レコードからオーディオへ。ビックカメラAKIBAに誕生した「BIC RECORDS AKIBA by Face Records」
レコードを買ってみたい。でも、どこで買えばいいのかわからない。レコードを手に入れたものの、どんなプレーヤーを選べばいいのかわからない。そんなレコードビギナーに向けて、ビックカメラとFace Recordsが新たな取り組みをはじめている。
9月19日、ビックカメラAKIBA 3階のオーディオコーナー内に展開された「BIC RECORDS AKIBA by Face Records」は、アナログレコード専門店「Face Records」を運営するFTFとビックカメラが連携した特設コーナーだ。
その特徴は、単に中古レコードを販売するだけではない。「レコードデビューDIG体験コーナー」として、レコードを“掘る(ディグる)”楽しさを体験してもらいながら、レコードプレーヤーやオーディオ機器へと興味を広げていくことを狙っている。
レコードを入口にオーディオを好きになってほしい
この売り場の狙いについて、株式会社ビックカメラ 商品部 CAWディビジョン コンポ・シアター・ポータブル・楽器担当 アソシエイトバイヤーの牧野英俊氏は、次のように話す。
「最大の目的は、これからオーディオを始めようという若い方に、アナログレコードをきっかけにオーディオを好きになっていただくことです」
近年、若年層を中心にアナログレコードへの関心が高まる一方、専門店に足を運ぶことや、レコードを始めるために何を用意すればいいのかわからないという人もいる。
そこで「BIC RECORDS AKIBA by Face Records」では、リーズナブルな中古レコードを数多く用意。
7インチEP盤は480円〜、LP盤は980円〜を中心とした“お試しプライス”で、気軽にレコードを手に取れる環境を整えている。
約5,000〜6,000点を取り揃え、名作や隠れた名盤、ジャケット映えする作品など、幅広いジャンルの商品を展開する。
「レコードを知らない方でも、まずはジャケットを見て、気になったものを手に取っていただければと思っています。専門的な知識がなくても、宝探しのような感覚で楽しんでいただける売り場を目指しています」(牧野氏)
今回の取り組みの背景には、ビックカメラが中古商品の取り扱いを広げていることもあるという。
牧野氏はその背景について、「ビックカメラでは、オーディオに限らず、中古商品の取り扱いにも力を入れています。最近では店舗限定で中古時計の取り扱いを始めたほか、中古カメラや、中古ゴルフ用品店との協業にも取り組んでいます」とコメント。
「良いものを、できるだけ求めやすい価格で購入したいというお客様のニーズに応えていくことが、取り組みの背景にあります」と説明する。
中古レコードを扱う今回の取り組みも、そうした流れのひとつ。新品のオーディオ機器を販売してきたビックカメラの売り場に、Face Recordsの中古レコードの知見を組み合わせることで、これまでとは異なる入口からオーディオに触れてもらうことを目指している。
秋葉原らしい「懐かしくて新しい」レコード売り場
売り場の場所として秋葉原を選んだことにも意味がある。
「秋葉原は、サブカルチャーの街として世界的にも知られている場所です。ぜひ、若いお客様にも来ていただき、レコードをきっかけに新たな需要を生み出していきたいと考えています」(牧野氏)
秋葉原には国内外から多くの人が訪れる。そこで、レコードに詳しい人だけを対象にするのではなく、偶然売り場を訪れた人にも興味を持ってもらえるような商品構成を意識している。
「最近は、ジャケットを見てレコードを購入される若いお客様もいらっしゃいます。そこで壁面には、少しリバイバル感のある作品を集めています」(牧野氏)
レコードを音楽メディアとしてだけでなく、ジャケットを含めたカルチャーとして楽しんでもらうことも、ディグ体験のひとつだ。
取り扱う中古レコードは約5,000〜6,000点。アニメ、ロック、J-POP、クラブミュージックなど幅広いジャンルを揃え、7インチEP盤も豊富に展開する。


さらに今後は、店舗の立地や客層に合わせて品揃えを変えていく構想もある。
「例えばビックカメラ有楽町店ならクラシックを多くしたり、藤沢店ならクラブやディスコ系を増やしたりなど、地域に合わせて品揃えを変えていければと思っています」(牧野氏)
