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高輝度3,000ルーメンでリビングでも使いやすい

“スポーツ向け”映像モードで盛り上がる! BenQの4K HDRプロジェクター「TK800」レビュー

公開日 2018/06/14 09:00 山本 敦
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続いてスポーツモードに切り替えて、国内プロバスケットボール「Bリーグ」の試合を見た。ベンキューがアピールしてるように、「スポーツモード」の映像は温かみを重視したチューニングに仕上がっているようだ。

ピクチャモードの変更はリモコンから簡単に行える

付属のリモコン。本体に内蔵されるスピーカーのボリューム調整など、手元にあると便利だ

フロアに木を使っている体育館で行われた試合を選んで視聴してみると、確かに他のモードよりも木目がクッキリと浮かび上がるような手応えがある。選手の肌色にもほんのりとした赤みが乗っているようだ。選手の好プレイのたびに、スタンドで試合を観戦するオーディエンスの肌が紅潮する様子もよくわかる。体育館に渦巻く熱気が画面を通して伝わってきた。

スポットライトに照らされた選手の筋肉に、光る一筋の汗の艶めきにまで生々しく迫る、4K映像の醍醐味をほかの様々なスポーツで味わいたい。いま人気のバドミントンや卓球もTK800の4K/HDR映像で見たら色んな発見がありそうだ。

TK800にUHD BDプレーヤーを接続して、スポーツ系以外のコンテンツもチェックしてみよう。映画『君の名は。』の物語終盤から、夜景のシーンでは夜空を切り裂く彗星の明るいきらめきに圧倒された。明るいランプを搭載するTK800の本領が発揮されて、この作品のクライマックスシーンとよくマッチした。

観賞の際には映像モードを「シネマ」に設定したが、色合いはわずかに温かみ方向にバランスをシフトしているように感じる。人物の肌色が生き生きとしていて好ましかった。夜のシーンでは暗部が黒つぶれすることなくディテールが丁寧に再現される。アスファルトのグレー系の黒色と、主人公の背景に広がる森の緑っぽい黒色の違いがはっきりとわかる。

ランプの輝度が高めなので、少し明るめのリビングで家族揃ってアニメ作品を楽しむような場合には最適なプロジェクターだと思う。もし真っ暗にできる部屋で鑑賞する場合は、映像設定から多少ランプの明るさを落として暗部を引き締めてみても良いだろう。

部屋の環境によって輝度調整などを行うことで、映像を追い込める

実写映画は『インターステラー』のUHD BDディスクをチェックした。映像モードは「シネマ」を選択している。やはり4Kらしさが実感できる解像感の高い映像に引き込まれる。陰影のコントラストがやや強めに感じられるものの、宇宙空間の深い闇と、怖いぐらいに明るく瞬く星の対比から心地よい緊張感を味わうことができた。

宇宙船の外観をカメラがなめるシーンでは船体の金属部の鮮烈なきらめきが目に飛び込んできた。作品によってはピークの明るさが少し強く感じられるかもしれないので、適宜映像設定から輝度のバランスを心地よい範囲に調整してもいいと思う。

「HT2550」とのキャラクターの違いは?

TK800は同じベンキューが発売する4K/HDR対応のホームプロジェクターHT2550に比べると、全体に鮮やかな色調とコントラスト感を特徴として打ち出した画づくりであるように思う。リビングルームに常設して、少しだけ明るさを落とした環境でテレビ放送のニュースやバラエティ番組を見る “ふだん使い” にも活躍してくれそうだ。

左が「HT2550」、右が「TK800」。外観の違いは前面パネルの色のみ

TK800の映像とあらためて比べながらHT2550のキャラクターをあえて定義するのであれば、本機の方はより細かなニュアンスの再現性を重視した上質なシアター志向のプロジェクターと言えるかもしれない。明暗の表現もオンとオフがはっきりとしているTK800に対して、HT2550はより階調表現の滑らかさにフォーカスした画作りである。人物の肌にクローズアップした時の瑞々しい質感の再現力にも長けている。映像そのものにドラマ性を感じたい本格シアター志向の方々にはHT2550をおすすめしたい。

どちらのプロジェクターもベンキューの最先端技術を活かしながら、4K/HDR映像から得られる感動を身近に体験させてくれる良質な製品だ。これからホームシアターを1から始めてみたいと考えている全ての方々に、一度はこの映像を体験してもらいたいと思う。

(山本 敦)

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