蔦屋家電で開催

DEVIALET、「PHANTOM REACTOR」発表会を開催。LINEが出資、日本での直営店展開も検討

公開日 2018/11/22 17:47 編集部:平山洸太
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フランスのオーディオブランド Devialet(デビアレ)は、ワイヤレス・アクティブスピーカー「PHANTOM」に、シリーズ初となるコンパクトモデル「PHANTOM REACTOR」を追加。本日22日から蔦谷家電(二子玉川)と伊勢丹新宿店で販売する(関連ニュース)。

PHANTOM REACTOR 900」¥199,000(税抜)
PHANTOM REACTOR 600」¥159,000(税抜)

「PHANTOM REACTOR」

本日、11月22日に東京・二子玉川の蔦谷家電で発表会が行われた。

発表会では同社のPHANTOMシリーズ製品が正面に展示された

Devialetは2007年に創業した、ハイエンドクラスのHi-Fiオーディオ用アンプで知られるフランスのオーディオブランド。2015年にWi-FiやBluetooth、アンプを内蔵したワイヤレススピーカー「PHANTOM」(現在はPHANTOM PREMIERシリーズとしてラインナップ/関連ニュース)を発売しており、今回発売されるモデルは、このコンパクトモデルとなる。

従来のPHANTOM PREMIERシリーズは好評をもって迎えられたものの、一方で「オーディオとしてはコンパクトだが、オーディオ好き以外の方にはサイズが大きい」「価格が高い」という意見もあったという。PHANTOM REACTORはこの2点の解決を目指したモデルで、さらに手軽に、さらに使いやすく、そして小さくがコンセプトになっている。結果として、従来比で1/4のサイズを実現した。

PHANTOMとの比較。右がREACTOR

Devialet general Manager APACのジュリアン・ベルジェル氏

Devialet general Manager APACのジュリアン・ベルジェル氏は、コンパクトモデルを発売するに至った理由を、「Devialetは非常に難しいことに挑戦することが好き」と述べた。しかし同じ機能を1/4サイズで目指すとなると、小型化にあたって部品の密度が高くなり、さらに部品のサイズも小さいため、既存の工場では製造が困難。そのため近くに、ほぼ自動化された新しい工場を建設する必要があったという。また開発時間は約3年、時間にすると50万時間に及んだとのことだ。

同程度の性能とする120Lのスピーカーと比較した場合、PHANTOMでは1/20の容積、そしてREACTORではPHANTOMからさらに1/4の容積となる

ライブならではの体で感じる低音も再現

同社の目的は「世界最高の音楽体験を作り、それを提供すること」と、Devialet Japan 事業開発マネージャーのルカ・フェネック氏は説明。同社はADHという独自の増幅方法を搭載したパワーアンプ「EXPERT PRO」を皮切りに、ハイエンドオーディオ向けアンプを展開してきた。PHANTOMシリーズにおいては、このアンプの性能を維持しながら小型化して、筐体サイズを超える音量・音質を実現させた。PHANTOM REACTORではこのアンプをさらに小型化することで、筐体自体の大幅な小型化も実現している。なお、後述するようにこのアンプを収めるチップにDACなどの回路が統合している。

パワーアンプ「EXPERT PRO」を小型化して搭載していく。PHANTOMには100以上の特許が使用された

Devialet Japan 事業開発マネージャーのルカ・フェネック氏

PHANTOM REACTORの再生周波数帯域は18Hz - 21kHz。900Wモデルと600Wモデルがラインナップされ、出力以外の性能は同様。外形寸法は157W×168H×219Dmmで、質量は4.3kg。容積は3Lで、PHANTOMの12Lと比べ1/4となる。BluetoothのほかWi-Fiを搭載し、Spotify、Apple Music、TIDAL、DEEZERなどの音楽ストリーミングの再生に対応するほか、AirPlayに対応。DAC部は192kHz/24bitに対応している。

搭載機能の説明

質量は4.3kg、両手で持つことができる

再生周波数帯域については、「人間の可聴帯域は25Hzより上だが、ライブではそれより低い帯域も身体で体感している。PHANTOM REACTORはこうした低域も再現できるので、ライブのクオリティが再現できる」と説明。さらにDevialet製品はデザインや生産など、全てフランスで行っており、「100%フランスで作ることを、とても大切に考えている」とアピールしていた。専用アクセサリーとして、スタンド「LEGS」、持ち運びケース「SKIN」も同時に発売される。

専用スタンド「LEGS」(左)、専用持ち運びケース「SKIN」(右)

SKIN

また今作では本体に、ステータスLEDとタッチ式のボタンを新装。従来はアプリからの操作のみだった。さらに従来の光デジタル入力に加え、3.5mmのアナログ入力を新たに搭載した。これらは多くのユーザーをターゲットにするため、使いやすさを考えた結果だという。

