公開日 2017/03/08 12:58

“ソニーらしさ”を極めたスマホ「Xperia XZ Premium」。開発陣に聞くディープなこだわり

<山本敦のAV進化論 第126回>


オーディオは着実な基本性能の向上を図った

XZ Premiumのオーディオ周辺の進化については浅野氏にうかがった。浅野氏は現行モデルのXZと比べて進化したポイントが2つあると説いている。

ひとつはイヤホン再生時のチャンネルセパレーションを高めていること。「DAコンバーターやアンプなど、出力に関わる部品選定は通信ノイズ対策も図りながらモデルごとに最適なデバイスを選択しています。過去モデルの測定値をベンチマークとして、新製品では常にそれを超えられるように改善を図っています」と浅野氏が答える。

Xpria XZ Premiumは本体のトップに3.5mmイヤホン端子を引き続き搭載する

さらにもうひとつのポイントが、スピーカーの音圧を高めたことだ。スピーカーボックスの容積をアップしたことによってこれを実現している。「これまで通信用のアンテナはスピーカーボックスの周囲に配置してきましたが、XZ Premiumではスピーカーユニットにアンテナのパターンを一体化するという試みに挑戦しています。これによって容積がアップして、測定ベースでの音圧も上げることに成功しています」(浅野氏)。

Xpeira XZ Premiumの内部構造。大型バッテリーセルと、その側面にI型の基板という構成。下側が容積を高めたスピーカーユニットになる

ハイレゾ再生まわりの機能や、LDACによる高音質なワイヤレス再生対応などのスペックは弟機のXperia XZsや、現行のXperia XZと同じになる。MWC2017の会場ではXperia XZsのサンプルで音質をチェックすることができたが、Xperiaシリーズらしい中高域のディティールの再現力に加えて、インパクトのある低域再生の素性が引き継がれていることを確認できた。また機会を改めてXZ Premiumと、筆者が所有するZ5 Premiumとの実力比較なども行ってみたい。

プレミアムモデルらしい上質なデザインを追求

本体のデザインは現行モデルのXZで確立した「ループサーフェス」コンセプトをさらに練り上げ、全体が美しい楕円形状を描く「フルラウンド・デザイン」としている。安達氏も「目指してきたループサーフェスの理想にまた一歩近づいた」と笑みを浮かべる。アルミブロックから削り出した金属のフレームに、フロントとリアをガラスパネルで挟み込んで、さらにエッジとなる箇所にダイヤモンドカットを施して高級感溢れるデザインに仕上げた。

背面にXperiaのブランドロゴを配置。グローバルモデルはNFCのタッチポイントが裏側にあるようだ

Z5 Premiumのカラーバリエーションにも“クローム”というモデルが発売されたが、今回のXZ Premiumの“ルミナスクロム”はフロントフェイスまでがクローム仕上げになっており、輝き感は一段と高い。フロント・リアのガラスには最新第5世代のGorillaガラスが使われている。さらに細かな部分への気配りについて、安達氏が説明を加える。

鏡のように煌びやかなルミナスクロム。ディーシーブラックは独特の青みがかった黒色が特徴だ

SIM/SDカードスロットはひとつに統合されている

「Z5 Premiumでは前面のガラスを傷つけないよう、側面のリブがわずかに立っていました。XZ Premiumは2.5Dの曲面ガラスを使っているので、トップとボトムに若干の段差を設けながら、傷が付く心配がないようなデザインに仕上げています。手に持ったとき、リブが指に当たらないようスムーズに整え、ユーザービリティを高めることにも腐心しています」(安達氏)

エッジをダイヤモンドカット処理にして2.5D曲面ガラスとスムーズにつながるフォルムを実現している

現行フラグシップのXZでも非常に好評だったという「フォレストブルー」からのアイデンティティである“ブルー”は、弟機のXZsのカラバリとして並ぶ「アイスブルー」に引き継がれている。

なお、Xperia Xシリーズが誕生して以来、スマホにとってのエッセンスとして「インテリジェンス」を追求したソフトウェアまわりの機能がハイライトされてきたが、今回のMWCではその押し出しが少し弱かったように感じた。新モデルで新しく追加された機能などはあるのだろうか。安達氏に訊ねた。

「ご指摘いただいたように、今回のMWC2017ではソフトウェアまわりのイノベーションをお伝えしきれませんでした。今回の新製品で加わった機能の一例をお伝えしておくと、バッテリーをセーブするための『スタミナモード』がさらに便利になっています。ユーザーが1日の中でスマホを使う頻度は日によって変わるものです。いつもよりスマホを頻繁に使っていると判断した場合、Xperiaが早めにスタミナモードを起動するように通知をプッシュしたり、ユーザーのライフスタイルを読み解きながら学習する機能を充実させています。ソフトウェアのインテリジェントな進化については、ぜひまた機会を改めて詳細をご説明したいと思います」(安達氏)。

これまでのXperia Xシリーズが物足りなかったというわけではないが、久しぶりに「スマホで4K」「スマホでHDR」といったソニーらしい売り文句をXperiaの開発陣から熱っぽい口調でうかがうことができ、筆者も期待に胸を高鳴らせている。スマホのクオリティ軸でのイノベーションにまだ限界は見えない。次はXZ PremiumでHDRコンテンツを視聴する機会を楽しみにしたい。

(山本 敦)

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