新PC用操作ソフト「KINSKY Desktop」をリリース

リン、AAC対応/ジュークボックス機能対応のLINN DS最新ソフトウェアを発表

公開日 2009/07/28 17:27 Phile-web編集部
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ネットワークミュージックプレーヤー“DSシリーズ"を発売する英のオーディオブランドLINN(リン)は“DSシリーズ"の最新ソフトウェア「CARA(カーラ)」を近日中に無償提供することを発表した。本日28日、新ソフトウェア発表会が都内で行われ、本社から現社長兼マネージング・ディレクターのギラード・ティーフェンブルン氏らが来日。AACフォーマットの対応や新開発のPC用操作ソフト「KINSKY Desktop」のリリースなど「DS誕生以来最大のソフトウェア・バージョンアップ」というCARAについて説明を行った。

■DS本体のファームウェア、PC用操作ソフト、DS設定用ソフトが全てバージョンアップ

“DSシリーズ”はLAN HDD(NAS)内に蓄えた音楽データを、イーサネット端子(LAN)を通してストリーミング再生できるネットワークミュージックプレーヤー。現在「KLIMAX DS」「AKURATE DS」「MAJIK DS」「SNEAKY MUSIC DS」の4機種をラインナップし、普及価格帯モデルのSNEAKY以外、アンプを内蔵していない。ノイズ対策を徹底的に施したこの再生機は、CDをリッピングした音源や音楽配信サービスによりCD以上のマスタークオリティ音源を高品位に再生できる性能が評判となり、山之内正氏など本シリーズを高く評価するオーディオ評論家も多い。新しい時代の音楽の楽しみ方として、日本でも近年急速に認知を広めていることは周知のところ。


会場に並んでいたDSシリーズ
ネットワークを利用した製品である“DSシリーズ”を使うためには関連するソフトウェアが不可欠であり、現在DSシステム全体のファームウェア、PC上での操作ソフト、設定用ソフトが用意されている。LINNではこれらのDS関連ソフトに世代を表すファミリーネームを付けており、それぞれのソフトは同世代間でのみ機能するようになっている。発売当初は「AUSKERRY」、続いてアップデートした現行ファミリーは「BUTE」、そして今回発表された第3世代のファミリーが「CARA(カーラ)」となる。

■FLAC/WAV/MP3/AIFF/Appleロスレスに加えAACにも対応へ

新バージョンでは、これまで再生に対応していたFLAC/WAV/MP3/AIFF/Appleロスレス(ALAC)フォーマットに加え、新たにAACに対応した(DRM音源の再生は非対応)。

また有線、無線に関わらずネットワークの認識スピードも向上している。操作性も高め、DSシステムの設定をネットワーク上のどのWebブラウザからも行えるようになったほか、DS本体の設定や変更、フォームウェアのアップデートを行う設定用ソフト「LINN CONFIG(リンコンフィグ)」はMacでも使用できるようになっている。

■感覚的な操作が可能なPC用操作ソフト「KINSKY Desktop」

そしてCARAの最大のトピックは、PC用の操作ソフト「KINSKY Desktop(キンスキー・デスクトップ)」のリリースだ。本ソフトではNAS内の楽曲ライブラリーの閲覧が可能で、CDジャケット写真の表示にも対応している。ジャケット写真を画面下の再生ボタンにドラッグ&ドロップするだけで曲が再生されたり、楽曲を右クリックで削除できたりと感覚的に操作することができる。リピートモード・シャッフルモード機能も搭載する。


KINSKY Desktopの画面。右がプレイリストで左がCDジャケット写真一覧。ジャケット写真をドラック&ドロップしてプレイリストの好きな場所に追加することができる

ジャケットのみの表示も可能。ジャケット写真を下の再生ボタンにドラック&ドロップするだけで再生できる


右上のボタンでシャッフル、リピート再生が行える

「KOMPACTモード」の画面
そのほかアプリケーション使用時にはコンパクトに表示できる「KOMPACTモード」や、同一PC上でいつでも呼び出して使うことができる「ローカル・プレイリスト」機能、よく使うページ、画面をプリセットしておき、ホーム画面から入る手間を省く「プリセッティング」機能など細部の使い勝手にも配慮した作りになっている。

