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海上忍のラズパイ・オーディオ通信(4)

ラズパイ・オーディオをフルデジタルアンプ「DDFA」にI2S入力! 鮮烈な音に驚愕した

公開日 2015/08/19 11:00 海上 忍
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あのトールボーイスピーカーと組み合わせて聴いてみた

音元出版の試聴室には、MONITOR AUDIOのトールボーイ3ウェイスピーカー「GOLD GX200」が準備されており、Raspberry Piを接続したリファレンスアンプとケーブルでつなげばいい状態。GPIOポートとつなぐケーブルは挿したまま移動したため、セットアップは3分ほどで完了、今度は順調に再生が始まった。すると、同席していたK編集長が思わずつぶやく。

FLAC 192kHz/24bitを再生しているときのディスプレイ部。確かに、サンプリングレートが192kHzの信号を入力していることがわかる

K編集長:これは……
筆者:鮮烈、とでも言いましょうか……

GOLD GX200は繊細でありながら芯が太く、くっきりとした音像とともに疾走感をも感じさせるスピーカーだが、CSR社のリファレンスアンプで聴くと音像がさらに明瞭さを増す。筆者のリファレンス音源のひとつ、Steely Danの「Pixeleen」(FLAC 96kHz/24bit)はイントロのスネアアタックは制動よく、余韻も速やかに収束する。味付けではなく正確性という意味において、これまで聴いたどのシステムとも違う個性を感じさせる音だ。

低域の解像感は特筆もので、ともすればボヤけて描かれがちな音もくっきり浮かびあがるよう。もうひとつのリファレンス音源であるDaft Punkの「Get Lucky」(WAV 88.2kHz/24bit)では、高域へ鮮やかにぬけるようなハイハットの音とともにうねるベースがしっかり描き分けられ、そのコントラストで曲独特のキラキラ感がさらに増す。

Daft Punk『Random Access Memories』(「Get Lucky」収録)

音元出版試聴室でラズパイ・オーディオのサウンドを満喫する海上氏

筆者:正確無比、という印象ですね。
大島氏:ありがとうございます。DDFAの性能もさることながら、ジッターフリー転送およびマスタークロックの精度も貢献していると思います。

これはいける。ピンを1本1本挿す設置方法はともかく、GPIOからフルデジタルアンプへの出力は大いにアリ、そう実感した。アリどころか、I2S信号をダイレクトに転送するのだから、USB-DACと比べて有利な部分がある。I2S入力可能な“ラズパイ・オーディオ対応アンプ”が欲しい……この取材(実験?)も相当なものだが、厚かましさついでに直球で訊いてみた。

筆者:I2S入力可能なDDFA搭載のアンプが欲しいんです!
大島氏:弊社はチップベンダーですからね。どこかのオーディオメーカーさんに製品化していただかないと。
筆者:DDFA搭載アンプにI2S端子を装備することは、コストアップ要因になりますか?
大島氏:わずかだと思いますよ。装備する/しないは、メーカーさんの考え方次第ではないでしょうか。

というわけで、ラズパイ・オーディオにおいてI2S出力は大いに検討すべき事項だ。I2S出力標準対応のPCは皆無に等しく(USB-DDCが必要)、ケーブル/コネクタを含めて検討しなければならないが(I2S入力可能なハイエンド機の多くはRC45端子を採用している)、その音を追う価値はある。少なくとも、USB-DACやNASの利用を前提としたPCオーディオとはひと味もふた味も違う地平が存在することは確かだ。

(海上 忍)

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