【特別企画】HDR性能をブラッシュアップ

人気モデルがさらに進化、これぞ高画質4K/HDRプロジェクター! エプソン「EH-TW8400/W」レビュー

折原一也

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2019年03月18日

まず映画『グレイテスト・ショーマン』のチャプター6、ショーに至るまでのシーンを視聴すると、街頭の瑞々しい光の質感が描かれる。作品のなかで印象的に登場する赤色は特に3LCDの本領が発揮され美しく、ステージの暗がりから光までのコントラストと階調性は見事。チャプター11のジェリー・リンの歌唱シーンでは、ステージの暗部の安定した色のりと共に、照明、そして衣装の輝くような光の表現も巧み。女優の表情の描写も、輪郭よりも肌の質感の表現によって説得力を生み出すようだ。

続いて視聴した『レディ・プレイヤー1』でも、その優れた発色で4K映画の世界に引き込んでくれる。ゲーム世界が主な舞台となる本作では、映像モードに「ブライトシネマ」を選ぶのも一つの手だ。具体的なシーンを挙げると、チャプター1の冒頭、ゲーム世界の “オアシス” にある惑星ドゥーム。派手な炎のエフェクトでHDR映画らしい輝度表現が楽しめるシーンだが、「ブライトシネマ」で視聴すると、眩しいほどの光量がHDR時代の映像表現の到達点を見せつけてくれる。

HDR作品らしい表現が堪能できる

黒の沈みと暗部階調もしっかりと維持される所は、本機のポテンシャルの高さをうかがわせる。チャプター2のレースシーンも、CG映像のしっとりとした質感、特に明暗の美しさをダイナミックに再現してくれるだろう。

『2001年宇宙の旅』では、木星にそびえ立つモノリスが映し出されるチャプター13から視聴。Ultra HD Blu-rayでは画面全体にフィルムのノイズ感が残されているが、黒の沈み込みの安定感と共に、そのノイズが適度な柔らかさを持って描写される。チャプター17で主人公とチェスをするシーンからの船内の闇の沈み込み、HALの赤いランプの光、そしてその階調の繋がりも丁寧だ。

アニメ映画『君の名は。』では、御神体に向かうチャプター13も、本機の素性の良さ、高画質を確認できるシーン。紅葉に色づく木々の質感と彩り、そして背景の中景と遠景の立体感など、アニメーションのなかでこれほど丁寧に描きこまれていたのかと改めて見入ってしまったほど。見慣れた作品も、改めて映像美の世界に引き込まれる。これは3LCDの豊かな色再現によるものだろう。

なお、顔の肌色が暗く感じる場合には、ダイナミックレンジ調整(HDR10調整)の設定値を操作するのも重要。標準値から数字を小さくすれば、画面全体の輝度バランスを崩さぬまま引き上げられる。視聴環境の照明が明るい際には「デジタルシネマ」をベースとして1 - 2段階調整してみても良さそうだ。

16段階のHDR設定を調整することで大きな効果が得られる。左から「1」「8(デフォルト)」「16」の設定にした映像

さらに、新4K衛星放送での画質も検証。NHK BS 4Kで放送していたSDR制作の番組を視聴すると、職人の技を捉えた4K映像の美しさは、まるで美術館で作品を鑑賞しているような雰囲気。番組本来の色調で視聴するためには、暗室では「ナチュラル」の映像モードをベースにして、ダイナミックレンジ調整で輝度を引き上げた状態がベター。照明をつけた状態では「ブライトシネマ」が色の表現力も含めて楽しめた。

4K放送もEH-TW8400/Wなら高精細な大画面で楽しめる

もちろん、HLG映像作品はHLGフォーマットで視聴できる。なお、現在のHLG映像の傾向として画面全体が暗く見えることが多く、ダイナミックレンジ調整で画面輝度を3〜4段階ほど引き上げる設定にした方が4K放送の精細感が出る。こうした4K放送黎明期ならではの問題に対処できるのも心強い。

EH-TW8400/Wを視聴して分かるのは、4Kプロジェクターとしての実力の高さ。映像の表現力、HDRの描写、黒が締まるコントラストなどには何の不安もない。画質を決めるのはトータルの完成度であると、改めて実感した。本機は、スペック以上に本質的に画質をケアする、安定のミドルレンジ機として高く評価したいモデルだ。

(折原一也)

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