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【特別企画】柔らかネックバンドとマグネットで使い勝手も良好

RHA「MA750 Wireless」「MA650 Wireless」レビュー。Bluetooth化した大ヒットイヤホンの実力は?

公開日 2017/11/14 09:45 鴻池賢三
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「MA750 Wireless」は、Bluetoothイヤホンとしては、密度感のある滑らかさや、スムーズな音調が特筆に値する。筆者の愛聴音源、Susan Wongの『How Deep is Your Love』(192kHz/24bit/FLAC)は、なんといっても甘過ぎずも甘美なボーカルが魅力なのだが、再生環境によっては低く太くなってしまったり、逆に細く上ずってしまうことが少なくない。

Susan Wong『Someone Like You』収録『How Deep is Your Love』

その点「MA750 Wireless」では、実にセンスの良いチューニングで理想にドンピシャ。彼女の伸びやかな歌声を抑揚たっぷりに聴かせてくれ、音量の移行も密度感に満ちて滑らかで、有機的な美しさ、優しげな表情として伝わってくる。また、テクスチャが豊かで一歩近づけるような感覚も実に心地よい。解像度が高くも、子音の刺さり感が皆無で、やわらかな表現に繋がっているのも美点だ。

「MA650 Wireless」との大きな違いは、高域を中心とする余韻の透明感と消え際までスムーズな伸びによって、空間の広がりを感じられる点。構造やドライバーの違いがあるが、恐らく、ステンレス材固有の音色が活かされているのだろう。

低域の実力は、リファレンスとしているDaft Pankの『Give Life Back To Music』で確認。キレの良さで、軽やかなアタック、重厚な響き、音の強弱といった表情を描き分け、躍動感豊かに聞かせてくれる。

Daft Pank『Randum Access Memories』収録の「Give Life Back To Music」

続いてiPhoneとのAAC接続も確認。コーデックに由来する高域のドライさや響きの消失は否めないが、裏を返せば、コーデックの違いを的確に再現できる性能を持ち合わせている証拠とも言える。周波数バランスとしてはaptXとAAC間で大きな違いはなく、聴感上の印象は近似。整合性にも配慮が感じられる。

さて「MA650 Wireless」の基本傾向は上述の通り、クールな音調でダイレクトに迫って来る印象だ。

試聴は、iPhoneと組み合わせ、Spotifyの楽曲を中心に行った。日本でも人気急上昇の予感がするK-POPの歌姫・IUの『Last night story』は、音離れの良さで、軽快なリズムが引き立つ。低域はすっきり仕立てられているが、ズシンと響きつつ後を濁さない引き際も見事で、ボーカルの魅力をスポイルしないのも美点だ。天性の歌唱力に加え、年齢を重ねてテクニックや大人の色香で厚みを増した魅力も鼓膜に心地よい。総じて充分な基本音質性能を持ち、圧縮音源やAAC圧縮による音の痩せも上手くカバーするチューニングは見事だ。



音質は、Bluetoothと言えども、さすがRHAと思える良好なもの。音質重視派なら、aptXが利用できるプレーヤーと「MA750 Wireless」の組み合わせがお勧めだ。価格差以上の満足感が得られるだろう。

価格のほか、キャラクターの違いでも選びがいがあるだろう

クールな音調が好みなら、「MA650 Wireless」もお勧めだ。特に日本で多いiPhoneユーザーの場合、aptXが利用できないので、「MA750 Wireles」の音質性能を活かしきれないのはもったいない。そう考えると「MA650 Wireless」のコストパフォーマンスが魅力に感じる。

いずれにしても、価格以上の高音質で、ファンの期待を裏切らない完成度。ワイヤードイヤホンで人気を博しているRHAが、Bluetoothでも話題を集めそうだ。

(特別企画 協力:ナイコム)

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