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4K/HD対応カメラ「HDC-4300」など出展

ソニー、最新4K放送機器をNABで公開 − HDR対応ブラビアを'15年内発売

公開日 2015/04/13 16:57 編集部:杉浦 みな子
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ソニーは、米ラスベガスにて現地時間4月13日(月)より開催される国際放送機器展「NAB(National Associations of Broadcasters)2015」で、新開発の4K/HDスタジオカメラ「HDC-4300」など、HDから4K放送への移行を想定した最新の映像制作機器やソリューションの展示を行う。また、これにあわせてハイ・ダイナミック・レンジ(HDR)に対応する液晶テレビ“BRAVIA”を2015年内に発売すると発表した。

出展を予定している内容は以下の通り。

■4K/HD対応システムカメラ「HDC-4300」

上述のHDC-4300は、世界中の放送現場で20年以上活用されているシステムカメラ「HDCシリーズ」の設計ノウハウを集結したというモデル。世界初という2/3型3板式4Kイメージセンサーを搭載した新開発の4K/HD対応システムカメラで、精細かつ幅広い色域での色再現に対応する。

HDC-4300

2/3型3板式4Kイメージセンサーブロックは、新規開発の4K CMOSイメージセンサーと新規開発のプリズムを含む光学システムに、3枚の4Kイメージセンサーを正確に貼り合わせる超高精度な独自の固着技術によって実現したとのこと。

本体には、放送局で広く使われているHD用B4マウントレンズを直接装着可能で、使い慣れたHDカメラの操作性を維持したまま4K撮影が行える。また、高倍率な大型レンズも使用できる。

別売のソフトウェア「SZC-4002」をインストールすることにより、1,920×1,080のフルHD映像を最大479.52/400 fpsのフレームレートで撮影可能。超高速で撮影した映像をマルチポートAVストレージユニット「PWS-4400」で記録することにより、8倍速のHDスーパースロー映像も実現できる。

システム運用面では、世界中の放送局や制作現場で採用されている「HDCシリーズ」を活用しながら、HDC-4300を追加することによって4K/HDの混在運用が可能。ソニーでは、本機を採用することでHD制作から4K制作への円滑な移行を実現できるようになるとアピールしている。

HDC-4300の発売日は7月1日。価格はシステム構成により異なる。一例として、本体、ビューファインダー、ベースバンドプロセッサーユニット、カメラコントロールユニット、リモートコントロールパネルで組んだ場合は約1,400万程度とアナウンスされている。


■XAVC対応4K/HDライブサーバーシステム「PWS-4400」向けソフトウェア

「PWS-4400」は、XAVC対応の4K/HDライブサーバーシステム。今回のNABで展示予定のソフトウェア「Recording Control Software PWA-RCT1」を組み合わせることで、ライブやスタジオなど多様な収録に使いやすい操作性を提供するという。なお、ソニーによればXAVCフォーマットへの賛同メーカーは73社にのぼっているとのこと。


■4Kメモリープレーヤー「PMW-PZ1」

多彩なインターフェースを搭載しており様々なディスプレイと接続可能な4Kメモリープレーヤー。SxSメモリーカードやUSB3.0ストレージの4Kコンテンツをダイレクトに再生できる。小型・軽量で手軽に設置することができ、操作も容易であるため、4Kコンテンツを制作するプロダクションや放送局のほかにも、店頭やイベント、展示会、研究機関など様々な場所において手軽に4K視聴環境の構築を行えるとしている。6月下旬の発売を予定しており、価格は56万円(税抜)。

PMW-PZ1


■IPネットワーク伝送対応の4Kライブスイッチャー技術

世界初というIPネットワーク伝送対応の4Kライブスイッチャーの技術展示も行う。複数のケーブルで行っていた機器間の映像/各種信号の伝送をネットワークケーブル1本で実現するという、ソニーの独自IPネットワーク技術を用いた「ネットワーク・メディア・インターフェース」を装備した4Kライブスイッチャーを技術展示し、4K映像をほぼ遅延なく伝送する実演を行う。なおソニーではこの「ネットワーク・メディア・インターフェース」に賛同するメーカー各社に対し、機器互換性実現のために技術情報の開示や開発サポートを進めているとのことで、2015年4月現在で賛同メーカーは30社にのぼるという。


■HDR対応ブラビアを'15年内発売

さらに今回のNAB出展概要とあわせて、液晶テレビ“BRAVIA”の新モデルとしてHDRに対応する製品が2015年内に発売されることが明らかになった。

HDRは、映像の持つ色の輝度幅(ダイナミックレンジ)を拡大する技術で、ソニーではこのHDRのワークフローと表示技術の開発を進行している。具体的には、シネアルタ4Kカメラ「F65」「PMW-F55」と4K有機ELマスターモニター「BVM-X300」により、広色域、高解像度に加えて、ハイ・ダイナミック・レンジ(高輝度、高コントラスト)にも対応するマスタリングプロセスが実現できる環境を開発。F65、PMW-F55で撮影したRAW素材を活用すれば、過去の映像資産を新たにHDR映像として生まれ変わらせることもできる。このHDR映像を家庭内で楽しむことができるように、HDR対応ブラビアを2015年内に市場投入すると今回発表した。


■その他

上記のほかにもソニーでは、速報性が求められるニュース制作に向けて、ワイヤレスアダプターやワイヤレス機能を内蔵したカムコーダーの開発などを通じ、高品質のライブストリーミングを低予算で実現するワイヤレスソリューションを提案する。NABでは、4G/LTEやWi-Fiネットワークを活用し、カムコーダーからダイレクトに映像・音声をワイヤレス送信するライブストリーミングソリューションを展示予定。

さらに、光ディスクの技術と信頼性を継承したオプティカルディスク・アーカイブを中心に、小規模から大規模システム運用まで、用途に応じた映像アーカイブソリューションもアピールする予定としている。


■Beyond 4Kソリューション

またブース内には、4K SXRDプロジェクター「SRX-T615」2台をエッジブレンディングで繋いだ8K×2Kの大スクリーンを設置も予定している。ここでは、8K×2Kスクリーンに、シネアルタ4Kカメラ F65、PMW-F55で撮影した米国ロックバンド「Foo Fighters」のライブコンサート映像を上映する。こちらは、コンサートやイベント、テーマパーク、博物館など高度な映像活用が求められるエンタテインメント市場に向けて提案する展示となる。


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