<山本敦のAV進化論>第35回

モバイルにも広がるK2HD。開発者に聞く「スマホ向け」の音づくり

山本 敦

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2014年12月10日
今年を振り返れば、まさに“スマートフォンのハイレゾ元年”と呼べる一年だった。ハイレゾが再生できるスマホは昨年から出始めていたが、今秋、ドコモが冬の新製品としてハイレゾ対応Androidスマホを一挙7機種発表した時点で、ハイレゾの認知がまた少し広まったように感じている。来年はKDDIやソフトバンクからも、これに続くかたちでハイレゾ対応スマホが色々と発売されることを期待したいと思う。

スマホの音楽再生のトピックスでは、ハイレゾ再生へのネイティブ対応があるが、そのほかにもCDのリッピング音源や圧縮音源を“ハイレゾ相当”に補正する技術にも注目が集まってきている。ウォークマンをはじめ、音楽再生専用プレーヤーではポピュラーなこういった高音質化技術がスマホにまで広がるとインパクトがありそうだ。ビクターエンタテインメントとJVCケンウッドの共同開発による「K2HDプロセッシング」もそういった高音質化技術のひとつで、この秋の人気機種であるサムスン「GALAXY Note Edge」に初めて搭載された。

国内向けモデルにK2HDプロセッシングを搭載したサムスンの「GALAXY Note Edge」

今回はビクターエンタテインメント(株)のデジタルソリューショングループ ゼネラルマネージャー 兼 K2ラボラトリー ソフト開発担当の鈴木順三氏、K2HDの音づくりに関わるビクタースタジオ長の秋元秀之氏を訪ね、モバイル機器への「K2HDプロセッシング」技術の展開について、GALAXYへの搭載のポイントや今後の展開などを聞いた。

鈴木順三氏

秋元秀之氏

■圧縮音源にも対応しながら進化してきたK2

「K2HDプロセッシング」のルーツは、1987年にビクターグループが開発したデジタルデータの伝送系における高音質化技術である「K2インターフェース」にはじまり、その後にCDなどの音楽制作のための高音質化技術「K2プロセッシング」へと発展してきた。やがて2005年には携帯電話やモバイル端末向けに、圧縮音源をターゲットにした高音質化技術となる「net K2」も開発され、これが今回のテーマである、スマートフォンへのK2テクノロジー搭載の下地になった。

K2HDプロセッシングそのものは、44.1kHz/16bitのCDフォーマットやMP3など下位フォーマットから、最大192kHz/24bitの上位フォーマットへ独自のアルゴリズムによってアップサンプリングとビット拡張を行い、ハイレゾ相当音質に復元するという技術だ。そのプロセスではCDなど下位フォーマットへの収録時にカットされてしまった波形を、音楽の“音程”の部分にあたる周波数の音である「基音」を元に、楽器や演奏者により固有の高調波成分となる「倍音」を解析しながら、192kHzの大きな器に細かくサンプリングしたそれぞれのポイントに、時間軸(タイムドメイン)を基準としながら付け足し、波形を補正していく。同社では独自の補正技術により、原音の倍音構成に準じた高調波成分が生成できることがその特徴だと説明している。

K2HD技術のコンセプト


■K2HDプロセッシングが他のアップサンプリング技術と異なるところとは?

まずはそのK2HDプロセッシングがどのような経緯でサムスンのGALAXY Note Edgeに採用されることになったのか、その経緯から鈴木氏にうかがった。

K2HDをスマホに組み込むためにクリアすべきポイント

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