高画質技術の新標準を確立
価値訴求に火を付ける「S-LED」


日立コンシューマエレクトロニクス(株)
マーケティング事業部
マーケティング本部
担当本部長
須藤利昭
 
ビジュアルグランプリ2011技術大賞
HITACHI 
ZP05 series(写真はL42-ZP05)
  ビジュアルグランプリ2011技術賞
日立コンシューマエレクトロニクス
「S-LED」(イメージ画像)
 
高画質化と省エネを実現する日立独自の光コントロール技術を結集した次世代パネル「S-LED」。その第1弾として商品化したZP05シリーズが好調な滑り出しを見せている。充実の録画機能はそのままに、価値市場の創造をリードする商品として、テレビ市場再構築に向けた提案力溢れる商品展開とその取り組みに注目が集まる。
 
潜在的な高画質ニーズを芯から訴え喚起する

−− 水平分業が当たり前となるテレビで、オリジナリティの高いものづくりを実現した「S-LED」の開発と製品化に対し、高い評価が集まりました。

須藤 日立はもともとプラズマを先行させてきたメーカーですから、液晶で何か新しい技術が必要だと考えていました。また、テレビづくりを進めていく上でも、その時点で一番メジャーなデバイスを用いて、どれだけいい映像作りができるか。その回答のひとつとして開発したのが、ブロックごとに光をコントロールし、高コントラストとキレのある動画を実現する「S-LED」という手法でした。技術大賞として評価いただけたことを大変うれしく思っています。

「S-LED」のエリアコントロールイメージ

今、テレビはエコポイントの駆け込みで大変な状況ですが、一番の問題は、単価があまりにも下がり過ぎてしまっていること。そこを、お客様に認めてもらえる価値の提案で少しでもあげていかなくてはなりません。

テレビの基本はやはり画質です。画質のいい商品をまずつくり、3Dや録画機能は、その上でさらに単価アップしていくトッピングのようなものではないでしょうか。画質というベースでお客様に納得していただき、一定のお金をお支払いいただく。そのためにも、これからの柱となる技術が必要でした。

日立の技術を結集したZP05シリーズは、付加価値の高いテレビのひとつであると自負しています。安易な価格競争の中に放り込むつもりなど毛頭ありませんし、来年8月のアナログ停波以降を見据えて、この商品の価値をお客様にきちんとご理解いただくことが重要であり、そこへ力を入れていきたいと思います。

−− お客様の反応はいかがですか。

須藤 価格面から動きも鈍いかと思っていたのですが、特に地域店ではお客様に説明する時間があり、高画質をきちんと訴求できているところです。また量販店では、きちんと比較展示できるところでは、お客様にも納得いただき、予想を上回る実売をあげています。やはり、一番いい画質のものを欲する気持ちが根本にはあることを改めて実感しました。

画質というのはメーカーの自己満足も強く、例えば、細かな岩肌を示して、「ほらきれいでしょう」とデモをしたりすることがあるわけですが、ほとんどのお客様には関係ない。

一方、ZP05シリーズでは、映画でも黒がしっかり黒く出るとか、見えなかった光がきちんと見えるとか、非常に説明がしやすいポイントがあります。店頭からも、お客様にもご理解いただきやすいとの言葉をいただいています。

−− 店頭での説明のしやすさはこれから重要になりますね。

須藤 今回はわかりやすいデモ映像も用意しました。映像にあわせて部分ごとに明るさを緻密にコントロールしているのがわかりますから、技術に詳しい方ほどびっくりされると思います。思い切ってビジュアル的なブロック表記を出したことも一目瞭然でよかったですね。当初エンジニアは消極的だったのですが、今では、こちらが出すのを躊躇するほど、いろいろ材料を用意してくれるほど協力的です。これから先、コストをいかに下げていけるか。そして、ラインナップをどのように増やしていけるかが一番の大きなテーマになります。

ウェブにも「S-LED」の動作イメージが確認できる動画を用意している(クリックで動画ページへ)

 

常に半歩先を進む使い勝手の魅力

−− 一方、市場を創造してきた録画テレビでは、各社が追随してきましたが、改めて、Woooの強みとは何でしょう。

須藤 他社に先駆けて録画機能を搭載し、どこよりも長くやっているからこそノウハウもあります。例えば、初めてのお客様でも直観的にどう使えばいいかわかるとか、使い慣れた方には見ている番組を録りたいときにすぐ録れるとか、使いやすさの面では何より優れていると自負しています。本来は便利になるはずのEPG録画で不安を感じる人が多いのは「本当に録画できているのだろうか」「予約はできたのだろうか」といったシンプルなところに起因していると思います。そうした点でも、Woooでは録画予約したものには赤丸がつくなど、お客様の使い勝手にこだわっています。録画モードも豊富ですから、容量も気にせずお使いいただけます。

分かりやすい録画機能もWoooの真骨頂。写真は録画した番組を自動で分類する「ワケ録」機能

 

−− 地デジ化未対応の録画機も数多く残されています。

須藤 ビデオの買い替え需要を狙った対応は特に考えていません。注目したいのは、ここ1、2年はブラウン管テレビからの置き換えで、同じ場所に置かれるケースが多かったのですが、さらなる薄型化やデザインも洗練され、だんだん置き方も変わってきていることです。昔に比べるとテレビ周りも大変キレイになりました。そこへ幅や奥行きのあるレコーダーを置くスペースをつくる必要があるのか。「テレビに内蔵されていれば…」と考えるのは自然なことで、内蔵のニーズは高まりこそすれ、落ちることはありません。そうした録画テレビによる生活スタイルの進化をリードしていきたいですね。

−− それでは最後に、販売店へのメッセージをお願いします。

須藤 テレビ特需による数の競争ができないとなれば、やみくもに価格を下げてもしようがない。少し落ち着いてビジネスができる環境になってくると思います。

メーカーとしての独自性を訴え、価値を認めて購入いただく。「S-LED」はその柱のひとつとなるものとして、大事に育てていきたいと思います。

ポスト地デジの看板商品として、ZP05シリーズを店頭展示いただく際のPR用のPOP類も、訴求ポイントのひとつである“光"を中心にお客様の目に止まるものを用意しました。

画質のよさを評価されるお客様は実に多くいらっしゃいます。是非、今までのテレビとの違いをきちっと訴求していただければと思います。

 

【関連リンク】

日立コンシューマエレクトロニクス
日立「Wooo」製品情報

 
須藤利昭氏 プロフィール

1956年4月30日生まれ。1980年 日立家電入社。営業、商品企画等を経て2007年より現職。テレビをはじめ、ビデオ、DVD、さらにビデオカメラまで、AV・デジタル機器すべてにかかわってきた。モットーは、仕事も遊びもやるからには「楽しく」。趣味はゴルフ。ホームセンターやゴルフショップ、カーショップ、ディスカウンター等の店巡り。