テレビ関連の出展を総まとめ

<CES>「8K」「有機EL」が席捲したテレビ分野の出展をふり返る − 4K有機ELと8K液晶の充実にも注目

折原一也
2019年01月13日
「8K」「有機EL」が席捲したCES 2019のテレビ分野

米国・ラスベガスで開催された「CES 2019」。映像機器分野については、今年はやはり「8K」がテーマになると予想されていたが、実際の出展はどうだったろうか。筆者が取材したテレビ関連の総まとめをお届けしよう。

まず、CES 2019の会場内で最も注目を集めてた映像機器はと問われると、間違いなくLGの画面巻取り式・4K有機ELテレビ「LG Signatures OLED TV R」を挙げることになるだろう。

今回のCESで注目度トップは「LG Signatures OLED TV R」

有機ELパネルは、これまでも各社から「曲げられる」「巻き取れる」形態のディスプレイが披露されてきたが、LG Signatures OLED TV Rはこうしたアプローチをさらに発展させたものと言える。チェストあるいはテレビラックのような本体に65型の有機ELパネルを巻取った状態で収納して、テレビを視聴する際には画面がせり上がってくるのだ。

画面がせり上がってTVの形になる未来的スタイル

ホームシアターファンなら「立ち上げ式スクリーンのようだ」とも形容したくなるが、有機ELパネルなので当然ながら自発光方式である。立ち上げればテレビになるし、収納時には完全にテレビの存在感を消せる。1/3だけ画面を出す「Line View」でライフスタイル・インフォメーションの表示可能だ。

SFチックとでも呼びたくなる未来的なスタイルのLG Signatures OLED TV Rだが、発売は2019年下半期。テレビの機能としては、ドルビービジョンに対応するなど通常のLGの有機ELテレビと同等。ただし価格はかなり高価なものになる。

「8K」と「有機EL」は大手メーカー以外にも拡大

高画質にフォーカスするならば、本命といえるトピックは「8K」だ。日本ではシャープ、欧州ではサムスンが8K液晶テレビを発売しているので目新しさはないかもしれないが、日本メーカーではソニーが8Kテレビ「Z9G」を発売。さらにLGが88型の8K有機ELテレビ「Z9」、8K液晶テレビ「Nano Cell TV 8K」を披露するなど、今回のCESではやはり8Kの話題が際立った。

日本のAVファンにとって注目は、やはりソニー初の8K液晶「Z9G」だろう。ソニーが昨年から開発していた8K対応映像プロセッサー「X1 Ultimate」を8Kデータベース仕様で搭載し、バックライト「Backlight Master Drive」を復活。開口率の下がる8Kでも、「Z9D」と同等以上(Z9Fと同等ではない)という輝度スペックにも優れたモデルだ。なお、98/85型という大型モデルで視野角を心配する人もいるかもれないが、「X-Wide Angle」搭載で視野角も問題ないと感じた。問題はむしろ98/85型という大型サイズのみのラインナップで、ターゲットはリビングの広い米国、中国。日本への導入は果たしてどうなるだろうか。

Backlight Master Driveを復活させたソニーの8K液晶「Z9G」

LGは、88型の8K有機ELテレビ「Z9」と、8K液晶「Nano Cell TV 8K」共に発表し、日本市場にも2019年下半期の発売を予定している。8K有機ELテレビ「Z9」は、米国では2019年下半期に30,000ドル程度での発売が見込まれる。

2019年下半期に発売が決定した8K有機ELテレビ「Z9」

むしろ購入を現実的に検討できるモデルとして期待値が高いのは77型の8K液晶テレビ「Nano Cell TV 8K」だ。LGの独自技術「Nano cell」(日本では商標の関係で“TruNano Display”と呼ばれている)による8K液晶パネルを搭載しており、全面直下LED、さらにはIPS液晶で広視野角も確保する。米国ではこちらも2019年下半期発売予定で、価格は未定だ。

同じく2019年下半期発売の8K液晶「Nano Cell TV 8K」

CES 2019を取材して8Kの進展具合について地元米国や中国等のメーカーに話を聴くと、いずれも8Kが視野に入っている。TCL、ハイセンスも2019年発売のラインナップに8Kを加えた。8Kパネルがすでに市場に存在する以上、テレビメーカーであれば、8Kテレビを発売するのは規定路線。規格等まだまだ確定していない要素はあるとは言え8Kを踏みとどまる理由にはならず、4Kと同様に普及していく未来が見え始めてきた。

ハイセンスによる8Kテレビ「ULED TV 5000 ZONES」

TCLによる「QLED 8K TV」。

4K有機ELについては、パナソニックが自社カスタマイズパネルを搭載して高輝度化を果たした「GZ2000」が最注目モデル。またソニーの4K有機ELの「A9G」もパネル世代が一世代進み、こちらも画質の輝度スペックを向上させている。LGから8K有機ELテレビ「Z9」も登場する2019年だが、8Kモデルはやはり高価なことを考えると、現実的には4K有機ELテレビはまだまだコンシューマーにとっての有力な候補となるだろう。

独自にカスタムした有機ELパネルを搭載したパナソニック「GZ2000」

ソニーの4K有機ELテレビ「A9G」

テレビの隠れたトレンドが、パナソニックも採用に踏み切ったドルビービジョン、ドルビーアトモスへの対応だ。ソニー「Z9G」はドルビービジョン対応に加えて、ソフトウェア・アップデートでドルビーアトモスに対応予定。パナソニック「GZ2000」は出荷時からドルビービジョンとドルビーアトモスに対応する。LGは液晶、有機ELそれぞれでドルビービジョンとドルビーアトモスに対応する。

パナソニック「GZ2000」のドルビーアトモスの効果を、プライベートブースで確認することができたが、上向きに設置されたスピーカーの効果もあり、文字通り天井から降り注ぐような立体音響を体験できた。トップスピーカーは天井反射を使う前提だが、天井が極端に高い部屋を想定した設定も用意されてる。

素晴らしい効果を実現していたパナソニック「GZ2000」ドルビーアトモス再生デモ

テレビのトップエンドでは「8K液晶」「8K有機EL」が具体的なモデルとして登場した2019年。一方で、「昨年以上に低価格化に期待できそうな8K液晶テレビ」と「AVファンの購入検討候補となる4K有機ELテレビ」の分野が、各社の競争も激しくなりそうで、AVファンにとっては具体的に購入を検討して楽しめるゾーンになるだろう。


(折原一也)

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