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DTSのことがわかるQ&A

Q1:DTSって何のこと?
Q2:どうやって再生するの?
Q3:「DTSは高音質」と言われる理由は?
Q4:DTSロゴマークにいろんな種類があるのはなぜ?
Q5:DTSフォーマットの音の特長は素人にもわかる?


 
前方だけでなくサイドや後方に多数スピーカーを配置することで、ステレオ再生にはない臨場感あふれる音響効果を楽しめるサラウンド。DTSは主要なサラウンド音声フォーマットのひとつです。DTS音声フォーマットはドルビーTrueHD、リニアPCMといった音声フォーマットと並んで多くのブルーレイ、DVDソフトに採用されており、家庭でホームシアターを楽しむオーディオビジュアルファンにとってはスタンダードな存在になっています。

映画ブルーレイソフトにおけるDTSシェアは9割
オリコンが発表した「2010年上半期ランキング上位300作品」のレポートでは、ブルーレイソフトにおいてDTSの最上位フォーマットであるDTS-HD Master Audio™の採用数が増えていることを伝えています。「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 EVANGELION:2.22」や「マイケル・ジャクソン THIS IS IT」「アバター ブルーレイ&DVDセット」など上位作品で採用されており、なかでも映画タイトルでのシェアは9割を越えています。DTS躍進の背景には劇場公開作品、特にハリウッド系メジャー映画会社の積極的な採用があります(オリコン調べ)。

>>【関連ニュース】BDソフトの売上高が前年比2.2倍に拡大 − オリコンが2010年上半期映像売上ランキングを発表

THIS IS IT
DTS-HD Master Audio 5.1chを収録した「THIS IS IT」(SPE) オリコン調べでは、映画タイトルでのDTS-HD Master Audioシェアは90.2%


 
家庭で迫力のサラウンドを楽しむにはホームシアターシステムが必要です。5.1chスピーカー(5本のスピーカーと重低音をカバーするサブウーファー1台)、AVアンプ、ブルーレイ/DVDプレーヤー、テレビまたはスクリーンでシステムを構築するのが一般的なかたちです。 家庭でDTSのサラウンドを再生するためには、DTS音声フォーマットを収録したソフトだけでなく、そのソフトを再生する機器側(プレーヤー、AVアンプ)にDTSデコーダーが搭載されていることが必要になります。

DTS音声フォーマット再生のイメージ
DTS音声フォーマット再生のイメージ
DTS音声フォーマットを収録したディスクを、DTSデコーダーを搭載するプレーヤー、またはサラウンドアンプで再生します。5.1chなど複数のスピーカーをつないでDTSサラウンド再生が楽しめるようになります。

DTS対応ソフト、対応機器の見分け方は簡単です。DVD/ブルーレイソフトのパッケージをよくみてみると、仕様表に何の音声フォーマットが収録されているかが記載されています。そこにDTSのロゴマークがあるかをチェックしましょう。DTSデコーダーを搭載している機器にはDTSロゴマークがついています。

     
  DVD、ブルーレイソフトのケース裏面にDTSのロゴがあるかチェックしよう   DVD、ブルーレイディスクプレーヤーの場合は、機体本体にロゴが入っている  


DTSサラウンドでDVD/ブルーレイソフトを再生する際は、本編再生前にDTSの音声フォーマットを選択しましょう。メインメニュー内の音声設定メニューを開き、収録されているDTSフォーマットを選択します。

     
  本編を再生する前に、音声設定を確認。メインメニューから音声設定メニューを表示   音声設定メニューの中から、収録されているDTSフォーマットを選択(画像はDTS-HD Master Audio)  


 
 
一般的にDTSフォーマットが高音質だといわれる理由は、転送レートの数値にあります。デジタル録音においてはデジタルデータの転送レートが高いほど情報量が多く高音質とされています。多くのブルーレイソフトに収録されているDTSの最上位フォーマット「DTS-HD Master Audio™」の転送レートは最大24.5Mbps(可変ビットレート)、多くのDVDソフトに収録されている「DTS Digital Surround™」は最大1.5Mbpsと他のサラウンドフォーマットと比べて高い数値を実現しています。

