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各入力、そしてラインナップとの音質差を比較

マランツ「NA8005」を山之内正が全方位レビュー

2014/07/04 山之内 正
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ついに発売が開始され、さらなる注目を集めているマランツのネットワークプレーヤー/USB-DAC「NA8005」(マランツ特設サイト)を山之内正がレポート。各入力による音質のちがいから、従来モデルや上位機とのちがいに至るまで、気になる部分を全方位から検証する。

ネットワークプレーヤー/USB-DAC「NA8005」 ¥128,500(税抜)

■DSDネットワーク再生への初対応など従来機から大きな進化を果たす

マランツはディスクプレーヤーの名機を数多く送り出してきたが、その一方でネットワークオーディオ機器の開発にも力を注ぎ、重要な製品を投入している。ディスク再生とデータ再生のポテンシャルを最大限に引き出すためにはそれぞれ専用機で取り組むべき、というのがマランツの基本姿勢なのだ。2010年発売の「NA7004」はそのコンセプトを最初に具体化した製品で、ネットワーク再生に加えてUSB-DACを搭載した多機能性が支持されて人気を獲得。その後、AirPlayのサポートや対応ファイル形式の拡大など着実なアップデートを重ねてロングセラーを続けた。

「NA7004」¥93,000(税抜・販売終了)

「NA-11S1」¥330,000(税抜)

さらに2013年には60周年記念モデルとして「NA-11S1」を導入し、ネットワークプレーヤーの高音質設計思想を大きく前進させる。ディスクプレーヤーから継承した音質改善技術に加え、デジタルアイソレーターを活用した高次元のノイズ遮断技術など独自手法を駆使し、音源データを外部から受け取る機器にふさわしい音質改善を進めたことが注目に値する。

そして最新の「NA8005」。本機はマランツのネットワークプレーヤーとしては3機種目となるが、型名からわかる通りNA7004の後継ではなく、NA-11S1のダウンサイジングでもない独自の位置付けの製品だ。デジタル・アイソレーターの適用範囲をすべてのデジタル入力に広げたり、DSD信号のネットワーク再生を実現するなど、従来モデルから大きな進化を遂げている。

■デジタル・アイソレーション・システムで音質面もさらに強化

デジタル・アイソレーション・システムの核になるデバイスは広範なノイズを遮断するデジタル・アイソレーターだ。医療用や産業用など信頼性を求められる用途での使用例が多く、オーディオ機器での採用例はまだそれほど多くない。マランツは高級機を中心にデジタル・アイソレーターを積極的に導入しており、NA-11S1にもUSB入力用に採用して大きな成果を上げていた。

NA8005に搭載されたデジタル・アイソレーション・システム

本機は6素子12回路のデジタル・アイソレーターをDACの手前に配置することで、USBはもちろん、ネットワーク入力を含むすべてのデジタル入力において電気的ノイズの伝播を遮断している。初代機のNA7004にはUSB、ネットワークどちらの入力にも導入されていなかった技術であり、確実な音質改善が期待できる。

そのほか、クリスタルクロックを44.1kHz系と48kHz系それぞれ専用に搭載したり、HDAM、HDAM-SA2を搭載したフルディスクリートのアナログ出力回路を採用するなど、デジタルとアナログそれぞれにこだわり抜いたアプローチを惜しみなく盛り込んでいる。

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