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旗艦機「Pro iCAN」から始まる次なる革新 - iFI-Audio、トルステン博士インタヴュー

公開日 2016/03/10 12:53 季刊NetAudio編集部
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―XBassと3Dホログラフィックは、micro iDSDなど他のiFI製品にも搭載されていますが、Pro iCANもそれと同様のものとなるのでしょうか?

トルステン 基本的には同じものです。ただし、Pro CANは3段階の切り替えになっています。
これらはフルアナログの技術ですので、micro iDSD等のmicroシリーズで搭載しようとするとスペースファクター的な制約が出てくるので必然的に1段階の切り替えとなります。また、micro iDSDの場合は端子の数が1系統ですので、必然的に組み合わせるシステムは1系統ですので、これ自体に問題はありません。

しかし、Pro iCANはプリアンプとしての機能を重視していますので、当然さまざまな機器が接続されることになります。そのため、それぞれの機器に合わせて複数切り替える必要があるんです。接続するコンポーネントによって、特性は変わりますからね。
実はこのあたりにPro iCANのサイズの理由があります。
まずはあらゆるヘッドフォンをドライブしたいというもの。これには4pinバランスから3pinバランス、フォーンジャック等が必要です。
もうひとつは、さまざまな機器の中心にあるプリアンプとして、必然的に複数の端子を持つ必要があったということです。そうした複数のオーディオ機器を接続するまさにプロフェッショナルな方も満足の行く製品としたかった、ということが「Pro」シリーズの名前の由来でもあります。もちろん、さまざまな処理をDSPでやることは簡単なのですが、私達はこれをあくまでアナログでやる、ということにこだわりました。

―この「あくまでアナログにこだわったこと」に理由はあるのですか?


Pro iCANのリアパネル。RCA×3、XLR×1のアナログ入力のほか、XLR、RCA各1系統のアナログ出力を持ち、プリアンプとしての使用も想定している。
トルステン 簡単な話です。アナログでやることが最も音が良かったからです。私達のコンポーネントは、もちろん構成するパーツひとつひとつからスペックにもこだわってますが、なによりも重視しているのは「音が良い」ということです。これは自分の耳でしっかりと聴いて、「自分が本当に使いたくなるようなものなのか」ということを重視しているということでもあります。ボリュームのみはマイクロプロセッサーですけどね。
あと、アナログであることに加えて、フルディスクリートであるということも大きなポイントです。それも各入力ですべて同じような構成とするのではなくで、"ここには何が必要なのか”ということを考えたうえで最適なパーツで構成しているということも注目いただきたいポイントです。

―オリジナルのパーツというのは使っているのですか?

トルステン はい、もちろんです。

―そうした使用したパーツのことを考えても、Pro iCANはiFIのフラッグシップということになりそうですね。

トルステン このサイズで、そしてこの価格帯で、ということを考えるとそうでしょうね。
デザインについても当初から随分と変わってきました。最初はもっと変わったデザインとサイズを想定していたのですが、"いまどういう機能と音が求められていて、それをどこまで小さくすることができるのか"ということを突き詰めていって、必然的にこのかたちになっています。ですので、最初からこのサイズで作ろうと考えていた、ということではありません。バウハウスのデザインのような考え方で、iFIではものづくりを行っています。
ちなみに、10月に開催されたヘッドフォン祭ではプロトタイプを発表しましたが、あの段階ではまだまだ完成形ではありませんでした。近日中に発売する最終形は、おそらく驚くほどのサウンドを皆様にお届けできると思います。

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