一般にLEDは低消費電力と認識されているようだが、実は、消費電力に対する発光効率が高くなるほどコストもグンと高くなる。いくら省エネといっても、高価なLEDをふんだんに使って、テレビとしての価格が跳ね上がってしまっては意味がない。

現在、液晶テレビの光源の主流であるCCFLは成熟期にあり、コストに対する発光効率の高さは非常に優れている。つまり、光源をLEDに替えるだけで得られる省エネ効果は、コストを考えるとまだ限定的なのである。

 

そこで、LEDの開発を手がけるシャープは、高性能LEDを有利に調達する一方、液晶パネルの改良との相乗効果で、テレビセットとしての省エネを徹底した。その結果、LXシリーズでは、前衛となる液晶テレビGXシリーズと比較しても、優に30%を超える消費電力の削減を達成した。

成熟したCCFLを使いながら、これまでの技術改良の延長線上で、消費電力を30%以上削減するのは困難だ。ここにも、LEDとUV2Aのコンビネーションによるブレークスルーがあったということだ。繰り返しになるが、現実的なコストで画期的な省エネ性能を実現できたのは、LEDと液晶パネルを自ら作り、全体を俯瞰できるシャープならではのことと言えよう。

 

LED AQUOSでは、コントラストを飛躍的に高めながら、同時に消費電力の大幅な削減を両立させている
少しテクニカルな話になるが、省エネと画質の関係についても明らかにしておきたい。LEDはコントロールの方法によっても、省エネの度合いが変わってくる。LEDは、時間あたりの点滅回数を変化させる事で、明暗を瞬間的かつ的確にコントロールできる。CCFLなどの蛍光管を用いると、暗く保つのに限界があり、また突然明るい映像になると追随出来ないという弱点がある。LEDでは明暗の幅をダイナミックにコントロールできるだけでなく、瞬発力の高い追随性により、消費電力を抑えつつ、画質も高めるというメリットがあるのだ。LEDは、省エネに貢献するだけでなく、省エネ時代における画質の向上にも欠かせない存在と言えるのだ。

 

さらにLXシリーズで使用されているLEDには、環境汚染物質である水銀が含まれていない。一般的にバックライトとして使用されているCCFLも、使用されている水銀の量は、各国の環境基準以下が守られているが、今後は、リサイクルや廃棄時に必要となる余計なエネルギー消費を考えれば、できる限り早急にLEDへ切り替えることが望ましい。