<山本敦のAV進化論 第39回>ハイレゾの可能性を広げる

1Mbpsでもハイレゾ伝送、新ロスレスフォーマット「MQA」をメリディアン創設者に聞く【試聴レポート有】

山本 敦

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2015年01月14日
2015 International CESに出展した英メリディアン・オーディオは、ピュアオーディオのブランドが集まるホテル・ベネチアンのスイートルームを会場に、昨年12月に公式発表を行ったハイレゾ再生の新たな高音質化技術「MQA(Master Quality Authenticated)」のデモンストレーションを行った(関連ニュース)。

技術開発の指揮を執ったのは、メリディアン・オーディオの創設者の一人である、チェアマン チーフテクニカルオフィサーのロバート・スチュワート氏だ。今回のCESはMQAが公式にキックオフされてから初めて、大きなオーディオイベントにメリディアン・オーディオが参加する機会ということもあり、分単位のスケジュールでミーティングや商談を忙しくこなすスチュワート氏に、MQA発表後の手応えや今後のストーリーをうかがう機会を得た。

2015 International CESの会場でメリディアン・オーディオのチェアマン チーフテクニカルオフィサーであるロバート・スチュワート氏に「MQA」についてお話をうかがった

■CESでは新たなMQAのパートナーシップ拡大を発表

同社では今回、CESに合わせた発表として、ノルウェーに拠点を置くAspiroグループが運営する音楽ストリーミングサービス「TIDAL(タイダル)」と公式にパートナーシップを締結したことを発表。2015年前半には、MQA対応のロスレス・ハイレゾ音楽ストリーミングサービスがローンチされることが明らかになった。

北欧の音楽ストリーミングサービス「TIDAL」がMQA対応の音源を2015年前半に提供を開始することが明らかにされた

昨今、ハイレゾオーディオの認知や利用が少しずつ一般層にも広がり、対応するオーディオ機器や音源の数も増えてきた。その一方、ファイルあたりのデータ容量が肥大しがちなハイレゾ音源を、ストレージやネットワーク帯域を節約しながら楽しむ技術も求められている。メリディアン・オーディオのMQAは、スタジオで制作された原音に忠実で高品位な音楽を、ハンドリング性を高めながら、リスナーの耳へ“エンド・トゥー・エンド”で届ける技術として注目されている。

ベースとなるのは、生演奏のクオリティをMQA独自エンコーディング技術を用いて「Encapsulation=カプセル化」した後、DSPやソフトウェアで提供されるMQAのデコーダーを搭載するオーディオ再生機器でプレイバックするという仕組みだ。リニアPCM方式の44.1kHzから768kHzまで、広範なマスター音源に対してMQAのエンコードが適用でき、なおかつALACやFLAC、WAVなど既存のデータコンテナに格納できる。

スタジオマスターの音質を保ったまま、ハイレゾ音源の再生時ビットレートをCD相当の約1.4Mbpsよりもさらに低い1Mbps前後にロスレスのままデータ量を圧縮し、インターネット経由の音楽ストリーミングやダウンロードサービスに乗せられるのも特徴だ。さらにMQAデコーダーを搭載しない機器で音源を再生した場合も、CD品質にはなるが、再生が行える互換性も確保されている。

■MQAは「よりモダンなデジタルオーディオ再生の技術」

MQAの発表後、数々のポジティブな反響が寄せられているとスチュワート氏は語る。「MQAは、これまでにハイレゾリューション・オーディオが抱えてきた高音質化に伴うデータ容量の肥大というトレードオフの関係性を解消してくれる技術ということで、非常に多くの方々に注目いただいています。今回のCESで、私たちは“MQAが音楽に革命をもたらす”という宣言をワールドワイドに行いました。ワーナー・ミュージックをはじめとする音楽レーベルが既にMQAのサポートを表明していますが、新たにTIDALとのパートナーシップを公式に発表しました。他にもハードウェアのメーカーも含めて、多くの企業の皆様とパートナーシップ締結に向けたディスカッションを進めています」。

ここからはMQAの技術について紹介していこう。まずは技術的なコアとなる「Encapsulation=カプセル化」の基本的な考え方についてスチュワート氏に訊ねた。

デジタルベースで「アナログの高品位な音楽体験」を追求

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