HOME > インタビュー > 【インタビュー】磨きあげられた映像で「黒のビエラ」をアピール。パナソニックがZ95Cで追求する本物の感動

VGP2026SUMMER:パナソニック 大竹隆太郎氏

【インタビュー】磨きあげられた映像で「黒のビエラ」をアピール。パナソニックがZ95Cで追求する本物の感動

公開日 2026/09/24 06:30 編集部:徳田ゆかり
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

VGP2026SUMMER 受賞インタビュー パナソニック

アワードVGP2026 SUMMERの映像音響部会で、パナソニックの4K有機ELテレビ「Z95Cシリーズ」が批評家大賞を獲得した。

そのキャッチコピーは「黒のビエラ」。同社が長年こだわっていた黒の表現力に象徴される進化した画質の魅力を強くアピールする。

さまざまなブレイクスルーで成し得た技術とテレビの展開について、パナソニック株式会社 テレビ事業部 事業部長 大竹隆太郎氏、パナソニック株式会社 コンシューマーマーケティング ジャパン本部 AVC商品部 部長 金澤貞善氏、パナソニック株式会社 テレビ事業部 事業戦略部主幹 真田優氏が語る。<インタビュアー:大橋伸太郎(評論家/VGPアワード審査委員長)>

パナソニック株式会社 テレビ事業部 事業部長 大竹隆太郎氏(左)、 評論家/VGPアワード審査委員長の大橋伸太郎氏(右)

「黒のビエラ」で展開、2026年テレビの新製品が好調に推移

大橋 VGP2026 SUMMERにて、4K有機ELビエラ「Z95Cシリーズ」が批評家大賞を受賞されました。まことにおめでとうございます。同シリーズは本年の6月に発売されましたが、販売の立ち上がりやユーザーからの反響はいかがでしょうか。

4K有機ELビエラ「Z95Cシリーズ」、65インチモデルの「TV-65Z95C」

大竹 このたびZ95Cシリーズが、VGP審査委員である批評家の皆様から高くご評価をいただき、大変ありがたく心強く感じております。これから年末に向けた販売においても、頂戴しました賞が大きな後押しとなります。

金澤 まずはテレビ販売の概況からお話しします。昨年から大型のスポーツイベントが続いていることもあり、テレビ市場には堅調な需要が続いていまして、当社での販売も昨年並み、あるいはそれ以上の水準で推移しています。

パナソニックは今年、6月に有機ELビエラのZ95Cシリーズ、そしてMini LED液晶ハイグレードモデルのW95Cシリーズを新製品として発売いたしました。

さらに7月後半にはMini LED液晶フラグシップモデルのW97Cシリーズ、Mini LED液晶スタンダードモデルのW93Cシリーズを投入しました。おかげさまでいずれも堅調な立ち上がりです。

なかでも今回受賞させていただきましたZ95Cシリーズは、映像や音の純粋な進化をAVファンの皆様から高く評価していただいています。

日中のリビングなど明るい部屋で周囲の光の反射を抑える「ブラックフィルター」を進化させた「低反射ブラックフィルター Pro」を新たに搭載しており、画面への映り込みを大幅に抑えましたが、このトピックスが特にご好評をいただいています。

パナソニックが画質に対して追求してきたこだわりを、お客様に実感していただけていると感じます。

またテレビ全体のラインナップで今年は、Mini LED液晶のモデルを拡充しまして、有機ELともども全ラインナップで「黒のビエラ」というメッセージを掲げています。

単純な明るさや派手さだけではなく、パナソニックが長年追求してきた本質的な画づくりを、改めて正面から訴求していこうという考えです。

パナソニック株式会社 コンシューマーマーケティング ジャパン本部 AVC商品部 部長 金澤貞善氏

4K UHD Blu-ray、放送、配信、さまざまなコンテンツで進化した画質を検証

大橋 Z95Cを実際に見ると、小面積のピーク輝度だけでなく、大面積での明るさまで伸びていることが印象的です。

同時に黒がしっかり沈み、暗部階調も潰れず自然につながります。プライマリーRGBタンデムのポテンシャルを引き出すため、どのような検証を重ねたのでしょうか。

真田 ありがとうございます。有機ELパネルの発光性能を最大限に引き出すには、熱への対策が非常に重要です。

当社では2019年から、独自のディスプレイ構造によって放熱性能を高める取り組みを続けてきましたが、それと並行して、パネルを制御するソフトウェア、つまりアルゴリズムについても進化を重ねています。

