USB-DACをはじめ多彩な音楽ソースに対応

ケタ違いの能力は “デスクトップ” を超えた!マランツ「HD-AMP1」実力チェック

大橋伸太郎

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2015年12月04日
マランツのHi-Fiアンプとして初めて本格的なスイッチングアンプを搭載したUSB-DAC/プリメインアンプ「HD-AMP1」を大橋伸太郎がレビュー。「ミュージックリンク」の名を継承してコンパクトながら高い再現性を獲得した本機の実力を検証する。(ロングインタビュー:「マランツのサウンドマネージャー澤田氏“最後の作品”。『HD-AMP1』開発秘話」はこちら

Marantz「HD-AMP1」 ¥140,000(税抜)

新たな「ミュージックリンク」を標榜するUSB-DAC内蔵プリメインアンプ

1990年代オーディオ界の話題をさらった一際印象深いプロダクツに、マランツの「MUSIC LINK(ミュージックリンク)」がある。ラインアンプ「DAC-1」、パワーアンプ「DMA-1」、CDプレーヤー「CD-23」で構成される。高級オーディオ・イコール・重厚長大が常識だった時代、ミュージックリンクは機能を絞り込み部品を厳選しシンプルな回路規模でコンパクト緻密に作り込むことで、逆に色付けのない音のいい製品が生まれることを証明してみせた。

そしてミュージックリンクは美しかった。スイス製機械式腕時計のような凛とした佇まい。日本のオーディオの常識をことごとく覆したのだ。その後SACD/DVDオーディオが登場し、アナログのリバイバルなど入力ソースの多様化もあってミュージックリンクはマランツのカタログから姿を消した。しかしこの秋、その再来として新たにミュージックリンクの名を冠したUSB-DAC内蔵プリメインアンプ「HD-AMP1」が登場した。

HD-AMP1はUSB-DACはもちろん、S/PDIF、アナログ入力など多彩な音楽ソースに対応する

HD-AMP1はプリアンプ、パワーアンプ、USB-DAC、ヘッドホンアンプを一つに統合した。「ミュージックリンクと逆じゃないか」と思うかも知れない。CD一辺倒の1990年代前半と逆に、ソースが多様化した現代のオーディオを反映して、HD-AMP1は統合による高音質を狙った。高性能なDACを中心にデジタルソースへの対応を一元化すれば再生音質の安定した高品位化が得られるのだ。

もう一つ、HD-AMP1はマランツのHi-Fiコンポーネントとしては事実上初となるクラスDアンプを搭載した。しかもマランツは、ありふれたフルデジタルアンプとすることを良しとせず、最も得意とするアナログ・フルディスクリートアンプとクラスDアンプデバイスとの融合を図ったのである。この点の詳細は後述したい。

マランツとして初となるESSのDACを採用

それでは、HD-AMP1のプロフィールに踏み込んでみよう。DACデバイスにマランツとして初めてESS Sable Premium DACを採用した。ステレオ32bitDAC「ES9010K2M」だ。DSD 11.2MHzやPCM 384kHz/32bitにまで対応する。

MarantzとしてはじめてESS製DACを搭載

注目すべきは、DACデバイス内にマランツ独自のデジタルフィルターであるMMDF(Marantz Musical Digital Filtering)を実装したことだ。デジタルフィルター選択機能を持つDACの場合、シャープロールオフ/スローロールオフから選択するようになっているのが一般的だが、前者の場合インパルス信号の前後にエコー(映像で言うリンギング)が付くことが特徴だ。後者のアナログ的音調に対して立ち上がり/立ち下がりの鋭さをそれで印象付けていたのだが、マランツでは自然音響であり得ないプリエコーをよしとしなかった。

独自フィルター「MMDF」を搭載。「FILTER1」「FILTER2」を選択できる

今回、「ES9010K2M」の独自フィルターを設定できる機能を活かし、プリエコーを排したマランツオリジナルのシャープロールオフデジタルフィルターを「FILTER1」に、「FILTER2」にはやはり独自開発したショートディレイ型のスローロールオフ・フィルターを搭載した。

独自のフルディスクリート・アンプ技術とクラスDアンプを融合

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