【特別企画】クラスを超えた機能と性能を搭載

その実力に角田郁雄も太鼓判。ティアック初のフォノイコ「PE-505」&アナログプレーヤー「TN-5BB」レビュー

角田郁雄
2020年09月03日
入門機から本格仕様へと劇的な進化が進んでいるTEAC(ティアック)のアナログ再生機器。その決定版ともいえる完全バランス対応のフォノイコライザーとアナログプレーヤーが満を持して登場した。特に同社初のフォノイコライザーとなる「PE-505」はバランス伝送対応であるだけでなく、マニア心をくすぐる機能を豊富に装備。この価格帯としては異例ともいえる仕上がりとなっている。バランス出力を装備し、機能的にも性能的にもさらに強化したアナログプレーヤー、「TN-5BB」とともに、その魅力を紹介したい。

フォノイコライザーアンプ「PE-505」(シルバー/左)、アナログプレーヤー「TN-5BB」(右)

EQカーブ切り替え等々、マニアックな機能が満載

ティアックは「AX-505」と「AP-505」の2機種のアンプを登場させ、デジタル再生のワンブランド・コンポーネント・スタイルを確立した。そして今回は本格的にアナログ再生機器にも踏み込み、デュアル・モノラル完全バランス入出力回路構成のフォノイコライザー「PE-505」を登場させた。本機は実に魅力的な内容である。MCのバランス接続に対応するだけではなく、価格を超えた高品位な機能と回路を搭載させた。

まず機能から。フロント左側にはMM/MCゲイン切り替え(ハイ/ロー)とMCの負荷抵抗とMMの負荷容量の設定スイッチがある。さらにカートリッジの消磁ポジションも装備。右側にはEQの設定スイッチがあり、標準RIAAのほかに、モノラルLPやOLD EQでカッティングされたLP用のデッカとコロンビアEQに設定できる。

「PE-505」のフロント部。左からゲインのハイ/ローの切り替え、MCの負荷抵抗とMMの負荷容量の設定スイッチ、メーターのON/OFF、MCカートリッジを消磁するDEMAG機能、DECCA/RIAA/COLUMBIAのEQカーブ切り替え、入力切り替え(XLR/RCA)、MONO/STEREO切り替え、サブソニックフィルターのON/OFFを装備

そしてRCAとXLRバランスの入力切り替え、モノラル再生、サブソニックのスイッチを装備。ユニークな機能としてはMCの負荷抵抗測定機能があり、フロントのメジャー・スイッチを押すと、アナログメーターに負荷抵抗が示される。これを基準として、適切な負荷抵抗が選択できるのである。また、6Hz以下のサブソニック成分を検出し、メーター表示も可能である。実にハイエンドな機能である。

回路にも興味津々で、内部を観察した。感激するのは、精密かつ高品位な回路構成である。まずMCとMMのヘッドアンプを確認すると、何とアナログデバイセズの医療機器、高精度測定器などに使われる高S/N、超低歪み率を誇るオペアンプ、「AD8599」が使用されている。そしてNF型EQアンプと出力段には、「MUSE8820」高精度、高音質オペアンプを使用し、表面実装の高品位抵抗やコンデンサーで、回路が埋め尽くされている。しかも伝送距離を短くしているのである。

「PE-505」のリア部。入出力ともにRCAとXLRが各1系統ずつ装備

とりわけこの回路では、「カートリッジ差動出力平均化回路」を搭載し、+と−出力をたすき掛けの差動アンプ構成とすることで、±の出力が平均化され、ピュアで自然な音楽信号が得られるようにしているのである。そしてこの回路を支えるために、アナログと制御回路を完全分離した、高品位で高S/Nのアナログ電源も搭載している。結果としてMM=106dB、MC=85dBという高S/Nを実現した。

私は、開発者に苦労話も聞いてみた。「ティアック初のフォノイコライザーですから、スペックと音質の両立が大変で、RIAA偏差±0.05dB以下を達成することにも苦労しました。音質としてはCDでは得られない開放的で生々しい音を追求しました」とのことであった。

オートリフト機能を初搭載、剛性も高めたバランス対応機

同時発売のベルトドライブ・プレーヤー「TN-55B」も紹介しよう。大きな特徴と魅力は、サエクとティアックがコラボしたナイフエッジ・トーンアームを装備し、これに光センサー方式のオートアームリフト機能を加えたことである。これはすごく使い心地が良い。プラッターは、固有音が少なく、帯電しにくい20mmアクリル製で、ベルトをその外周にかけ、正確で安定した回転を実現した。