その中で大きなポイントになったのが、2025年のZ95B、そして今回のZ95Cに採用しているパネル空冷技術である「サーマルフロー」です。

これはテレビ内部の空気の流れを最適化してパネルの温度上昇を抑制する技術ですが、今回のポイントは、内部の熱や空気の流れが、速度まで含めた高度なシミュレーションによって可視化できるようになったことです。

テレビ内部の状態が詳細に認識できるようになったことで、これまで以上にパネルとテレビ内部の熱の関係を深く理解できるようになり、流体力学的なシミュレーションの結果を、制御アルゴリズムにまで反映できるようになったのです。これはパネルの能力をさらに引き出す上での、ひとつのブレイクスルーになりました。

映像面に関しては、パネルの輝度の進化が大きいですね。

今回のパネルはピークだけでなく、ある程度面積の広い部分でも輝度が伸びていますが、コンテンツを使っての検証で、4K UHD Blu-rayなど、ピークが1000nitを超えるHDRコンテンツを重点的に用いて、高輝度領域で色ずれが起こらないか、トーンマッピングをどう制御すべきかなどを細かく検証しました。

単に明るくなっただけでなく、さらに色再現の精度を維持する。その両立には非常にこだわっています。

大橋 Z95Cの魅力を語るうえでは黒表現、暗部階調も外せません。どのようなコンテンツを使って追い込んだのでしょうか。

真田 当社では、これまでどのコンテンツを使って何を検証したのかをデータベース化したライブラリーを持っています。今回もそれを活用しながら画質設計を繰り返しました。

4K UHD Blu-rayでは、高輝度部分だけでなく暗部表現も非常に優れた映画作品、配信コンテンツでは、明部と暗部がひとつのシーンに共存する映画作品などを活用しました。

また映画だけでなく、放送コンテンツではスポーツ、アニメ、映画作品も含めて、国内外を問わず非常に幅広いコンテンツを視聴し、検証しています。

 パナソニック株式会社 テレビ事業部 事業戦略部主幹 真田優氏

大橋 現在は同じ4Kでも、BS4KUHD Blu-rayNetflixをはじめとする配信サービスなど、コーデックやHDRの方式、そこから生まれる映像の傾向も同じでありません。さまざまなコンテンツに対して、どのように画質を作り込んでいるのでしょうか。

大竹 ビエラが一貫して大切にしている考え方は、製作者の意図を忠実に再現するということです。

どのフォーマット、どのコンテンツであっても、作り手が表現しようとした映像をできる限り忠実に再現し、感動を伴う映像体験としてお客様に届ける。それが基本的な設計思想です。 

配信サービスの場合、サービスごとに映像処理の特性も異なります。配信形態とコンテンツの組み合わせによって課題が見つかることもありますし、たとえば倍速処理のフレーム補間なども、そうした検証を通じて改善を続けています。

単純な解像度や色だけを見るのではなく、質感や動きまで含めて、製作者の意図をどこまで忠実に表現できるかを重視し、画質設計を行っています。

大橋 Z95Cでは「低反射ブラックフィルター Pro」も大きな進化点です。明るい部屋でも映り込みを抑えながら、発色の艶や精細感、コントラストを維持しています。一般の視聴環境を想定するにあたっては、どのような条件で検証したのでしょうか。

真田 実際に家庭の中で使われる環境下で、どこまで本来の映像を見せられるかが重要です。そういった中で、低反射ブラックフィルター Proでは、映り込みを抑えるだけでなく、黒の深みや映像の立体感まで両立させることを重視しました。

調整の中で基本とするのは、ご家庭の日中のリビングです。日光が差し込む環境、差し込まない環境、さらにさまざまな種類の照明など複数の光源を想定して検証していますが、過去、環境光センサーやオートAIの開発等で活用した、照明を担当する部署の知見なども取り入れて行いました。

