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アップコンバート技術の進化がカギ

<CES>「他社並み画質なら8Kを出さなかった」。ソニー高木専務が語る8K BRAVIAへの手応え

構成:編集部 風間雄介
2019年01月09日
ソニー(株)の専務で、ソニービジュアルプロダクツ(株) とソニービデオ&サウンドプロダクツ(株) の代表取締役社長を務める高木一郎氏が当サイトのインタビューに応じた。

ソニー(株)専務 高木一郎氏

既報の通り、ソニーのプレスカンファレンスでは、吉田憲一郎社長から「クリエイティブエンタテインメントカンパニー」という新たなコンセプトが提示された。ブースの出展内容も例年と異なり、Bluetoothスピーカーやイヤホンなど細かなものは一切展示されていなかった。

この試みは、たとえば「エレクトロニクスからコンテンツ企業への脱皮」など、深読みすべき戦略が背景にあるわけではないと高木氏は語る。「あくまでソニーはテクノロジーを中心にした企業。そのテクノロジーを中心に、コンテンツなどを扱うグループ企業が融合している様子を表現したかった」という。

高木氏の担当範囲がホームエンタテインメント&サウンド事業ということで、高木氏が語る内容、そして質問の内容も、おのずとオーディオビジュアルに関するものが多くなった。中でもプレスカンファレンスと同時に発表した、同社初の8Kテレビ「Z9G」(関連ニュース)に関する話題が多かったため、この記事では8Kに関する話題をまとめて紹介する。

高木氏は質問を受ける前に、自ら8Kテレビについて語り始めた。

「昨年の秋、『将来的には4Kが中心となり、8Kテレビについては感動価値を感じてもらえるような商品ができたら考えたい』と言った。実際の8K BRAVIAの画面を見てもらえたら分かると思うが、『これならばソニーとして、ブラビアとして発売できるだろう』という水準に達した」と、今回8K BRAVIAを披露した背景について説明する。

今回発表した8K液晶テレビ “BRAVIA MASTER” 「Z9G」

「8Kはコンテンツが少ない。だから8Kに満たない解像度の映像を、いかに美しく見せるかというアップスケール技術がキモになる。今回、そのアルゴリズムや、それを実現する映像処理プロセッサーが完成した。この『アップスケール技術ができたから』というのが、発売を決めた最大の理由。2Kを含め、すべての解像度のソースを美しい8K映像で表示できる」と高木氏は語った。

高木氏はさらに、「他社はすでに8Kテレビを出しているところもあるが、『あのレベルでは出せないな』と思っていたので、昨年の段階では今後、と言っていた。今年は我々の基準を満たすものができたのでお披露目した」と付け加える。

なお既報の通り、まだ8K BRAVIAは発売日や価格、発売地域が発表されていないが、この春までには詳細を発表する。

また高木氏は、8K有機ELについても「デバイスさえ手に入るようになればやりたい」と意欲を見せた。「我々はデジタルプロセッシングの会社。パネルの種類は問わない、と前から言い続けてきた。デバイスさえアベイラブルになれば、8K有機ももちろんやりたいと考えている」と明言した。

さて、ソニーが発表した8Kテレビのサイズは98型と85型だった。高木氏は8Kテレビの適正サイズについてどのように考えているのだろうか?

「8Kは、基本的には大画面が望ましいと考えている。なかでも80インチ台になると8Kの良さが感じられる。他社はもっと小さいサイズのものも出しているようだが、ソニーとしては80インチ以上で訴求していきたい」(高木氏)。

80インチ以上になると、画面の大きさ、値段の高さがネックになり、買える市場とそうでない市場が出てくる。高木氏はそのことを認め、「米国と中国のプレミアム市場、自ずとそういうところがメインターゲットになると思う」と語る。

なお余談だが、高木氏が語った、液晶と有機ELの、各地域の受け入れられ方の違いが興味深かった。それによると、ヨーロッパは有機ELが好調で、そちらにプライオリティーを置いているとのこと。一方の中国は大画面が好まれ、特に液晶大画面のZ9Fが好調とのことだった。

さらに、「今後のソニーの8Kの姿」について質問された高木氏は、「今回は『できました』というだけ。今後の売り方などについてはこの春に発表する。ただ、他社のように『8Kのエコシステムを作ろう』などということは、今のところ考えていない」という。

「制作する方が8K映像を見てどう感じるか、ということも重要。我々としては、こういった臨場感の高いテレビを作ることで、映像制作側の創作意欲を引き出す、そういう働きかけが重要と考えている」と語った。

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