本日の発表会にはソフトウェア開発担当のキース・ロバートソン氏が出席し説明を行ったが、ロバートソン氏は「KINSKY Desktopはオープンソフトであり、NAS内の楽曲をブラウジングする機能以外にもサードパーティー製プラグインにより、我々が想定する以上の機能を備える可能性がある」と説明。プラグインの1つとして同社が作成した米のインターネットラジオ局「NPR(National Public Radio)」の一覧機能を紹介した。


NPRの一覧画面。日本でNPRの放送を聞くことができる

ソフトの説明を行ったSoftware Design Manager,Principal Engineer Keith Robertson氏
■ジュークボックス機能も追加

ティーフェンブルン氏は今年2月に来日した際に行ったインタビューで、PCレスで誰でも音楽をアーカイブできるスタイルとして「DSジュークボックス」の開発を計画しているとコメントしていたが(関連ニュース)、CARAではサーバー上の好きなアルバムの音楽データに番号を付けておけば、DS本体のリモコンでその番号を押すだけでアルバムの再生ができる「KINSKY Jukebox」という機能も追加された。

「KINSKY Desktopで簡単に楽曲を再生することが可能だが、PCはよくわからない、再生時にPCを触りたくないというユーザーにはこのJukebox機能をおすすめしたい。たとえばKINSKY Desktopで楽曲情報をまとめて表示させ、そのページをプリントアウトし1冊の本のようにまとめておけば、この曲は1番、この曲は2番というようにレコードを探す感覚で音楽を再生することができる」とし、このJukebox機能に加え、ユーザーの好みや環境に応じてiPhone/iPod TouchやPCといった様々な方法でDSが操作できるというメリットを紹介した。

■「DSがなければLINNは今存在していない」 ー 現社長が語るDSシリーズの可能性

ティーフェンブルン氏は、「世界各国どこのオーディオ市場でも苦労しているのは、CDプレーヤーが売れないということ。LINNもDSシリーズがなければ、今現在は存在していないといっても過言ではない。そのくらいDSシリーズはこの2年で大きく成長し、当初はLINNの売上のほぼ0%であったが現在では25%のシェアにまで拡大してきている」とDSの急激な成長の背景を説明する。


Managing Director Gilad Tiefenbrun氏
国内におけるDSシリーズ登場の歴史は、最上位機種の「KLIMAX DS」が07年10月にインターナショナルオーディオショウ東京の会場で世界初公開されたところからはじまる。日本では同11月に発売された。現在では日本でも大きな注目を集めるDSシリーズだが、まずアメリカ、スウェーデンで浸透し、その次にドイツ、日本と続き、日本での浸透には当初想定していた以上に時間がかかったという。

同氏は08年にDSの紹介のため来日しているが、「08年の時点ではDSはまだ日本ではあまり浸透しておらず、何人かのジャーナリストにこれはあくまでPCであり、ハイファイではないのではないかと言われたことを覚えている」と当時の様子を振り返る。そして「日本のユーザーは物に対して非常にシビアであり、我々もシンプルで高品質なものを提供できるよう努力してきた」とし、ようやく日本のオーディオファイルに受け入れられてきつつある現状を述べた。

また「DSは、アップデートを繰り返す過程で音質も向上してきている。今回のCARAでも、DA変換部を調整しさらなる音質向上を図った。たとえばSACDという新しい規格が誕生したとき、SACDを再生するためには今まで持っていたCDプレーヤーではなく新しくSACDプレーヤーを購入しなければならなかった。我々のモットーはMusic For Life。一度LINN製品を購入したら、一生その機器で音楽を楽しんでもらいたいと思っている。DSは一度購入してもらえばソフトウェアアップデートにより、常に我々が研究した最高のクオリティのものを、時代に沿った形で提供することができる」と、オーディオブランドLINNのスピリットがDSシリーズに反映されいることを紹介した。

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