大橋 近年はテレビドラマや映画などの時代劇で、意図的に照明を落とした非常に暗いシーンが増えていますから、テレビによっては「暗すぎて何が映っているかわからない」ということも起こります。そんなご相談が寄せられた際は、どんな調整を推奨しますか。

真田 有機ELMini LED液晶など、テレビ側の表現力が進化したことで、制作側でも暗いシーンや微妙な空気感の演出が積極的に使われるようになったかと思います。そんなコンテンツに対しては、以前のテレビをお使いのお客様の場合、見えにくいケースも出てきます。

テレビはモデルごとに特性が異なりますので、たとえば画質モードを「スタンダード」から「リビング」に変更していただくなど、個々のモデルごとのダイナミックレンジの範囲内で見えやすい方向へ調整する方法を推奨しています。

一方、昨今のビエラでは、暗部の表現力そのものも進化していますし、「オートAI画質」の機能で、視聴環境に合わせた適切な暗部の持ち上げ調整なども自動で行えます。

「黒のビエラ」のキャッチコピーで、高い表現力をアピールする

大橋 今年大きく打ち出しておられるのは、「黒のビエラ」というキャッチコピー。一般のお客様にも伝わりやすい明るさや鮮やかな色とは異なる黒の表現力を、どのように訴求しますか。

大竹 高画質というと、どうしても輝度や色の鮮やかさに注目が集まりがちですが、Z95Cは新世代のプライマリーRGBタンデムによる色の鮮やかさがあると同時に、低反射ブラックフィルター Proによって外光の反射も大幅に抑え、映像の黒を一層引き締めています。今回「黒のビエラ」は、そうした画質を象徴する言葉として掲げました。

このフレーズは、かつてパナソニックのプラズマテレビを訴求する際に使っていたものです。当時のCMでは黒い馬を起用して、プラズマならではの黒の表現力を訴求していました。

今回はCMに黒い犬、ボルゾイという犬種を起用し、その黒い毛並みの一本一本まで見えるような繊細な表現を通して、最新のビエラの画質を伝えています。

金澤 テレビ販売の店頭では、野球中継やニュースなど比較的明るい映像が再生される傾向にあり、しかも売り場そのものが非常に明るい。そうした環境では、それぞれのテレビの画質の差があまり感じられないこともあります。

ところが、動画配信コンテンツやYouTubeのミュージックビデオなどで暗いシーンを含む映像を見ていただくと、パナソニックのテレビの画面から得られる情報量の豊富さを感じていただけると思います。

暗い部分をただ黒く表現するのではなく、その中に存在する情報まできちんと見せる。そうした違いを説明するうえでも、「黒のビエラ」は非常にわかりやすい表現であると思います。

徳田 Z95Cの音の進化も紹介していただけますか。

大竹 Z95CではTechnics監修のもと、ラインアレイスピーカー、上向きのイネーブルドスピーカー、横向きのワイドスピーカー、ウーファーなどを組み合わせ、ユニット配置を最適化した「360立体音響サウンドシステム+」をさらに進化させています。新アルゴリズムで低域の表現力も強化しました。

また、マルチチャネルのソースについて、従来は画面の下側から聞こえがちだったセリフについても、映像中の人物の位置に近い高さから聞こえるよう、音像定位も改善しています。

私たちが目指している本物の感動は、視覚だけで成立するものではありません。聴覚とも組み合わされてこそ、大きな感動が得られるものだと考えています。

また音へのこだわりはZ95Cだけではありません。今年投入した3シリーズのMini LED液晶についても、それぞれのクラスに応じた音質設計を行っています。

金澤 画質・音質の設定については、お客様自身ではどう選んで調整すればいいのかわからない、ということもあると思います。

ビエラでは「オートAI」によって、コンテンツに応じて画と音を自動的にコントロールできますが、ハードウェアの物量だけでなく、信号処理と組み合わせることで、難しい設定を意識せずにコンテンツの臨場感を味わっていただける。そういった手軽さも、ビエラの強みだと思います。

徳田 Fire TV搭載もビエラの大きな特徴として定着してきましたね。

金澤 Fire TV Stickが非常に普及していますので、そのユーザーの方を中心に、ビエラに搭載したFire TVを評価していただいています。

操作の速さや動きのスムーズさを含め、「Fire TVの方が使いやすい」と言っていただけることも増えていますし、Fire TV Stickを使い慣れたお客様が、納得してビエラを選んでくださっている状況です。