背面にはイーサネット端子と、3.5mmアナログ入力(光デジタルと共有)を備える

天面にはタッチ式の操作ボタンとLEDランプを備える

そして使いやすさの実現のため、アプリも新たに用意。日本語にフル対応しており、コントロールを行うことが可能。従来のアプリではプレーヤー機能を搭載していたがこれを省略してよりシンプルにしている。その理由について、SpotifyやiTunesなどを普段使っているユーザーがスムーズに本機を利用できるようにするためだという。

側面にはアルミニウム振動板のウーファーが設置。反対側の側面とシンメトリーになっている

正面にはアルミニウム振動板のフルレンジドライバーが配置

2台の製品を用いて、Wi-Fi経由でのステレオ再生にも対応する。PHANTOMでのステレオ再生にはアクセサリーの専用ハブが必須だったが、今作では不要となった。なおこの機能は現時点では実装されておらず、ファームウェアアップデートで対応予定。リリースは、2019年の第1四半期を予定していると発表された。

100件を超える特許を使用。上位モデルの技術も踏襲

発表会では、REACTORに関する技術についても触れられた。まず特許については、PHANTOMに使用された108の特許からさらに開発を行い、新たに52件の特許が追加されている。そして上位モデルPHANTOMに搭載する技術のADH、SAM、HBI、ACEも同じく搭載。こちらはREACTORにあわせ、さらにアップデートが行われている。

上位モデルのPHANTOMと同様の技術を採用するだけでなく、さらにアップデートが行われた

ADH(Analog Digital Hybrid)はアナログ増幅段とデジタル増幅段を組み合わせた同社特許技術のアンプ。本作には最新のADH「v3」チップが搭載される。v1ではASICが統合され、v2ではDAC、v3ではDSPと機能が次第に統合されてきており、この統合も本作の実現に貢献しているとのこと。そして小型化されても性能は同じという。

ADHチップの変遷。世代を重ねるごとに、チップに統合される役割が増加していく

ADHチップ

SAM(Speaker Active Matching)は、独自の数学モデルを用いてスピーカー駆動を正確に管理して、アンプおよびユニットの性能を限界まで引き出す技術で、本機にはv2が搭載。これにより、音源のシグナルと同じものをスピーカーで再生することが可能になり、もともと録音されていたものやアーティストが考えていたものを再生できるとする。

SAMの説明。SAMを使用しないと波形が入力と出力の波形がずれるが(上のグラフ)、機能を使うと波形が一致する(下のグラフ)

またACE(Active Cospherial Engine)は、音響処理によって重低音を生成する技術で、HBI(Heart Bass Implosion)は球面デザインにより理想的な音響効果を実現するという技術となり、ともにv2が搭載される。

ACEの説明

HBIの説明

本機には向かい合うように2つのウーファーが配置されているが、PHANTOMの16インチ・ウーファーと比べて小径のものが搭載されている。小径化されても同等の低音再生を図るため、HBI v2では振動の最大ストロークがより大きく設計された。また、PHANTOMでは正面にミッドレンジとトゥイーターが同軸配置されているが、本作では小型化のため、中高音を担当するフルレンジドライバーが1基搭載されている。また振動板の材質は、ともにアルミニウム製となる。

音楽を再生すると、側面のウーファーが大きく動く

日本で予想以上の販売台数。直営ストアの計画も

今後の日本展開に関しては、上位シリーズのPHANTOMが日本発売までに3年かかったのに対し、REACTORでは海外発売から6週間で導入と、本機では日本市場をより大切に捉えていることにも言及。「海外から見ると日本は難しいマーケットだが、今後は展開の速度を上げていきたい」と話した。

PHANTOMシリーズが日本に上陸したのは約2ヶ月前となるが、伊勢丹をはじめ、蔦屋家電、蔦屋書店の代官山、六本木の店舗で販売。好調に推移、予想以上の販売台数だという。同社のアジアでの直営ストアは香港に2店舗、シンガポールに1店舗、台湾で1店舗の計5店舗だが、今後は日本への開設も考えていると今後の展望を説明した。

香港、パシフィックプレイスにある直営ストア

また発表会では、(株)蔦屋家電エンタープライズ 代表取締役社長の武井総司氏、LINE株式会社 執行役員 戦略事業室 室長 室山真一郎氏が登壇した。

(株)蔦屋家電エンタープライズ 代表取締役社長の武井総司氏

LINE株式会社 執行役員 戦略事業室 室長 室山真一郎氏

武井氏は、蔦屋家電がDevialet製品のブランディングのサポートを行いながら、同じグループであり蔦屋の店舗への販路を拡大していくと説明。「一気に広げるのではなく、体験することに重きを置きながら、お客様にとって発見となるようにしたい」と話した。

そして室山氏はKorelya Capitalを通じてDevialetに出資していることを説明し、その理由について「Devialetはオーディー業界のゲームチェンジャーになるのでは。LINEはLINE MUSICなどエンターテイメントを提供しているが、これは技術の革新がもたらす恩恵が大きい。支援しながらテクノロジーの発展を願っていきたい」と述べた。

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