【特別企画】イベントレポート

ホンダのバッテリー電源で音はどれほど変わる? 読者イベントでわかったその実力

公開日 2019/12/04 06:15 編集部:風間雄介
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オーディオの達人、福田雅光氏がホンダの電源をナビゲート

福田氏は冒頭、「今回はバッテリー電源を主役にした珍しいイベントです。以前からオーディオには電源が重要と言ってきましたが、アンプは電気を増幅する回路で、その大元の電源が重要なのは言うまでもありません」と、改めてオーディオにおける電源の重要性を強調した。

「バッテリー電源と一言で言っても、実はかんたんそうで難しいのです。特に直流電源を交流にするところがキモですね。きちんとした正弦波にしなければ良い音は得られませんが、ホンダは、音楽用ではないLiB-AID E500のときから高品位なインバーターを使っていました。交流電源と一口に言っても100Vは実効値で最大値は141.4Vもある。Hondaのインバーターは直流のまま昇圧してから、そこから効率良く交流波形に変換しています」と説明した。

LiB-AID E500 for Musicに使われた各種高音質パーツ

本機のメイン基板。コンデンサーなどはもともとベースモデルでも高品位なものが使われており、変更する必要がなかったとのことだ

ここで、なぜホンダがオーディオ用電源を作ったのか、という背景についてかんたんに紹介しておこう。ホンダといえば自動車、というイメージをお持ちの方が多いだろうだが、実はホンダは二輪車や農業機具、そして最近ではジェット機なども開発・販売している。社名が「本田技研工業」で、「自動車」を冠していないことからもわかるとおり、自動車だけを作る会社ではなく、さまざまな領域で、その持てる技術力を発揮しているのだ。

ホンダのモノ作りの根底にあるのは「技術で人に貢献する」こと。今回のオーディオ用電源の開発も、2017年発売のポータブル電源「LIB-AID E500」のユーザーにアンケートを取ったところ、オーディオ用途と回答した方が約5%いたことから、ホンダの技術が活きる需要があると判断したという。良い音で人々に貢献するのも、同社のモノ作りの理念に則っているというわけだ。そして、やるのであれば徹底的にこだわろうと、ベースモデルから2年の期間でオーディオに関するノウハウをゼロから得ながら、こだわって開発したのが、今回の「for Music」ということになる。

そのこだわりの仕様は、くわしくはニュース記事を参照いただきたいが、バッテリーとインバーター自体は、通常モデルと同じ。前述のように、この部分の品位はもともと高いため、特に変更する必要はなかったという。ただしコンセント周りや外部ノイズ対策は、オーディオ用途を意識していなかったため、ここを徹底強化することで音質を高めた。会場には本機に搭載されたコンセントやノイズを遮断するパネルなどの部品も展示され、実際に触って確かめることができた。

左がLiB-AID E500 for Music用のフルテック製高級電源パーツ、右がベースモデルのもの

フロントに使われたカバーも素材を樹脂からマグネシウム含有のアルミ合金に変えるなどこだわった


外観は同じカバーだが、内側を見るとコンセントの形状に合わせて作り分けがなされている

外装のパーツも、音楽用モデルは外来ノイズを遮断する電磁波シールドが施されている
そして今回は、LiB-AID E500の「for Music」ではない通常モデルも展示。後ほど紹介するが、for Musicとの音質比較も行われた。

さらに来場者の注目を集めていたのは、ホンダポータブル電源の原点ともいえる初期の発電機も置かれていたこと。ホンダは1959年から発電機の開発を始めていたとのこと。当時の製品は、もちろんリチウムイオン充電池ではなく、小型エンジンを搭載し、ガソリンでエンジンを回して発電するものだが、サイズ感は今回のLiB-AID E500 for Musicとほぼ同じ。持ち運びやすさと機能のバランスを考えると、このサイズに行き着くということだろうか。

中央が今回の主役「LiB-AID E500 for Music」、左がベースモデルの「LiB-AID E500」。そして右がホンダ初期の発電機E80(1966年発売)

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