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液晶テレビ「50年ぶりの革命」の真価とは

「AQUOS クアトロン」は一体何がすごいのか − 革新的な技術の全貌に迫る

公開日 2010/11/08 10:44
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開発者に訊く「AQUOS クアトロン」


シャープ(株)
AVシステム開発本部長
執行役員
寺川雅嗣

4原色技術を追加して
従来以上の質を獲得した


今回発表したクアトロンで従前からある技術「UV2A」を発展させ、「4原色」へのアプローチに踏み込みました。UV2Aは従来の液晶のデバイスとしての性能を一段と飛躍させる技術で、液晶デバイスでは不可能といわれていたオーバー100インチを実現しました。透過率を飛躍的に向上させ、光利用効率を約20%以上上げています。同時に、光を透過する経路に遮蔽物をなくすことも可能となり、回路の組み方もさらに精度が上がりました。今回追加した4原色技術では、従来のRGBに加えたマルチな区切り方をしていますが、4つに分けても従前の液晶と全く遜色のない、それ以上のクオリティを獲得しています。

今回私たちは、ディスプレイに取り込んでいなかったCMYのうち、イエローを新たに追加してこれまで実現不可能だった色合いを再現することに成功しました。シャープではLEDバックライト採用を全面的に推し進めていますが、この新しい4原色技術と併せて昨今特に求められる「エコ」あるいは「省エネ」を同時に実現しています。

CMYのなかで、もっとも
利用効率の高いYを選択


液晶パネルはジェネレーションとして技術進行が繰り返されて、UV2Aという技術が生み出されました。LEDについても自社でデバイスを手がけ、垂直統合の柱となっています。それに多原色技術を加味することで、従来にない再現性を獲得することができるようになりました。クアトロンの技術を使ったポイントは、4原色技術による差別化、その技術を用いた3D、そしてLEDなど。それぞれが複合的に組み合わさり、高クオリティと省エネ製品を両立させた製品を世に送り出すことが可能となったのです。基礎研究レベル、あるいは試作機レベルではなく、量産が可能なスケールの一般商品において新色を付け加えることができたことに大きな価値があると自負しています。

色再現性を広げるために加えた要素として、イエローを選んだのには理由があります。イエローは、区切られるブロックの数が増えることで増大する電力をプラスマイナスゼロレベルにまで落とし込める色なのです。シアンよりも、マゼンタよりも効率性を高めることが可能です。結論としては、広色域と省電力の両立を図ることができる技術、それが「4原色技術」ひいては「クアトロン」であるとご理解いただければ幸いです。

私たちは数年前から新技術を実際の製品に落とし込むべく多原色ディスプレイの開発を進め、各種学会で発表する機会を徐々に増やしてきました。世の中にある物体色を全て反映したディスプレイを作るためには、3つだけの原色で表現するのは限界があります。少しでもカバー範囲を広げようと考えれば、従来のRGBでもある程度は可能です。Rの原色点を目一杯広げる、Bの原色点も広げる、さらにGの原色点も広げれば色域をより広くカバーすることができます。2年前には、従来方式の限界を極めたアプローチを反映したXS1シリーズを発売しています。今回なぜ多原色の方向へ方向転換したのかというと、3原色で全てをまかなおうとすると、電力利用効率にどうしてもロスが生じ、省エネ性が犠牲になることを避けたという理由があるのです。そのための技術が4原色であり、クアトロンなのです。

省エネ性とクオリティを
両立させたのがポイント


繰り返しになりますが、新色を加えつつ省エネも可能となっているのが今回の新技術の大事なポイントです。一番省エネにできる色の組み合わせは何か、性能と効率を両立できる最適な手法を編み出して検証し尽くしました。そういった努力を積み重ねて、私たちは、今までの3原色では表現できない領域に入り込むことができました。

なぜこのような新技術が工業製品レベルで実現できたのかというと、昨年実用化させたUV2A技術がベースにあったからです。UV2Aが基本にあったからこそ4つの色を使うことができる。4つの色を使うことによって、ますます省エネ効果が得られるという最良な循環を生み出すことが可能となりました。同時に、コントラストも高めることができるし、応答速度も速めることもできる。そして、応答速度を速めることが3Dの表示品位を上げることにもつながっていきます。

今後、さらにプロセス技術がブレイクスルーすれば、当然5原色、6原色も視野に入ってきます。今まで以上のマルチカラー技術を盛り込んださらに魅力的なセット製品を生み出すことも可能になると思います。(談)

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