HOME > ニュース > 【CES】次世代BD・HDR・8K − 折原一也が振り返るCES 2015の高画質トレンド

【CES】次世代BD・HDR・8K − 折原一也が振り返るCES 2015の高画質トレンド

2015/01/12 折原一也
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

■CES 2015でのホットトピックの1つ、HDR(ハイ・ダイナミックレンジ)

ソニーは2015年モデルのブラビア「X940C」の75型モデル(同サイズのみ直下型バックライトを採用している)で、HDRのデモを実施していた。このHDRには、同社が以前から採用している、画面内の一部ブロックのLEDに電力を集中させる技術を用いている。なお画面輝度は非公表だが、画面全体の輝度確保よりも、瞬間・部分的な突き上げを重視している。

ソニーのX940CによるHDRのデモ

続いてパナソニックは、ブース内に設けられた暗室で、発売時期未定のプロトタイプという次世代VIERAの高画質デモを行っていた。構造を工夫して発光効率を向上させた新蛍光体「KSF」を採用することで、発光効率を約4割引き上げられるとしており、デモの試作機では1,000NITまで高めることを可能としている。この1,000NITというスペックは、次世代BD規格「ULTRA HD BLU-RAY」で用いられているHDRのガイドライン値と一致する。

VIERAの2015年モデルによるHDRのデモ。再生ソースは「ULTRA HD BLU-RAY」だ

こちらは参考出展モデルによる1000NITのHDRデモ

ちなみにこの新蛍光体は、CESで発表されたほかの2015年モデルでも採用するが、それらのモデルの輝度は550NITとなる予定。デモで比較展示に用いられていた「WT600」は420NITのパネルなので、それでも2割以上の発光効率向上を実現していることになる。なお、バックライトのローカルディミングについては、デモ機では映像が明るい事もありさほど積極的に用いられていなかったが、製品化の際には最低128分割、128〜512分割のスペックを予定しているとのこと。

また、シャープブースで展示されていた「Beyond 4K」液晶も、くわしい説明こそなかったもののHDRに対応し、また直下型LEDによるバックライト駆動を採用しているとのことだ。

シャープの「Beyond 4K」もHDR対応

さらにCES別会場に設けられていたドルビーのプライベートブースでは、同社によるHDR映像技術「ドルビービジョン」もデモ展示が行われていた。なおこのドルビービジョンは、上述の次世代BD規格ULTRA HD BLU-RAYのオプション規格として採用が検討されている(記事初出時にはオープンな標準規格のみと記載しましたが、その後新情報が明らかになったため追記しました。2015年2月5日)。プライベートブース内では、Hisense、Philipsのドルビービジョン対応デモ機の展示が行われており、昨年展示をしていたシャープも含めて、2015年中には対応テレビ製品が登場予定とのことだ。日本における展開は不透明だが、Netflixは映像配信において複数のHDR方式を用いる可能性があるほか、VuduもHDRの採用を予定している。まずは日本国外で登場するものと思われる。

ドルビーによる「ドルビービジョン」のデモ

■実は8K祭りも同時進行中。シャープの「Beyond 4K」は2015年中に発売

既に現実的な高画質として視野に入り始めたHDRに次いで、「8K」についてもCESでは多数のデモ展示が行われていた。中でも、今回の関連展示で唯一、2015年中に登場する製品としてデモされていたのがシャープの「Beyond 4K」だ。

シャープによる「Beyond 4K」

次ページシャープが2015年中に実現する“8K相当”の世界/日本メーカーは量子ドットより“新蛍光体”

前へ 1 2 3 4 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE