読者4名が自宅でPMA-50を試聴

CSRのデジタルアンプ「DDFA」を読者はどう聴いた? デノン「PMA-50」モニターレポート

構成:ファイル・ウェブ編集部

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2015年04月10日
革新的なデジタルアンプ「DDFA」のサウンドを体感する試聴イベントが3月に開催された(関連ニュース)。今回、本イベントの参加者4名に、DDFAを搭載したデノンのプリメインアンプをモニターレポートしていただいた。ファイル・ウェブ読者の皆様はPMA-50、そしてDDFAのサウンドをどのように聴いたのだろうか。

INDEX
【レポート1】
S・Tさん「DDFAという素晴らしい素材をデノンという優れた料理人が調理している」
【レポート2】
M・Aさん「透明感があり高域の分離も良好。うまくサウンドをまとめ上げている」
【レポート3】
A・Tさん「デジタルアンプならではの解像感とS/N、そして瑞々しい音楽性を両立」
【レポート4】
I・Yさん「再生する音源の録音状態や音質の良し悪しを如実に表現」

DDFAという素晴らしい素材を
デノンという優れた料理人が調理している

S・Tさん

デジタルアンプは、高効率を活かしたコンパクトな筐体の製品が多いです。音質を追求するがゆえにクラスDを選択するのではなく、省スペースを求めた結果デジタルアンプとなった製品もあると個人的には感じています。結論を先に述べることになりますが、今回お借りしたデノンの「PMA-50」は音質を第一に考え、作られたアンプであると言えます。

PMA-50をヘッドホンと組み合わせたところ

3月7日に行われたDDFA試聴会ではイギリスより来日したCSR社の開発の方が「デジタルアンプには方式が色々あるが、私達のDDFAには音質的に強みがある」と仰っていたのが印象的でした。そんなDDFAを搭載したPMA-50の印象を以下に記します。

まず「使いやすさ」について。取扱説明書に加え、スタートアップガイドが付属するので、PCの扱いに慣れない人でもセットアップができるよう配慮されている点が良いです。また、リモコンの反応が説明書に記載されている範囲より良く感じられ、受光部に真っ直ぐに向けなくてもアンプをコントロール可能です。そのためセッティングの自由度が増します。

ディスプレーは見やすいですが、完全消灯できる4段階のディマーがあれば望ましいと感じました。電源オンで「DENON」のロゴがスッと浮かび上がるのは見ていて心地良いです。また、縦置き時に液晶も縦表示に切り替わるのは、非常に使い勝手がよかったです。

起動が早く、すぐに音楽を楽しめる点にも好感を持ちました。一方で、端子類が奥まっている点は、ホコリ防止には役立つが、少し接続がしづらいです。ボリュームノブは持ちやすいですが、私の好みとしてはもう少し回すときの抵抗感が欲しくなりました。

縦置き・横置きどちらにしても一貫したデザインは素晴らしいの一言です。また、本体の発熱は控え目で、デジタルアンプの利点を感じます。扱いやすく、モノとしての質感も高い、PMA-50はプロダクトデザイン面において優れた製品です。

次は音質について。iMac→PMA-50→AERIAL ACOUSTICS「MODEL5B」という構成で、再生ソフトはVOXを使用しました。

愛聴盤のPaco de Lucia『Siroco』を流すと、パコのギター、カホンや手拍子が眼の前に広がり部屋の空気が変わります。透明感の高さはすぐに感じられ、ギターの立ち上がり、消え行く音の様を逃さしません。AERIAL ACOUSTICSのスピーカーは反応が良くサイズを超えた低域を持っていますが、PMA-50は見事にそれを引き出し、埋もれがちなニュアンスを丹念に描いてくれました。

スピーカーはAERIAL ACOUSTICS「MODEL5B」と組み合わせた

ソフトをかえて松任谷由実『VIVA!6×7』から「恋の苦さとため息と」を再生。ヴィニー・カリウタの音数の多いドラミングの力強さを余すことなく聴かせる再生音にPMA-50、そしてDDFAの駆動力の高さを感じました。各パートがブレず、ボーカルは凛としてそれぞれがよく溶け合います。デジタルアンプというと駆動力が高いだけと思われがちですが、優秀なデジタルアンプは音色の柔らかさも持っています。PMA-50もそのひとつであり、懐深い音は録音状態を問わず安心できる音を提供してくれます。

ここでの「安心」とは、バランスが取れた音ということであり、低域から高域まで完成度が高いということです、もちろん価格を考えれば、デノンの上位機種とパーツや電源部の造りで劣るのは否めないでしょう。しかし、この価格でDAC・プリ・パワーアンプの3役を担い、音質にこだわったPMA-50を作り上げたデノンには正直驚きを隠せません。

そのPMA-50の心臓は、CSRの高性能アンプDDFAです。良質な材料を優れた料理人が調理すると、美味しい料理ができ上がります。どちらかが欠ければ成り立たちませんが、幸いPMA-50は何とも味わい深いアンプに仕上がっています。デノンの絶妙な塩梅で調整されたPMA-50を、音楽を楽しむアンプとして多くの人に聞いてもらいたいと感じました。

再生ソフトはVOXを使用

さてPMA-50は、ヘッドホンアンプも音質的に練られたものとなっているようなので、期待をして聴いてみました。Focalのヘッドホン「Spirit Professional」を繋いでMaysa『Feel The Fire』から「Happy Feeling」を試聴しました。メイザの太く、艶やかな歌声を克明に伝え、エコーも美しく響きます。

続いてBeady Belle『Closer』から「Skin-Deep」。静と動を併せ持ったドラムン・ベースの冷たいようで暖かい音をよく表現できているので、聴いていてとても気分が良いです。分解能は高いながらも決してキツい音を出すことはないバランスの良さ、PCのヘッドホンジャックから音を取るのとは比較にならない伸びやかな鳴りはPMA-50がヘッドホンアンプとしても優れているということを肌で感じさせてくれました。

DDFAについても感想を述べたいと思います。イギリスはケンブリッジを中心に半導体設計を手がけるCSRが開発したDDFAが、今後のオーディオ界を牽引する大きな役目を担うのではと私は思っています。その理由として、DDFAが音質において優位点のあるデジタルアンプ技術であること、CSRはサプライヤーとしてデノンやイギリスのNADに技術提供をし、各メーカーの音作りを尊重した上で助言するという確固たる考えを持っていることが挙げられます。優れた技術(DDFA)が広く共有され、製品の造り手と共にそれを高めていくという、理想的な商品開発のあり方をCSRの開発陣の話に見ることが出きました。高音質、高性能なDDFAのさらなる発展を願ってやみません。

終わりに。私自身、自宅で普段TACT AUDIOのデジタルアンプを使っているので、デジタルアンプは言わば気心の知れた友のようなものです。そんなデジタルアンプの『いま』を知り、親しみを感じると同時にこの技術が現在進行形で成長をしていることに喜びを覚えました。日本の住宅事情を考えると、高効率で高音質なオーディオは願ってもないものです。下世話な話ですが、高効率は光熱費の低下にもつながり財布に優しいのです。

今回はPMA-50を通して、デノンというオーディオブランドの力、DDFAの将来性や実力を感じることができました。いつかDDFAを搭載したミドルクラス、フラグシップのモデルが、デノンより発売されることに期待してレポートを終わりとさせていただきます。

透明感があり高域の分離も良好。うまくサウンドをまとめ上げている

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