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アナログ入力からヘッドホンまで徹底分析

価格やサイズに見合わぬ高品位サウンド − マランツ「HD-AMP1」に岩井喬が迫る

公開日 2015/12/11 18:48 岩井 喬
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続いては大型スピーカーを接続し、駆動しきれるのかも確認してみた。用意したのはTAD「Evolution One」である。アナログ構成のプリメインアンプでも鳴りにくい難易度の高いスピーカーであるが、スイッチングアンプの素性の良さもあるのか、比較的バランスの良いサウンドを聴かせてくれた。アタックは多少丸くなり、滑らかで耳当たり柔らかな傾向とはなるものの、広がり良く爽やかなオーケストラの余韻や肉付き良いボーカルの音像表現は聴きやすく、自然でウォームなサウンドだ。本来のモニター然とした鳴り方ではないが、破たんのないまとめ方とするあたりはさすがである。

試聴を行う岩井喬氏

ヘッドホンのゲイン切替で音質の変化も楽しめる

そして最後にヘッドホンでのサウンドも聴いてみたが、まずはゲイン切り替えでどのような音質変化があるのかを確認してみた。用意したのはシュア「SRH1840」だ。

SUHRE「SRH1540」を組み合わせたところ

“Low”では倍音の艶やかさや音像の柔らかい立ち上がり感が際立つ一方、分解能は十分にあり、耳馴染みの良いスムーズなサウンドを聴かせてくれた。“Mid”となるとバランスが整い音像の引き締まり感と余韻の伸びやかさがより素直になってくる。空間性も良くなり、音像はスマートに定位。大人びたナチュラルサウンドといった感じだ。“High”では鮮度高くダイレクトな音色となり、キレ良くブライトな傾向になる。分離度も高くすっきりとした表現となり、モニターライクといえるサウンドだ。

もうひとつゼンハイザー「HD650」でも聴いてみたが、潤い良く滑らかなサウンド傾向で、落ち着きある空間性と、弾力を持たせつつ制動良く表現する音像の安定感の高さが見事なバランスで融合。高密度でしっとりとしたボーカルはウェットな口元の艶をほんのりと浮かべ、大人びた表現となる。リズムのキレも十分でしっかりとローエンドもグリップ。ドライブ能力の高さも感じることができた。

◇◇◇


HD-AMP1はサイズや価格を感じさせない大らかで余裕のあるサウンドを聴かせてくれる、フルサイズクラスとも渡り合えるクオリティを持ったハイC/P機だ。デスクトップ環境においてはその豊かな空間表現力と上質な音像描写力によって、ハイレゾ音源の持つ情報量をストレートに伝えてくれる。ヘッドホン再生能力の高さもあり、省スペースで最大限のオーディオ再生を実現する、究極のデスクトップアンプといえる内容を持つといえるだろう。また少し距離を置いた一般的なセッティングでもそのクオリティは変わることなく、むしろ生き生きと音楽を奏でてくれる点も嬉しい。デスクトップからのステップアップにも柔軟に応えてくれる、コンパクトでありながら懐の深さも持ち合わせた、様々なシーンに順応する使い勝手の良いプリメインアンプだ。

(岩井 喬)


<試聴音源>

【クラシック】
・レヴァイン指揮/シカゴ交響楽団『惑星』〜木星(CDリッピング:44.1kHz/16bit・WAV)
・飛騨高山ヴィルトーゾオーケストラ コンサート2013『プロコフィエフ:古典交響曲』〜第一楽章(e-onkyo:96kHz/24bit)
【ジャズ】
・オスカー・ピーターソン・トリオ『プリーズ・リクエスト』〜ユー・ルック・グッド・トゥ・ミー(CDリッピング:44.1kHz/16bit・WAV)
・『Pure2-Ultimate Cool Japan Jazz-』〜届かない恋(2.8MHz・DSD)
【ロック】
・デイヴ・メニケッティ『メニケッティ』〜メッシン・ウィズ・ミスター・ビッグ(CDリッピング:44.1kHz/16bit・WAV)
【その他、ハイレゾ音源】
・長谷川友二『音展2009・ライブレコーディング』〜レディ・マドンナ(筆者による2.8MHz・DSD録音)
・Suara「キミガタメ」11.2MHzレコーディング音源



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