今のテレビにはさまざまなプラットフォームがありますが、Fire TVの場合は放送とネットコンテンツを同じ画面で探すことができます。

放送と配信でコンテンツを分けるのではなく、見たいコンテンツを並列で選ぶことができる。これは実際に使っていただくと実感していただきやすいメリットだと思います。

どんなテレビでも、リビングの一等地で本物の感動を届け続ける

徳田 Z95Cをはじめとするビエラのプロモーションについて、方向性をお聞かせください。

金澤 ひとつは、これまでお話ししてきた「黒のビエラ」に象徴される、本質的な機能価値をしっかり伝えることです。

もうひとつは、安心して長く使っていただける「パナソニッククオリティ」です。オートAIのような使いやすさの面はもちろん、耐震ペデスタルで倒れにくいなど、安全面でも家庭の生活に寄り添う品質を大切にしています。

またパナソニックでは最大5年間の延長保証も用意しており、万が一の故障などにも対応することができます。

最高の画質や音質を追求する一方で、毎日安心して使えることもテレビには欠かせません。「黒のビエラ」という機能価値と、暮らしに寄り添うパナソニッククオリティ。このふたつを軸に、これからもビエラならではの価値を伝えていきたいと思います。

徳田 テレビは今や、放送だけでなく、配信やネット動画、個人のコンテンツまで、あらゆるエンターテインメントの入口になっています。今後、ビエラはどのような存在になっていくでしょうか。

大竹 まず変わらないのは、「本物の感動をお届けする」ということです。

そのためには、製作者の意図を忠実に反映した画質をいかに再現するかが重要です。この取り組みはハリウッドのスタジオからも評価していただいていますし、長年テレビを開発してきた私たちのノウハウの集大成でもあり、ここを今後も大切にしていきます。

そしてこれからはAIが搭載されることが当たり前になっていき、テレビはファミリーAI”のような存在になるのではないかと考えています。

スマートフォンのAIは、基本的には個人に寄り添うパーソナルなAIです。テレビはリビングに置かれ、ご家族など複数の人が一緒に見るデバイスです。その場にいる人たちに適したコンテンツを提案したり、家族の会話を活性化したりする役割を担えるのではないかと考えています。 

大橋 生成AIのような技術がテレビに組み込まれるのでしょうか。

大竹 まさにいま、その方向性を検討しているところです。具体的な導入時期についてはまだお答えできませんが、スマートフォンなどで使われている生成AIを、テレビにも導入していくようなイメージは持っています。

大橋 Mini LED、さらにRGB LEDの登場で液晶方式の進化も目覚ましく、液晶は価格や大画面化で大きなメリットがあります。

一方の有機ELは画質に優位性があり、印刷方式で巻取り可能なプロダクトであれば困難な搬入・設置に対応できるメリットもあると思います。

さらに将来を見れば、マイクロLEDなど新しい自発光デバイスも考えられます。パナソニックは今後、テレビをどのように展開していくのでしょうか。

大竹 画質という点では、自発光デバイスである有機ELの優位性は大きく、最高位の位置付けは今後も揺るがないと考えています。

一方で価格については、材料費や生産規模などを考えても液晶と同等の水準となるのは難しいでしょう。

だからこそ、最高の画質を求めて有機ELを選んでくださるお客様に対して、その期待に応えられる価値をさらに進化させて提供していくことが重要だと考えています。

大画面化についてもさまざまな議論があります。有機ELは薄さというメリットもありますが、パナソニックとしては、単に薄くすること以上に「究極の画質」を追求するデバイスとして提案し続けるべきではないかと考えていますし、また将来的には本格的なマイクロLEDへと、置き換わっていく可能性もあると思っています。

ただ、デバイスが何であるとしても、コンテンツを大画面で楽しむというテレビの体験そのものは残っていくでしょう。

私たちはテレビ事業のミッションとして、「リビングの一等地で本物の感動を」という言葉を掲げています。テレビだからこそ味わえる本物の感動を届ける。その使命は、デバイスが何であろうと変わらないと思っています。

大橋・徳田 これからの展開もますます楽しみですね。有難うございました。

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE