「赤いシリコンバレー」を訪ねた

優秀すぎて話題、超小型DAP「M0」はここで生まれた − 中国・深センのSHANLINGを訪問

鴻池賢三

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2018年08月14日
「シャンリン」を総本山で試聴

社屋内に設けられた試聴室。音響対策も適度に行われ、実際の家庭環境を意識しつつ、音の良い部屋に仕立てられている。

今回は、オーディオエンジニアが開発過程でも使用する試聴室で、同社の25周年記念モデルを試聴する機会を得た。機材型番は以下の通り。

CDトランスポーター:T600 CD turntable
DAC:D600 DAC
プリアンプ:P600
パワーアンプ:A600 (モノラルx2)
スピーカー:B&W 800D

試聴には同社マーケティング・ディレクターのChanger Chen氏に立ち会って頂いた。

まずはシャンリンが目指す音の方向性を同氏に質問したが、回答は「Easy」と極めて明快。補足すると、「心地良くリラックスして音楽が楽しめる音」というのが、同社オーディオ製品共通のゴールだという。音作りのためのリファレンス音源には、中国、香港、台湾のポップスがかなりの割合で含まれているとのこと。欧米や日本メーカーとは大きな違いであり、音調にどのように反映されているのが興味深いポイントである。

郷に入れば郷に従え。試聴はChen氏の選曲で行った。

中国広東省広州出身の香港歌手、羅文(Roman Tam)の「舊夢不須記」(参考)は、多くの日本人が中国らしいと感じる伝統的でゆったりとした楽曲。男性ボーカルは豊かな抑揚を伴い、はじめて耳にする曲ながら、懐かしさを感じ、故郷に戻ったかのように、リラッスして浸ることができた。

台湾のベテランアーティストで結成されたスペシャルバンド、縱貫線(Superband)の「讓我歡喜讓我憂」。こちらも歌唱力の高い男性ボーカルが印象的な楽曲。オーディオ機器では、女性ボーカルが上手く鳴っていても、男性ボーカルで歪みを感じるケースは少なくないが、ここでは実に滑らかでリズムの美しさに惹き込まれてゆく。

久し振りに時間が経つのを忘れるほどストレスの無い、自然な音を聴いた。新しい発見だった。シャンリンの目指す「Easy」を身をもって体感すると同時に、M0で美点に感じる潤沢なパワーに基づいた「おおらかさ」や「伸びやかさ」と通じるものを感じた。はるばる総本山にやって来た甲斐があった。

ちなみに「讓我歡喜讓我憂」は、CHAGE and ASKAの「男と女」のカバー。メロディー、歌詞、アーティスト全てにおいてどこの国という分け隔てなく、アジアの産物として楽しめるのは嬉しく感じた。

マーケティング・ディレクターのChanger Chen氏。 MBAを取得後投資銀行で勤めるも、音楽に近い仕事を求め、3年前にシャンリンに転職。使える時間は全てM0に注ぎ込んできたという熱血派。音楽は中国、香港、台湾のポップスを好み、日本人アーティスト「中孝介」もお気に入りという。


試聴室内でみつけたシャンリン製品。シャンリンと聞けば、この「CD-T100MKII tube CD player」が真っ先に思い浮かぶほどインパクトの強い製品。現在も購入でき、ネット直販の価格は15000元(日本円で約25万円)

ハイエンドの「シャンリン」がポータブルに進出したわけ

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