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稀に見る難関ソフト「エイリアン・アンソロジー」にWoooが挑む

2010/12/08 大橋伸太郎
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■歴代「エイリアン」を振り返る

第一作で宇宙貨物船ノストロモ号に侵入したエイリアン幼虫はフェイスハガー、チェストバスター、成虫と脱皮を重ねるが、乗組員の一人が倉庫の片隅で見つける抜け殻は、脱ぎ捨てられた女性の肌着そっくりである。

しかも、乗組員がエイリアンに次々に犠牲になっていく舞台の宇宙貨物船の頭脳(メインコンピューター)の呼び名が「ビッグマザー」。さらに、本作の公開前にノヴェライズならぬアメコミ版が輸入販売されたが(六本木の洋書店で購入。今はもうない。持っていたらお宝だったかも…)、その最後で、エイリアンを脱出艇から宇宙に追い出すシーンの映画にはないリプリーのセリフが“Get Out,Bitch!”(出てお行き、アバズレ!)。

この「女対女」の図式は第二作『エイリアン2』(1986)でより鮮明になる。59年間宇宙を漂流していた間に地球に置き去りにした娘がガンで死去したことを知り、孤児ニートを母親代わりに守って戦うリプリーの活躍がパート2の中心だが、その相手が卵を焼き払われて怒り狂いリプリーを追いかけるエイリアンの女王で、この「母親対母親」の対決が映画のクライマックスになる。

さらに3年後の『エイリアン3』は、母性から遡って「受胎」がテーマ。宇宙の流刑地の男たちの中でリプリーの女の性が目覚めていくのが映画の基調色となっている。

私の中ではこの第三作の、リプリーが炎に身を躍らせエイリアンと運命を共にするラストシーンで『エイリアン』シリーズは終わりである。1997年の『エイリアン4』はクローン技術で蘇生したリプリーが登場、フランス人監督を起用してH.R.ギーガーのゴシック世界を敷衍したビザールなビジュアル感覚が面白いが、シリーズの本当の舞台は宇宙空間というより一人の女性のインナースペースなのだから、第三作のリプリーの肉体の消滅を持ってシリーズは終わったと考えるべきだろう。

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