DTSはもともと劇場用の音声システムとして誕生しました。劇場用システムにおいて業界関係者や映画ファンから音質への厚い信頼を獲得しており、家庭用機器においても「ホームシアターでの最高音質の実現」というテーマのもと、よりハイクラスの音質を追求する姿勢がオーディオビジュアルファンから支持を集めています。


DTSは映画からはじまった スピルバーグ監督が認めたクオリティ
DTSフォーマットのはじまりは劇場映画でした。現在地上デジタル放送がアナログからデジタルへの移行を遂げているように、劇場映画の音声データもかつてはアナログ方式で記録されており、1990年代になってデジタル音声方式が登場するようになりました。米DTS(デジタル・シアター・システム社)もデジタル音声を提供する会社のひとつでした。

DTS社が開発したデジタル音声システムが画期的だったのは、フィルムとは別に音声データをCD-ROMに記録して劇場に配給するというスタイルをとった点にあります。それまで一般的なデジタル音声データはフィルムのプリント上に映像データとともに直接記録されていました。DTSの方式では、フィルムにはCD-ROM内の音声データと映像データを同期させるタイムコードだけを記録して再生します。この方式はフィルムの劣化や不良による影響を受けず、初回の上映から最終日までクリアな音を再生できるメリットがありました。

完成したシステムをスティーブン・スピルバーグ監督に披露したところ、監督は公開準備をすすめていた「ジュラシック・パーク」(1993年公開)のサウンドシステムにDTSを採用することを決意します。以降、DTSシステムは世界中で順調に採用され、現在では27,000のスクリーンで導入されています。


DTSの高音質伝説
 
  各種イベントで行われるDTSデモブースはいつも満員
1990年代後半からレーザーディスク、CDという家庭用ソフトにDTSフォーマットが採用されるようになり、オーディオビジュアル専門誌「AVレビュー」(当時の編集長は現在AV評論家として活躍する大橋伸太郎氏)がDTS特集を組むなどの影響もあり、オーディオビジュアルファンの間で徐々にDTSの音の良さが評判になります。

そしてDTSフォーマットのひとつである「DTS Digital Surround」がDVDソフトのオプション音声として採用され、コレクターズ版などクオリティを重視した作品ににDTSフォーマットが収録されるようになったことで、一気に「高音質のサラウンドフォーマット」としてDTSが知られるようになります。一部の技術展示会やAVイベントで配布されていた、DTSフォーマット採用のデモコンテンツを収録した「DTSデモディスク」欲しさに、ファンがDTSブースに大行列をつくることもよくありました。

ブルーレイソフトにおいてDTSフォーマットの中で最も高音質な「DTS-HD Master Audio」の採用シェアが高まった要因の一つには、ブルーレイの高音質を訴求してDVDとの差別化を図りたいと考えるソフトメーカー側の戦略があったといわれています。



 
DTSフォーマットには音質重視のもの、手軽なサラウンド再生を目的としたものなど様々な仕様が存在します。また近年ではホームシアターシステムだけでなく、小型オーディオシステムやPCなどにもDTS技術が投入されています。ここでは代表的なフォーマットのロゴマークをいくつかご紹介します。

 

<音声フォーマット>

DTS digital Surroundロゴ 名称 DTS Digital Surround™(デジタルサラウンド)
主な収録ソフト 全ての家庭用ブルーレイソフト、一部の家庭用DVDソフトなど
主なデコーダー搭載機器 DVDレコーダー/プレーヤー、AVアンプ、サウンドバー、シアターラックなど
特長
DVDソフト向けデジタルサラウンド音声フォーマットの名称。DVDソフトではオプション音声フォーマットとしての扱いなので必ずしも収録されているわけではありませんが、それでも比較的多くのソフトに収録されています。最大5.1chの音声を収録できます。一部ポータブルDVDプレーヤーなどを除き、ほとんどのAV機器にデコーダーが搭載されています。なおブルーレイソフトの規格では必須フォーマットとして採用され、発売されているブルーレイソフトにはすべてDTS Digital Surroundの音声が収録されています。

