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ソニーが誇る先端技術を惜しみなく投入

「Xperia 1」を触った! ソニーの総力を挙げたフラグシップスマホの実力とは?

2019/02/26 山本 敦
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カメラ機能についてもまた一段とステップアップを図っている。リア側に搭載するトリプルレンズカメラはユニットの有効画素数が約1,200万画素。一列に並ぶレンズは上から、35mm換算で標準仕様の焦点距離26mm(F1.6)、ポートレート撮影用の望遠52mm(F2.4)、ウルトラワイドアングル仕様の16mm(F2.4)となる。光学ズームは2倍まで対応。16mmは固定として、26mm/52mmで間をつなぐ。

背面にトリプルレンズカメラを搭載

フロントカメラはシングル。映像への没入感を損なわないようにベゼル幅を極限まで狭くした

イメージセンサーはピクセルピッチを広くして受光面積を拡大。Xperia XZ3と比べて約4倍の高感度を誇っているという。Xperia XZ2 Premiumにはデュアルカメラで超高感度撮影を実現するカラー/モノクロのカメラモジュール「AUBE」が載っているが、Xperia 1には搭載しなかった。

田嶋氏は「トリプルレンズカメラは映像表現を高めるために採用したもの」と説明し、暗所での撮影感度向上、ノイズ低減処理については新開発のモバイル向け画質処理エンジン「BIONZ X for mobile」で対応できていると説明する。同エンジンではRAWデータの状態でノイズ低減を行った後にJPEG圧縮をかけるという、デジタルカメラαシリーズで培った技術が盛り込まれている。

また光学とデジタルの技術を掛け合わせたハイブリッド手ブレ補正回路にも、独自のアルゴリズムを追加した。やや暗い場所で、スマホを手持って歩きながら動画を撮影した場合に真価を発揮できるという。

動画撮影では、さらに新機能として「シネマプロ」を搭載している。神奈川県の厚木事業所に本拠地を構える業務用映像機器とXperiaの開発チームがタッグを組んだ。このモードではCineAltaカメラ「Venice」をベンチマークとして、画づくりやインターフェースの作り込みを行っている。

カメラの「シネマプロモード」。プロっぽいインターフェースとしている。Lookフィルターは8種類を用意する

インターフェースについてはまだ開発中のものだが、「Look」と呼ぶ8つのフィルターパターンを内蔵して、映像の色相など画づくりのテイストを“シネマ風”に加工できるというものだ。Xperia 1の試作機で撮影したという映像をモニターで比べてみると、たしかにシネマプロのLookの効果は分かりやすく、楽しめそうな出来映えだった。ただ、インターフェースがややプロ向けの印象もあったので、もう少しスマホらしく簡易化したり、アプリとして切り出せば、多くのユーザーに繰り返し使われそうだ。

Lookフィルターをオンにするとシネマ風の色合いに変わる

最後に田嶋氏に、Xperia 1がターゲットとするユーザーに向けた、リッチコンテンツとの連携プランについて、2つの質問をぶつけてみた。一つはモバイルではなかなか普及が進まない「4Kコンテンツ」についてである。

ソニーモバイルではXperia Z5 Premiumの頃から、いくつかのスマホに4Kディスプレイを積極的に搭載してきた。一方でモバイル向けの4K動画コンテンツは、Xperiaの本拠地とも言える日本国内ですら、まだ数が充実しているとは言えない状況だ。クリエーターとの連携を強めていくことをコーポレートポリシーとして掲げているソニーグループが、独自にスマホ向けの4K/HDRコンテンツを仕掛けていく可能性はないのだろうか。田嶋氏は次のように答えている。

「Xperia 1で21対9のシネマワイド体験を実現したディスプレイを提案するにあたって、Netflixと連携を図った。Netflixの対応コンテンツを再生した時に、黒帯を出さずにフル画面表示ができるようになっている。4K配信に関しては、モバイルではいまだ時期尚早とみている。モバイルでの必要性をまだ実感されていないコンテンツプラットフォーマーの方々が大半。ところが日本では、スマホなどモバイル端末で移動中に動画を楽しむケースが非常に多く、他地域と比べてだいぶ違う。当社としては引き続きコンテンツプラットフォームの方々とお話し合いを続けていきたい。Xperia 1が出てくるとまた魅力を感じていただけるのではないだろうか」(田嶋氏)。


21対9の画面を有効に活用できるように2画面マルチウィンド機能を搭載。2画面の分割比率は変更可能だ
Netflixのコンテンツを再生すると、映像モードは自動的に「クリエイターモード」に切り替わるという。そしてXperia 1の画面にフィットする21対9の映像コンテンツは、Googleの後押しもあり、映画やドラマ、ゲーム、そしてアプリでも今後対応が進んでいくものと見込んでいるそうだ。

そして田嶋氏にはもう一つ、1月にCES2019でソニーが発表した「360 Reality Audio」とXperiaの連携について聞いてみた。田嶋氏は「ソニーグループ全体でプロモーションしていくので、Xperiaとしてもしっかり対応したい。21対9の幅広の映像とも相性が良いはず。MWC19でアナウンスできることはまだないが、今後しっかりと連携を組みながら然るべき時に発表したい」と答えている。

映像と音の視聴、カメラによる記録まで新しい「Xperia 1」は、ソニーが誇る現在の先端技術を惜しみなく投入した集大成だ。その出来映えは従来のスマホの価値観をはるかに凌駕するものになるだろうと、まだプロトタイプに触れたばかりだが、期待に胸躍らされた。本機にいち早く触れられただけでも、今年もバルセロナまで来た甲斐があった。

なお参考までに、北米の一部地域ではXperia 1の価格も発表されているようで、950ドル前後(約10.5万円)になる見込みだという。日本も2019年の初夏ごろに各通信キャリアの新端末として登場しそうだ。

MWC19の期間中に、再度本機の開発者を訪ね、詳細を掘り下げたい。続報レポートにもぜひご期待いただきたい。

(山本 敦)

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