「TN-55B」

筐体のベース部は36mmの内部損失の高いMDF製で、その上に美しい人工大理石プレートを貼り合わせた。しかし、より一層の最適な響きを実現するために、その接合部6カ所に和紙製ワッシャーを採用した。さらに本機にはXLRバランス出力端子も装備した。

予想を超えたワイドレンジ/高解像で圧巻の空間表現力

試聴では、まずプレーヤー付属のMMカートリッジで再生した。レコードは、音の立ち上がり、倍音再現性、解像度、空間性が試せるグレコリオ・パニアグアの「古代ギリシャの音楽」などを選んだ。

トーンアーム設計に40年の歴史を持つ日本のブランドSAEC(サエク)とのコラボレーションから生まれたナイフエッジトーンアームを採用

その音は予想を超えた、ワイドレンジかつ高密度な音で、MCカートリッジ級の繊細さや柔らかさを体験させてくれた。実に高S/Nで高解像度な音である。

次にデノンのMC型「DL-103」に切り替えてバランス接続で再生。その前にメジャーで負荷抵抗を図ると、メーターに約35Ωと表示され、これより高い負荷抵抗を100Ω設定した。その音はS/Nが向上し、弱音と空間再現性が高まったことが印象的。

これは前述の全段バランス回路による効果であり、解像度は明らかに高まったのである。色付けは少なく、ワイドレンジで、ダイナミックレンジも広い。しかも俊敏な立ち上がりで、低音にスピード感がある。同時に「DL-103」本来の性能がフルに発揮された印象さえ受けた。

私は両モデルを大いに推薦する。価格も実にリーズナブルで、長く愛用できる製品たちである。




TEAC「PE-505」


フォノイコライザーアンプ
¥168,000/税抜
【Specifications】
【アンプ部】●全高調波歪率:RCA入力=0.002%(MM)、0.04%(MC)、XLR入力=0.04%(MC)●残留雑音電圧 :RCA入力=10μV(MM)、75μV(MC)、XLR入力=100μV(MC)●S/N比:RCA入力=−106dB(MM)、−85dB(MC)●RIAA偏差(20〜20kHz):±0.05dB●チャンネルセパレーション:−90dB以上 (MM、10kHz、GAIN LOW)●ゲイン:LOW→RCA入力=34dB(MM)、54dB(MC)、XLR入力=54dB(MC)/HIGH=RCA入力=46dB(MM)、66dB(MC)、XLR入力=66dB(MC)●サブソニックフィルター:17Hz、-24dB/octave【フォノ入力部】●アンバラス入力 RCA端子(MC/MM兼用)×1系統、最大許容入力電圧=150mV(MM)/16mV(MC)、入力インピーダス=MM(47kΩ・負荷容量 0、100、220、330pF)/MC(10、22、47、100、220、470、1kΩ)●バランス入力 XLR端子(MC専用×1系統、最大許容入力電圧=16mV(MC)、入力インピーダス(MC)=10、22、47、100、220、470、1kΩ【アナログ 出力部】●アンバラス出力:RCx1系統、定格出力電圧=2Vrms、出力インピーダス=63Ω●バランス出力:XLR端子x1系統、定格出力電圧=4Vrms、出力インピーダス=63Ω【総合】●消費電力:19W●サイズ:290W×84.5H×252.5Dmm(突起部を含む)●質量:4.5kg●カラー:シルバー、ブラック

TEAC「TN-5BB」


アナログプレーヤー
¥168,000/税抜
【Specifications】
【ターンテーブル部】●駆動方式:回転検出型高精度制御ベルトドライブ●モーター:DCモーター●回転数:33 1/3rpm、45rpm、78rpm●ワウ・フラッター:0.1%以下●プラッター:アクリル、直径30cm【カートリッジ部】●形式:MM型●出力電圧:5.5mV (1kHz、5cm/sec)●針圧:1.8g●質量:7.2g●付属ヘッドシェル質量:10g( ネジ、ナット、ワイヤー含む)【トーンアーム部】●形式:スタティックバランスS字型トーンアーム●実効長:223mm●適合カートリッジ質量:4〜13g、14〜23g( 付属ヘッドシェル含む)●オーバーハング:18mm●アーム高さ調整範囲:約6mm●消費電力:スタンバイ=0.3W以下、オン=2.0W以下●サイズ:450W×135H×351Dmm(ダストカバーを取り外した場合)●質量:約10.5kg●MM型カートリッジ カートリッジ Ortofon 2M REDを標準搭載●取り扱い:ティアック(株)



本記事は季刊・analog vol.68 Summerからの転載です。本誌の詳細および購入はこちらから。

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