ-45のLANポートが5系統と、SFPポートを1系統搭載。RJ-45のうちひとつは「ISOLATED」と記載されており、サーバーやストリーマーなど、オーディオ機器と繋ぐためのポートとなっている。アルミニウムシャーシの剛性感あるつくりで、音質的にも期待できそうだ。

ネットワークハブ「N1」。アルミニウムシャーシによるシンプルな外観

N1の背面端子。ISOLATEDされたRJ-45端子のほか、SFPポートも搭載

世界に広がるDirettaプロトコル

もうひとつのトピックは、韓国のSOtM(ソム)ブランドがDirettaに対応したこと。代表のリーさんに話を聞くと、「日本のオーディオ評論家の方から推薦をいただいて、導入してみることにしました」とのこと。

SOtMはアメリカのDOSHI、Cardasなどと合同ブースを展開

SOtMのオーディオサーバー製品には、Eunhasu(ウナス=韓国語で天の川を意味する)と呼ばれるLinuxベースのオーディオ専用OSが搭載されているが、これを、最新バージョンの「Eunhasu OS v0.5.8」にアップデートすることで使用できる。 

Direttaは日本で誕生したネットワークオーディオ伝送のためのプロトコル。fidataやsoundgenicのオーディオサーバー、スフォルツァートのネットワークプレーヤーなどに活用されてきた。送り出しとなる「Diretta host」と、受け手側となる「Diretta target」が対となって動作するもので、通常多対多で通信されているネットワークの伝送を、1対1とすることで、音質的にも有利である、という考え方で構築されている(LAN DACとして使われることも多い)。

SOtMの「sMS-1000SQ Eunhasu」などのサーバーで使用でき、リーさんによると「設定画面からtargetとしてもhostとしても選べますよ」とのこと。Direttaの活用の幅の広がりにも期待できそうだ。

SOtMの主力製品ラインナップを展示

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