需要増かつ3Dが完全離陸
テレビ販売単価アップに期待


パナソニック(株)
役員
デジタルAVCマーケティング本部
本部長
西口史郎
  ビジュアルグランプリ2011総合金賞・各賞を受賞したパナソニックの製品群
プラズマテレビ "3D VIERA" VT2 series(写真はTH-P65VT2)
BDレコーダー "ブルーレイDIGA" DMR series(写真はDMR-BWT3100)
メモリームービー HDC-TM series(写真はHDC-TM750)
一眼レフカメラ "LUMIX" DMC-GH2
 
地デジ化目前、エコポイント駆け込み需要で爆発するテレビ販売だが、そんな中でも大型付加価値商品が想定以上に動くと西口氏。その立役者はやはり3D。いち早くラインナップを投入し本格普及に尽力したパナソニックは「3Dリンク」でビジュアルグランプリ年間総合金賞も勝ちとる。テレビ、レコーダーなど多くの金賞を受賞した同社の声を、デジタルAVCマーケティング本部 西口本部長に聞く。
 
テレビに加えレコーダーも本格地デジ化へ向け注力する

−− 今回のビジュアルグランプリでは、あらゆるサイズのテレビで金賞を受賞されています。地デジ移行を控えた最終コーナーで、リビングの大型テレビから2台目、3台目需要を含め全方向で付加価値訴求できるテレビとして高く評価させていただいたものです。

西口 さまざまなカテゴリーで沢山の金賞を頂戴することができ、非常にありがたく思っております。

テレビ販売は大変好調です。我々はブラウン管テレビからの置き換えを需要予測のベースとしていましたが、想定以上に買い増しの現象が多くなっていますね。リビングの薄型テレビを個室に移動させて新たに大型テレビを購入される方も多く、それまでテレビが1台しかなかった家庭に2台目、3台目が生まれる。つまり需要そのものが増え、しかも2台目以降は小型とは限らないのです。

今年の需要の急増が来年以降の先食いになるというより、需要自体が膨らんでいる要素が大きいのではと感じています。さらに3Dが、我々の専門店様ルートで合展の効果もあって9月くらいから非常に増えました。10月からは量販店様ルートで3Dの販売台数、構成比ともに顕著に上がっています。

今年の年末商戦、エコポイント商戦は必ずしも小型、小物中心というわけではなく、3Dも含め大型の付加価値商品もかなりいけると思っています。当初業界では、年末は2台目3台目需要中心、普及価格帯の商品が出ると想定していましたが、蓋を開けてみると決してそうではないですね。

−− 3Dは、年間総合金賞とさせていただきました。3D元年の今年、すべてのジャンルで商品を揃え、しかもリンクで使い勝手も考慮されているところを評価致しました。

「3D VIERA」。リンクでユーザーの使い勝手も考慮。

西口 3Dをテイクオフさせていくには、テレビを出すだけでなく、全体的な商品群をなるべく早く揃えてリンクさせる方針で来ました。その趣旨を評価していただき、大変嬉しく思います。

3Dはいよいよ本格的な離陸期を迎えたという手応えがあります。テレビだけでなく3D対応レコーダーも立ち上がってきており、来年以降に向けいい形で年末商戦に入って行けたと思っていますし、おそらく販売店様も同様の感触を実感として掴んでおられると思います。非常にありがたいことです。

−− 3Dソフト『アバター』を絡めたキャンペーンや、BS朝日とコラボレーションされている3D放送の反応はいかがですか。

西口 『アバター』といえば3D映画の代名詞的な位置づけにありますから、キャンペーンを発表した途端に大きな反響がありました。このコンテンツの魅力は、マーケティング上も大きなインパクトがあるということをあらためて認識しています。これはグローバルでも同様のいい感触を得ていますし、離陸から本格普及へ、このキャンペーンで短期間の橋渡しをやっていけると思います。

また我々がつくった3Dの音楽番組が、11月からBS朝日さんで放送されています。アーティストの方が本当にそこにいるような臨場感、コンサート会場にいるかのような感覚で楽しめますし、出演者ご自身が撮影した映像をみて驚き楽しんでいらっしゃいました。これまで3Dテレビを購入してくださった方はもちろんですが、コンテンツがないと思っておられたお客様にも、安心感をもっていただけると思います。

11月より放送が開始された、BS朝日の3D音楽番組「Panasonic 3D Music Studio」。民放キー局系列の音楽番組として日本初の3D放送となる。

−− 店頭では3Dをどのように訴求されていますか。

西口 当初3Dテレビは3D映像しか映らないという勘違いもあり、お客様が一歩引いてしまうところがありましたが、そうではなく2Dの映像も最高画質で見られるということ、3Dコンテンツも近々揃ってくるということが浸透して購入につながってきているのです。

お客様から見た際のメリットが前面にでるような訴求を店頭やテレビコマーシャルで行なっています。自分は3Dと関係ないと思ってしまわれたお客様に、3Dテレビは最高の2Dテレビなのだということをきちんと説明し、さらに来年以降は3Dが当たり前になる、ということを表現しています。

−− 録画機も地デジ移行が大きなテーマです。そんな中で、高画質のブルーレイレコーダーは自分とは違う次元のものだと思っていらっしゃる方も多いと思います。

西口 レコーダーの需要こそ宝の山、まだ4000万台ほどアナログレコーダーが残っていると言われています。恐らくアナログ停波になって初めて気づくというお客様が数多くいて、この需要は来年7月以降もまだまだ続いていくでしょう。

「BWT3100/2100/1100」「BW890/690」「BR585」「BF200」の新DIGAに対応するシンプルリモコン。「BR590」には予め同梱。

そこでブルーレイの訴求もデジタルビデオというような感覚で、従来のVHSテープのように親しみ易く理解しやすい表現をしていくことが大事だと思います。すでに簡単リモコン採用、GUIも工夫して使いやすさを前面に出した商品も出しております。これもかなりユーザー調査をし、年配の方からのご意見を反映させました。

メーカー目線のプロダクトアウトにならず、誰がお使いになるのかというユーザー視点を大切にして商品企画を行っています。本当の裾野まで広げるためには、そういう商品にしていく必要があると思います。

録画機は業界として地デジ移行に向け、これから重点的にやって行かなくてはなりません。お客様のご不便を解決し、積極的に拡大して参りたいと思います。

 

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西口史郎氏 プロフィール

1980年、松下電器産業(株)(現パナソニック(株))入社。その後、アメリカ松下へ出向。テレビ事業部国際部部長、テレビ事業部商品企画部部長、 LCDテレビビジネスユニット長を経て、2007年4月より、パナソニックマーケティング本部本部長に就任。2008年4月より役員。