【特別企画】連載第2回:「VGP2015」総合金賞受賞モデルの実力に迫る

最上位“4Kレグザ”「Z10X」の画質を徹底チェック − 様々な映像ソースで検証

大橋伸太郎

前のページ 1 2 3 次のページ

2014年11月17日

■暗部表現に優れた特徴

実際に映像で例証してみよう。フォークソングブーム前夜のアメリカを描いたコーエン兄弟監督最新作「インサイド・ルーウィン・ディヴィス 名もなき男の歌」は、主人公の歌手ルーウィン・ディヴィス(モデルはデイヴ・ヴァン・ロンク)が楽屋口を出ると夜闇から男が現れ妻を侮辱したかどで殴打されるシーンから始まる。ダークシーンなのだが凝ったライティングの印象的な開幕である(撮影は35mmフィルム)。

テスト時のようす

待ち伏せしていた男はカントリーやブルース音楽の揺籃となったアメリカ底辺社会のいわば象徴で、差別、抑圧、怨嗟といった声なき民衆感情の化身である。夜闇(社会の暗部)から人形(ひとがた)のシルエットが抜け出すように現れる演出でこの暗喩が理解出来るわけだが、暗部階調が精密で豊かでなければ意図が伝わらない。

Z10Xの映像は第一にエリア駆動が的確で闇の深さが描ける。第二に映像が黒潰れしないからそこから抜け出した男の怒りを滲ませた表情が浮かび上がる。第三にZ10Xにはディテールを慈しむ細やかな解像力があるために、風雨に晒されて赤黒く乾いた男の膚の質感が浮かび上がり、そこには民衆音楽のバックボーンである労働と放蕩がしっかり刻印されている。

エッジ型バックライト(右)との比較例。どちらも上部に映っている映像のバックライトの様子。Z10X(左)は直下型LEDバックライトのエリア駆動によって明るい部分(画面下部)と暗い部分をしっかりと制御していることが分かる

さらに、暗部表現で見逃せないのは、Z10Xは、色が付くべきでない箇所は豊かなモノトーンで描き、逆に暗部でも色彩が潜んでいる箇所は正しい色調で描く点だ。

これまでのレグザでは、映画ソフトをエアチェックして見た際に、コンテンツに由来する暗部の色ノイズや色かぶりが見られた為、それを見せないよう暗部側で青系の色をやや絞り、コンテンツの問題が目立たないような設定としていた。

しかし、近年のBDなどの映画コンテンツでは、そうしたコンテンツが無くなっているため、Z10Xでは、暗部でも正しい色再現となるように変更、暗部にあってもモノトーンの黒でなくダークブルーと表現すべき箇所は正しく表現するようになった。


実は、各社から今期発売された液晶方式の新製品でも、一部には往年のプラズマ方式のように原画にない色浮きが暗部に発生する製品も見られる。だが、Z10Xの暗部の色彩表現はそれと一線を画す。ぜひ実際に確認してみてほしいZ10Xの美点である。

色彩表現も進化 − 「驚くほどのパレットの豊かさで赤を描き分ける」

前のページ 1 2 3 次のページ

関連記事