公開日 2025/04/04 06:45

「細かい音までしっかり聴こえる!」名門カッティングスタジオ・ミキサーズラボにティアックのフォノEQが導入されたワケ

ティアックの「PE-505」はプロユースとしても優秀
筑井真奈
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高音質にこだわった作品制作において、必ず名前が上がるマスタリングスタジオ、ミキサーズ・ラボ。マスタリングのみならず、カッティングスタジオとしても定評があり、ノイマンのカッティングマシンは連日フル稼働状態が続いているという。

ミキサーズ・ラボで連日フル稼働状態のカッティングマシン、ノイマン「VMS80」

音にこだわる作品制作をするならば、プレイバックの機器も良質なものでなければならない。今年に入って、ミキサーズ・ラボのマスタリングルームに、新たにティアックのフォノイコライザー「PE-505」が導入されたときいて、早速取材に伺った。

第5マスタリングスタジオにティアックの「PE-505」導入

PE-505は、マスタリングからカッティングまで幅広く手がける若手エンジニア加藤拓也さんが普段使っている第5マスタリングルームに設置されている。昨今「カッティングの仕事がめちゃくちゃ増えました」という加藤さん、槇原敬之や中森明菜など、ワーナー所属のアーティストを中心にカッティングを担当しているという。
 
マスタリングとカッティングを主に手掛ける加藤拓也さん

ノイマンのカッティングマシン「VMS80」が置いてあるマスタリングルームは、主にベテランエンジニアの北村勝敏さんが利用している。こちらにももちろんチェック用のアナログプレーヤーが置いてあるが、制作件数の増加により、「自分がメインで使う部屋にもアナログがちゃんと聴けるシステムが必要だ」と加藤さんは考えた。

「アナログプレーヤーは、北村さんから譲り受けたテクニクスのSL-1200Gを使っています。カートリッジはDL-103という鉄板の組み合わせですね。スタジオのシステムに組み込むにはフォノイコがもう1台必要だよね、ということになって、PE-505を選定したのです」(加藤さん)
 
アナログプレーヤーはテクニクスの「SL-1200」&デノンのカートリッジ「DL-103」

なぜティアックだったのか?「スタジオユースとしての都合なのですが、ミキサー卓にいれるには民生機の出力から、+4dBu(通称:プラヨン)のゲインが必要なのです。普通の民生機にはそんな機能はありませんから、プリアンプ等で増幅する必要があります。ですがティアックは、キャノンアウト(XLRバランス)の出力が大きいので、ちょうど私たちの求めている機能と合致した、というのが大きな理由です」

とはいえ“音"として納得できならば導入はできない。PE-505を実際に借りて聴いてみたところ、加藤さんも北村さんも、「これは音がいい!」と意見が一致。スタジオでの主な用途は“検聴盤"のチェック、つまり盤に不具合がないか確認することにあり、わずかなノイズや歪みなどを正確に再現しなければならない。インピーダンスを細かく設定できることや、消磁機能があることも現場での使い勝手が良い。TASCAMブランドでも培ってきた「生音を正確に再現する」というティアックカンパニーの技術が、スタジオユースとしても活用できるクオリティを実現している、ということでもある。

ちなみにスピーカーはADAM AUDIOの「S3A」。こちらも加藤さんのお気に入りで、「マスタリング現場ではジェネレックやフォーカルなど十人十色、さまざまなモニターを使っていますが、「S3A」はリボン・トゥイーターの特性でしょうか、高域の抜けが気持ちいいです。また楽曲のひずみや細かいノイズのチェックがとてもしやすいモニターで、気に入っています」とのこと。

メインスピーカーはADAM Audioの「S3A」を縦置きで

「私はアナログレコードのリアルタイムの世代ではないのですが、レコードならではの音質には非常に心惹かれるものがあります。90年代の、当時レコードでは発売されなかったアルバムのレコード化も、非常に大きな意味があると考えています」と加藤さん。

加藤さんがカッティングを手がけてきたアナログレコードの一部
 
ミキサーズ・ラボカッティングによるアナログレコード、今後の作品の音質クオリティにも期待が高まってくる。

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