秋葉原での取り組みを起点に、地域ごとに異なるレコードとの出会いをつくっていくことも視野に入れている。
レコード専門店とビックカメラ、それぞれの強みを生かす
今回のプロジェクトでは、レコード専門店と家電量販店、それぞれの強みを組み合わせている。
FTF(株)広報部部長の藍隆幸氏は、レコードを購入した後の“次のステップ”に課題を感じていたという。
「最近、レコードを購入される若い方が増えています。ただ、そこからオーディオの次のステップに進まれる方は、まだそれほど多くありません。次に何を買えばいいのかわからないという方も、たくさんいらっしゃると思います」(藍氏)
Face Recordsには中古レコードの選定や販売に関するノウハウがあり、ビックカメラにはレコードプレーヤーをはじめとするオーディオ機器の品揃えと販売員の知識がある。
そこで両社は、レコードとの出会いをその場限りで終わらせず、オーディオへつなげることを目指す。
「レコードを売ることが第一の目的ではなく、そこからレコードプレーヤーやオーディオ機器へとつなげていければと思っています」(藍氏)
実際に売り場では、1万円台から購入できるレコードプレーヤーを用意するほか、販売員によるオーディオ機器のセレクトサポートも行う。レコードを購入したその日から楽しめる環境を提案することも、この取り組みの特徴だ。
レコードとオーディオを実際に体験できる「AKIBA レコフェス」
また、レコードを購入するだけでなく、実際に音を聴いて楽しんでもらう機会として「AKIBA レコフェス」も開催している。
9月19日・20日はデノン(ディーアンドエムホールディングス)、9月26日・27日はナガオカ、10月3日・4日はフィリップス(鑫三海)がそれぞれ参加。オープン日の9月19日には、デノンのアナログプレーヤー「DP-500BT」を使った試聴イベントが行われていた。
各ブランドのオーディオ機器を実際に試聴しながら、レコードの魅力に触れられるのが同イベントの特徴だ。
レコードを“掘る”楽しさに加え、実際に音を聴く体験を組み合わせることで、レコードを入口にオーディオへの興味を広げる機会をつくっている。
こうしたレコードとオーディオを組み合わせた取り組みについて、ディーアンドエムホールディングス 国内営業本部 東日本営業グループの川北裕司氏は、単に自社製品を知ってもらうだけでなく、オーディオ市場そのものの広がりにつながることに期待を寄せる。
「私どもの製品を知っていただくことはもちろんですが、それ以上に、オーディオそのものへの入口として、レコードから入ってきていただく機会が増えることが重要だと考えています。そうした機会が大きくなれば、最終的には私どもの商品にもつながりますし、オーディオや音楽そのもののマーケットが広がっていくことにもつながります」(川北氏)
川北氏が指摘するのは、レコードとオーディオを同じ売り場で扱うことによって、ソフトからハードへと自然に興味を広げられる点だ。
「ソフトとハード、両方にしっかり取り組めることが、この売り場の大きな特徴だと思います」(川北氏)
さらに、オーディオにはさまざまな価格帯やグレードがあり、それぞれに楽しみ方があることも知ってほしいという。
「機器にはさまざまなグレードがあり、良い音を楽しむための選択肢もたくさんあります。高価なものだけではなく、いろいろな選択肢があることを知っていただきたい。レコード盤そのものを大切にしながら、良い音で聴いていただくという楽しみ方もあることを知っていただければと思います」(川北氏)
中古レコードを“掘る”ところから始まり、気に入ったレコードを見つけ、実際に音を聴き、さらにプレーヤーやアンプ、スピーカーへと興味を広げていく。
「BIC RECORDS AKIBA by Face Records」が目指しているのは、レコードとオーディオを別々のものとしてではなく、一続きの音楽体験として楽しんでもらうことだ。
レコードとの偶然の出会いをきっかけに、音楽を聴く環境にも興味を持つ。レコードを“買う”だけで終わらせず、その先にあるオーディオの楽しみへとつなげていく取り組みとして、今後の展開にも注目したい。
関連リンク










































