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2019年06月28日
オーディオファイルからの鋭い質問も飛び交う

吉祥寺・音吉MEGで開催「藤田恵美ライブ&トークショウ」をレポート

季刊オーディオアクセサリー編集部
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去る5月25日(土)、東京・吉祥寺の「音吉MEG」にて、藤田恵美『カモミール・カラーズ』アナログ盤発売記念ライブ&トークショウが、同店恒例の「オーディオ愛好会」の一環として行われた。


藤田恵美『カモミール・カラーズ』
藤田恵美といえば、2007年の『カモミール・ベスト・オーディオ』のヒット以来、日本のオーディオファンの間では“オーディオクィーン”と呼ばれるほどの人気歌手。この日のチケットも争奪戦となったという。

オーディオ愛好会は、吉祥寺メグが寺島靖国氏がオーナーをしていた頃から行われてきた名物イベントで、現在メグが音吉メグとして柳本信一氏に引き継がれてからも、有志で企画されている(毎月第4土曜の夜に開催)。毎回オーディオファンが集まり、テーマとされたオーディオを聴き喧々諤々と発言し合うことで知られているが、この日はディーバが来たるということで、ときめきに満ちた空気が漂っていた。

寺島靖国氏からMEGを引き継ぎ、音吉MEGを運営している柳本信一氏

演奏は、藤田恵美氏のボーカル&小松原俊氏のアコースティックギターによるシンプルなデュオであった。

前半のライブでは、「ザ・ウォーター・イズ・ワイド」「レット・イット・ビー」「ウィッシズ(「ひだまりの詩」の英語詞バージョン)「クロス・トゥ・ユー」「ヴィンセント」など藤田恵美最新アルバム『カモミール・カラーズ』の楽曲と、日本語のカバーアルバム「ココロの食卓」からの曲を混ぜながら披露。透き通ったギターの音色と、聴き入ってしまう藤田恵美の唄に、とても贅沢な時間が流れた。

生演奏の一期一会の時間を尊いものにする藤田恵美の秀逸なパフォーマンス


「デイドリーム・ビリーバー」のサビでは藤田氏(左)と小松原氏(右)のハモりも素晴らしかった
後半のトークショウでは、藤田・小松原両氏のふたりに加え、オーディオ評論家の林正儀氏と、藤田恵美作品のレーベル「HD Impression」主宰者である阿部哲也氏を迎え、『カモミール』シリーズをどのように作ってきたか、また今作『カモミール・カラーズ』の制作秘話について、話が弾んだ。

林氏が、「録りはアナログテープなんですよね?」と聞くと、阿部氏が「はい、カモミールシリーズは最初からアナログテープで録ってきました。最近は、扱えるスタジオも減り、テープの種類や品質の高いものも限られ、また価格も高いので大変なんですが(笑)」と言って、録音の詳細を話してくれた。

「シリーズ1作目と2作目は、アナログを主にチャンネルが足りない時に、3348 デジタルMTRを使用し、それをSSLのアナログコンソールでアナログとデジタルをパラで回してミックスしていました。3作目以降は、アナログテープレコーダーから、DAWへ吸い上げながら、チャンネルが足りない時はスレーブを作成。ここからのミックスはDAWです。ちなみに、Best Audioは、レコーディングした時のテープを倉庫から出して、2作分・30本ほどのテープ全てを96kHz/24bitでDAWへ吸い上げアーカイブしたものからミックスし直しました。5作目となる今回より192kHz/24bitを採用し、アナログ盤はこのデジタルマスターの音を使用しています」。

林氏が「今回、タイトルも“カラーズ”としている通り、音作りもまるで“見える”ように作ったとのお話でしたね」と指摘すると、阿部氏は「ボーカルを中心に置き、ベースが下のシーンを支え、ドラムスが空間を作り、ギターやピアノで形づけて、弦や管などを装飾として散りばめるんです」と語った。

『カモミール・カラーズ』は藤田恵美がHD Impressionへ移籍しての第1作目にあたるセルフプロデュース作品にあたる。藤田氏自身も「阿部さんのいう音作りと同じように、どんな楽器を使ってどんな音楽にしていくかも、ビジュアルを“見る”ように作っているんですよ」と語った。

左から阿部哲也氏、藤田恵美氏、林正儀氏

なお、今回レーベルを移籍しての新作への挑戦となったことについては、「コスト制約の大きくなった昨今の音楽業界ですが、カモミールはコンセプトとして、アコースティック楽器を使って作っていきたい“音”があるので、思い切って環境を整えて、自分たちで制作してみました」と説明。

質疑応答タイムには、さすがはメグに集まるオーディオ愛好会らしいやりとりが飛び交った。

「『camomile Best Audio』以来、ずっと藤田さんの作品を聴いていますが、リバーブのつけ方が最近は変わったのではないでしょうか?」「どのようなリスナーを意識して、どのようにマスタリングしているのですか」など、来場者から質問が飛び交った。

主に音作りについては阿部氏が回答した。

「リバーブのつけ方は変えたつもりはないのですが、減ったかもしれないですね。若い頃は音を加工してサウンドをカッコよくしたいという思いが強くあったのですが、それをすると、演奏者の表現したものとは違う主張になることが多いため、最近は演奏者の気持ちを壊さないように気をつけています。

どのようなリスナーに向けてという質問ですが、そこは考えていません。まずは自分が納得したものを作り、それが評価されるものになった時はとても嬉しいです。いわゆるマスタリングという作業はしていません。音を加工したいと思った時は、ミックスまで戻って修正します。なぜならば、マスターファイルに新たにデジタル処理(プラグイン)を入れることで、音が劣化してしまうからです。音量を少し上げ下げするだけでも音は劣化してしまうので、手間ですが、必ずミックスまで戻って修正します。」


来場者が、録音されたアルバムのコーラスの人数を言い当てるなど、ほかにはない質疑応答が繰り広げられた
その場でアナログ盤を再生し堪能してみてから、ギタリストの小松原氏にも感想を求めると「録音された音がライブに近い。録音の時も、クリックなしで呼吸で合わせているんですが」と、その音のリアリティに好評価。

ギタリスト小松原俊氏もトークに加わった

司会者が「生演奏はCDよりダイナミックレンジが広いかもしれないですね」というと林氏が「これからのオーディオは弱音がテーマです」とも。

心洗われるような演奏と、オーディオファンの闊達な発言、そしていつでもゆったりとした世界を醸し出す藤田恵美ワールドが印象的なオーディオ愛好会であった。

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