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5.6MHz DSDや192kHz/24bit対応のUSB-DACを搭載

マランツのUSB-DAC内蔵プリメインアンプ「PM7005」をレビュー

公開日 2014/08/07 11:59 高橋 敦
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PM7005のアンプとしての基礎体力については、「上位モデルPM8005と同じアンプ回路を搭載」という点に端的に示されている。単純にアンプの音質だけを比較したら、DAC非搭載にして本機より価格が上のPM8005の方が、アンプ部分への高品質なパーツが投入されている点などでは当然、優位である。しかし回路設計そのものは共通。上位モデルの成果をコストを抑えつつ、下の価格帯にも活かすという、同社のこれまでのラインナップでも何度も実証済みの常套手段と言える。

アンプ回路は上位モデルPM8005と同等のものを採用している

■スピード感や構築感を前面に出すUSB入力のサウンド

それでは、そのサウンドを実際に聴いてみよう。スピーカーシステムには、ELACのフロア型スピーカー「FS 247 BE」を用いた。

まずはUSB接続でハイレゾを含めて様々な曲を試聴。印象の要点をまとめると、やや硬質に引き締まった低域のおかげで音がだぶつかず、中低域楽器の抜けが良い。さらに薄刃に描き出すシャープな高域によって、高域楽器のキレも良好だ。FS247 BEとの組み合わせでは、音の肉厚さといった要素はやや不足を感じたが、PM7005のフロントパネルのベースとトレブルのつまみで調整すれば問題ない。イコライザーの対応力も良好だ。

PM7005のUSB入力、S/PDIF入力、アナログ入力のそれぞれの音質をチェックした

上原ひろみの『ALIVE』は、ピアノトリオのパワフルかつ複雑で繊細な曲と演奏が光る一枚。やはり、リズムの要素のうちヘヴィさは強調せず、キレの良い明快さによってそのスピード感や構築感の方をより前面に表現する。エレクトリックベースはドンと沈む感じよりは、ゴリッとアタックする感じの方が強い。ドラムスはタム回しの太さ重さは控えめだが、しかし硬めに弾む抜けの良さで、もたつきのないスピーディーな手さばきを伝えてくる。スネアも同じくスタンと硬めの抜けっぷりが心地よい。ハイハットやライドのシンバルの細かな刻みは、もちろん薄刃でキレキレだ。

「軽いかな」「鋭すぎるかな」と感じる場合も、効き具合の好いトーンコントロールである程度は対応できる。「重み」「鋭さ」といった感覚的なところと一致する帯域設定、と大きすぎず小さすぎずの実用的な調整範囲で使いやすい。


今回試聴した主な音源。左より上原ひろみ『ALIVE』(96kHz/24bit)、Aimer『Midnight Sun』(96kHz/24bit)、Hoff Ensemble『Quiet Winter Night』(DSD 5.6MHz)
Aimerの「StarRingChild」は、ヘヴィロックとデジタルサウンドが融合した、いまどきのロックサウンド。そのギターやシンセのエッジ感の表現は、本機が得意とするところのようだ。ディストーションギターのリフのザクザクというキレ、シンセの独特な倍音によるジリジリとした感触など、特徴がよく生かされている。「ヘヴィ」要素、重みや密度感はほどほどだが、ベースやドラムスは硬質なドライブ感によって十分な存在感。全体のバランスとしても違和感はない。

次ページS/PDIFやアナログ入力の音質もチェックした

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