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“DSP補正”を廃したサブウーファーにも改めて注目

オールECLIPSEで作った、富士通テンが考える“理想のドルビーアトモス”。本社新試聴室で堪能

公開日 2016/01/19 11:18 編集部:小澤貴信(コメント提供:鴻池賢三氏)
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鴻池賢三はこう聴いた。
本社試聴室の“オールECLIPSE”ドルビーアトモス再生


富士通テン本社内の試聴室は、100m2ほどの空間があり、ステージと本格的な録音ブースを備えたスタジオとしての役割も併せもつ。3Dサラウンドオーディオ時代に合わせて新しくアレンジされたスピーカーは、フロアスピーカーは5.1ch構成として最新鋭モデル「TD512ZMK2」を使用。天井スピーカーには、フロントLRスピーカーとリアLRスピーカーの直上、床上約2.6mのポイントに天吊り設置の「TD510MK2」4本を加えて5.4.1chとしている。


鴻池賢三氏
今回の訪問では、サブウーファーは新フラッグシップモデル「TD725SWMK2」を組み合わせて試聴した。ちなみに視聴時は、AVアンプ側は位相を乱す原因を排除するためにAVアンプ側のイコライザーやフィルター類は用いず、距離補正のためのディレイ調整のみ施されている。

ドルビーアトモス版『マッドマックス/怒りのデス・ロード』を試聴。冒頭、砂漠が広がるシーンでは、音の無い静かな場面においても、空間の広さが表現されていることに驚く。ドルビーアトモスでは天井方向の定位感や派手な移動感に注目しがちだが、実は、静かなシーンでも体を全方位から音に包み込まれることによって、映像の世界の空気を感じることができる。こうしたナチュラルな音場の再現は、やはり再生音源に対して位相レベルでのレスポンスの速さと正確さ、スピーカー間の位相マッチングが効いてくるようで、改めてECLIPSEスピーカーのこうした特性へのこだわりと実力を体感できた思いだ。

また意外だったのがセリフの肉厚さ。スピーカーの口径は決して大きくないが、位相レベルでタイミングが合うことで、瞬間的に大きなエネルギーが取り出せるのだろう。S/Nの高さも際立ち、音が体の芯まで染みこんでくる感覚だ。


ドルビーアトモス収録ソースの試聴を行う鴻池賢三氏
またBD『U-571』をドルビーサラウンドを使って5.1.4chにアップミックスして視聴。海中で機雷攻撃を受けるシーンは、爆発音が水中を通ってゆっくり伝わってくる距離感や、潜水艦内の鬱屈した息苦しさが、緊張を憶えるほどリアルだ。アトモスで拡張された全方位のサテライトスピーカーとサブウーファーが一体となった音場の再現力は、まさに新世代3D音響と言っても良いだろう。

アトモス再生もここまでくると、ホームシアターというよりもバーチャルリアリティー・アトラクションを彷彿させる。3Dオーディオ時代においては、設置するスピーカー数が増える傾向にあり、位相問題はますます重要になる。こうした時代に、ECLIPSEはその答えの1つとなるだろう。(鴻池賢三)


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