【SPEC】サンプリング周波数 48kHz、チャンネル数 5.1ch、ビットレート 1.5Mbps

 

<音声フォーマット

DTS-HD Master Audioロゴ 名称 DTS-HD Master Audio™(マスターオーディオ)
主な収録ソフト 一部の家庭用ブルーレイソフトなど
主なデコーダー搭載機器 PS3、DVDレコーダー/プレーヤー、AVアンプ、サウンドバー、シアターラックなど
特長
ブルーレイソフト向けに開発されたDTS最高品位のデジタルサラウンド音声フォーマット。ブルーレイソフトではオプション音声フォーマットとなっており、必ずしも収録されているわけではありませんが、現在では多くのソフトに収録されています。DTS Digital Surroundよりもハイサンプリング、ハイビットでチャンネル数は最大7.1chまで収録可能。さらにロスレス(可逆圧縮)とよばれる圧縮前のスタジオマスターの音質を損なうことなくそのまま再生できる方式を採用している点が大きな特長で、きめ細やかで鮮明なサウンドを家庭で再生することができます。

 
ロッシ竏窒フイメージ
 
ロスレスのイメージ
 
  非可逆圧縮(ロッシー)の視覚的なイメージ   可逆圧縮(ロスレス)のイメージ  

またはほとんどのブルーレイレコーダー/プレーヤーにデコーダーが搭載されており、PS3も対応しています。AVアンプは2009年発売モデルからエントリークラスの製品にも採用が広まり、現在では主要メーカーから発売されるAVアンプはほぼ搭載しています。低価格のサウンドバータイプのホームシアターシステムなど一部で未対応の製品もあるので購入時にはロゴマークの確認が必要です。

【SPEC】サンプリング周波数 96kHz、チャンネル数 7.1ch、ビットレート 最大24.5Mbps(可変ビットレート)  ※5.1ch時はサンプリング周波数 192kHz

 

<ハードウェア向け技術>

DTS Surround Sensationロゴ 名称 DTS Surround Sensation™(サラウンドセンセーション)
主な収録ソフト -
主なデコーダー搭載機器 ホームシアターシステム(フロントサラウンド方式)など
特長
音声フォーマットではなく、2chのスピーカーやヘッドホンで自然な3次元サラウンドを再現する技術です。汎用の家庭用機器で気軽にサラウンドを体験できるように開発されました。サラウンド化するオーディオソースは特に限定されず、マルチチャンネル音源にもステレオ音源にも対応します。強調しすぎない自然なサラウンド感が特長です。

対応機器としては、AVアンプ、フロントサラウンドシステムのほか、ケンウッドの一体型オーディオシステム「U-K323」にも搭載されています。本機では通常の音楽CDを広がりのあるサウンドで再生することができます。

 

<ハードウェア向け技術>

DTS Premium Suiteロゴ 名称 DTS Premium Suite™(プレミアムスイート)
主な収録ソフト -
主なデコーダー搭載機器 PC
特長
DTS-HD Master AudioやDTS Surround SensationといったDTSのAV機器向け主要技術をまとめ、PC向けの音声再生技術として提供するパッケージソリューションです。PCに内蔵されたステレオスピーカーやヘッドホンで自然なサラウンドを楽しんだり、外部のオーディオ機器に接続してマルチチャンネル再生ができます。またPCの潜在能力を最大限に引き出す機能も備え、ステレオ環境でも7.1ch環境でもダイナミックな音質でコンテンツを再生することが可能です。

現在搭載しているのはオンキヨーのオールインワンPC「E7シリーズ」のみですが、今後搭載PCは増えていくはずです。

>>DTS Premium Suiteの詳細はこちら



 
たとえばロスレスの場合、マスター音源そのままの音質で再生されるはずなので、原理的にはロスレスのフォーマットならばどんな種類でも再生音は同じになります。ところが実際には各フォーマットが独自のアルゴリズムを使用しており、オーディオビジュアルファンの間では両者を聴きくらべると音の印象が異なるという意見が多数を占めています。DTS事情に詳しいAV評論家の大橋伸太郎氏は「DTSの音は人間味ある暖かみのある音」と評しています。

<DTS年表>
 
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